筆者の所属する「部署」内からのみアクセス可能なSNSは、最初に希望者に対して招待状を発行、その後は招待+自由参加のどちらでも参加可能にしています。その代わり、部署外からはアクセスできないようにIP制限を設けています。
全社SNSとカテゴリは似ていますが、より身近な情報を取り扱うコミュニティが多いのが特徴で、「日常のちょっとしたこと」を、日記として手軽に残すために使っている人が多いです。最近見た映画、新聞や雑誌に載っていた気になる記事、後は部署のメンバーの誕生日や新築祝いの打ち合わせなどにも使われているようです。
業務に直接関係あるもの | 「グループ内の連絡」 |
---|---|
「プロジェクトの進ちょく確認」 | |
「取り扱っている製品に関する情報共有」 | |
「特定業界に関する情報蓄積」 | |
「機材貸出の管理」 | |
コミュニケーションメイン | 「職場近くのランチ情報」 |
「飲み会サークル」 | |
ノウハウ共有目的のもの | 「電話応対マニュアル」 |
「迷惑電話撃退マニュアル」 | |
「リサイクル友の会」 | |
ほかに、プロジェクト遂行用に協力会社と共用しているSNSなどを併せ、常時使っているSNSは1〜2個、必要に応じて随時使うSNSが2〜3個といった状況です。今後、新着情報のRSS配信など「複数のSNSをうまく使い分ける仕組み」が必要になってくるだろうな、と感じています。
実際にSNSを運用開始するに当たって、企業の就業規則やインターネット/イントラネットポリシーをしっかり把握し、順守しました。規則やポリシーを確認するうえでは、「企業内SNSは、いわば一種のグループウェアである」という認識で調べるとよいでしょう。
企業によっては、Webサーバやメールサーバを勝手に構築してはいけない場合もあるでしょう。筆者の場合も、当初はメールサーバを使わない構成でSNSを運用していました。
ちなみに、メールサーバを使えなかったため、デイリーメールやメッセージ到着のお知らせメールが発行できないだけではなく、新規ユーザーへの招待・確認メールを発行できないという致命的な問題がありました。そのため、SNS参加希望者に氏名とメールアドレスを連絡してもらい、「氏名・メールアドレス・仮パスワード」をCSVデータとして作成、管理者メニューからメンバー情報をデータベースに一括登録する「CSVインポート」機能を利用してユーザー登録していた時期もありました。
なお、現在は正式にメールサーバの運用を開始し、通常どおりの新規ユーザー登録ができるようになっています。
運用を開始した後は、先にも書きましたとおり、情報漏えいやモラル低下には細心の注意を払う必要があります。筆者の管理するSNSでは、「所属と本名の登録を必須」として、所属があいまいな表記だったり、本名の欄にニックネームを登録していたりするユーザーには、個別に登録内容の確認メールをお送りすることにしています。
また、参加登録の確認画面とポータルページのインフォメーションに就業規則を順守するよう明記し、規則の掲載されているページへのリンクを設置しています。
完全な対策だと断言するつもりはありませんが、何か起こる前に手を打ちつつ、かつSNSの良さである自由さを生かすために、最大限の努力をしています。
SNSを実際に業務に結び付けて利用してみて、業務ツールとしてのSNSの有用性、何気ないコミュニケーションや当人にとってはあまり重要ではないかもしれない情報から生まれるアイデアなどを、あらためて実感しています。
同時に、SNSは万能ではないということもよく分かってきました。SNS、特にOpenPNEは導入するのは非常に簡単です。しかし、導入すればよいというものではなく、それをいかに繁栄させ、活用していくかは運用次第です。
人と人のつながり、そのうえでやりとりされる情報、蓄積されるノウハウこそが最大の資産となるに違いありません。
さて、最終回となる次回では、実際に企業内でSNSを活用していくための工夫、ポータルページのカスタマイズや拡張モジュールの導入、ほかのツールとの連携や認証連携などの話したいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.