ログ解析を支援するツールはすでに多数存在している。しかし一般的なログ解析ツールやログ変換ツールは、特定の入力形式や出力形式に特化した処理を実行するために設計されていることが多い。このため、必要なデータを取得するためには、複数のツールを組み合わせて利用するのが一般的である。個々のツールの使用方法を習得するには、それぞれに相応の努力と時間が必要となる。
Log Parserも、当初はIIS(Internet Information Services。マイクロソフトのWebサーバ)のアクセス・ログを解析するために開発されたツールだった(後述のコラム「開発者が語るLog Parser誕生秘話」参照)。しかしその後、さまざまな入力形式(20種類以上)と出力形式(9種類以上)が追加実装され、現在のLog Parser 2.2は、汎用的なログ解析用途で活用可能なツールとなっている。
Log Parser 2.2で取り扱い可能な主な入出力形式には、以下のようなものがある。
入力形式 | 出力形式 | |
---|---|---|
IIS W3C拡張ログ形式 | W3C拡張ログ形式 | |
Microsoft IISログ・ファイル形式 | SQL Serverへのデータ送信 | |
NCSA共通ログ・ファイル形式 | SYSLOGサーバへのデータ送信 | |
集中バイナリ・ログ | チャート形式 | |
HTTPエラー・ログ | テンプレートを利用したHTML形式 | |
ODBCログ | XML形式 | |
FTPログ・ファイル | CSV形式 | |
SMTPログ・ファイル | タブ区切りテキスト形式 | |
Windowsイベント・ログ | 汎用的なテキスト形式 | |
Windowsレジストリ | ||
Active Directoryオブジェクト | ||
ファイルとディレクトリ情報 | ||
NetMon.capキャプチャ・ファイル | ||
拡張または結合されたNCSAログ・ファイル | ||
W3C拡張ログ形式 | ||
ETW(Event Tracing for Windows)トレース | ||
XML形式 | ||
CSV形式 | ||
タブ区切りテキスト形式 | ||
汎用的なテキスト形式 | ||
独自の入力形式(COM入力形式のCOM+プラグインの作成が必要) | ||
Log Parser 2.2が扱える主な入出力形式 |
Log Parserには、上記入出力形式を変換するための専用のSQL形式エンジン・コアが実装されている。このためLog Parserを利用したデータ変換や集計では、一般的なSQL句(SELECT、WHERE、GROUP BY、HAVING、ORDER BYなど)や、集計関数(SUM、COUNT、AVG、MAX、MINなど)、およびその豊富な関数(TO_STRING、SUBSTR、CASEなど)を利用可能である。
従ってLog Parserを利用すれば、例えば、Webサーバ・ログを分析してサイトの人気ページを調査したり、イベント・ログから特定の条件を満たすイベントだけを抜き出したり、ファイル・システム全体から古くてサイズの大きなファイル一覧を取り出したりできる。出力結果をSQL Serverのデータベースとして登録することも、CSV形式などを経由してExcelに送り、グラフを作成することなどもできるというわけだ。
Log Parserは、.EXE形式(.EXE形式の単一バイナリ)と.DLL形式(COMコンポーネント)の2種類で提供されている。このうち.EXE形式の方は、コマンドライン(コマンド・プロンプト=cmd.exe)で利用できる。つまり、ちょっとした解析なら、Log Parserをコマンドライン・ツールとして実行したり、バッチ・ファイルから実行したりできる。
一方のDLL形式のLog Parserを利用すれば、Visual Basic ScriptなどのWSH(Windows Script Host)によるスクリプトから利用することも可能だ。本格的なスクリプトを組んで自動化を図るなら、WSHスクリプトを使うことになるだろう。
WSHスクリプトからLog Parserを使う場合は、Windows環境で利用可能なほかのCOMオブジェクト(Collaboration Data Objects:CDOやFile System Object:FSOなど)と連携し、メール送信やファイル操作などとLog Parserの処理を組み合わせて自動化することもできる。
このようにLog Parserは、気軽なコマンドライン・ツールとしても、WSHスクリプトによる本格的な自動化処理の機能の一部としても活用できる。Log Parserによって、データ解析やファイル変換などの単純作業を自動化すれば、データ分析など本来の業務に集中することができるようになる。
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