転職における最初の「難関」が職務経歴書の作成だ。その仕上がりが転職の成功・失敗を分けるといっても過言ではない。この連載では毎回1つの職務経歴書を取り上げ、キャリアコンサルタントのアドバイスに従って改良する。優れた職務経歴書で、自分を企業に売り込め!
昨今の転職売り手市場で、下請けのソフトウェア開発会社から元請けのシステムインテグレータへ転職するITエンジニアも増えているようです。
しかしいくら売り手市場とはいえ、誰もが成功できるわけではありません。特に、応募書類の出来で損をしている人は多く見受けられます。
連載「あなたの職務経歴書鑑定します!」の第2回では、会社で使用している「技術者経歴書」と、転職の応募書類として使用する「職務経歴書」の違いについてのエピソードを紹介します。
私が桑田さんと会ったのは、昨年(2007年)の夏のことでした。26歳の桑田さんは大学の情報系学部を卒業後、中小規模のソフトウェアハウスに就職して3年強。少し緊張しているようでしたが、会話の端々で人懐っこい笑みがこぼれる、とても第一印象の良い人でした。印象が良いからこそ、桑田さんの相談は私には意外だったのです。
桑田さんが転職活動を始めてから2カ月がたっていました。しかし面接試験はまだ受けたことがありませんでした。そう、桑田さんは、それまで一度も書類選考を通過したことがなかったのです。
まず私は、桑田さんの転職の動機を尋ねました。
桑田 キャリアアップがしたいんです。
山口(筆者) キャリアアップですね。もう少し具体的にお話しいただけますか。
桑田 いまの会社は企業の情報システムの構築を主な事業内容にしているのですが、エンドユーザーとの取引はほとんどなくて、多くが大手システムインテグレータの下請け仕事なんです。仕事も詳細設計以降の下流工程が大半ですし、給料も上がらない。このままでは将来が不安で……。
山口 将来を不安に感じられているのですか……。では将来に向けて、どんなキャリアプランをお持ちなのでしょう。
桑田 そうですね、具体像は描けていないのですが、やはり上流工程を経験したいですね。設計の経験を積めば、業務知識も身に付きますし。
山口 マネジメントはどうですか。
桑田 もちろん、マネジメントも考えています。いまの会社だとしょせん下請け会社なので、人員の管理やせいぜい後輩の指導くらいですし……。
桑田さんの希望をまとめると、下記のようになります。
この3つを達成するため、元請けのシステムインテグレータに転職したいというのが、今回の桑田さんの転職のテーマでした。
転職のテーマが確認できたところで、私は桑田さんにそれまで使用してきた応募書類を見せてもらいました。
(Wordファイルのサンプル)
一目見て、書類選考に落ち続けていた事情が理解できました。桑田さんは、会社で使用している「技術者経歴書」を、そのまま応募書類として使っていたのです。
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