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» 2008年05月27日 00時00分 公開

転職活動のために退職。なのに次が見つからない!転職活動、本当にあったこんなこと(19)(1/2 ページ)

多くのITエンジニアにとって「転職」とは非日常のもので、そこには思いがけない事例の数々がある。転職活動におけるさまざまな危険を紹介し、回避方法を考える。

[辻貴由,アデコ]

 日々いろいろな転職希望者と会っていると、皆さんが忙しい中、時間をやりくりして必死に転職活動をしていることが分かります。転職とは、非常に大きなパワーを必要とするものです。仕事と転職活動の両立には大変な苦労があるだろうと思います。

 ITエンジニアは社内での作業が多いでしょうから、業務中に職場を抜け出して面接に出向くわけにもいきません。平日遅い時間か週末に面接を受けたいところですが、実際には企業側の都合もあるので、平日の日中になることが多くなります。有給休暇を取得できればいいのですが、忙しければなかなか取得しにくいでしょうし、何回も立て続けに休むことで上司や同僚から変な勘ぐりをされることもあるでしょう。

 それならばいっそのこと、先に退職してしまった方が、時間をかけて充実した転職活動ができるのではと考えてしまうのではないでしょうか。

 しかし、果たして本当にそうでしょうか? 今回は、「退職してからの転職活動」「在職しながらの転職活動」について書いてみたいと思います。

どうしても時間が取れず、退職してから活動を始めた福田さん

 福田さん(仮名・38歳)は、2回の転職を経て、中堅ソフトウェアハウスで活躍するITエンジニア。地方自治体向けの汎用系システムの設計と開発に携わっていました。会社は大手メーカーの2次請けの立場でしたが、福田さんは顧客と直接、仕様の打ち合わせをするなど、システムの上流工程から業務に携わっていました。そのため出張が多く、年間60日は全国を飛び回るなど、多忙な日々を過ごしていました。

 そんな福田さんが転職を考えた理由は、会社の方針変更でした。受注できる仕事が減っており、会社は福田さんの所属部門の縮小を検討しだしたのです。将来のことを考えた福田さんは、汎用系からオープン系へのキャリアチェンジを希望し、転職活動を始めました。

 しかし、相変わらず出張の多かった福田さんは、面接の時間どころか、企業情報を収集する時間さえも取れない状況でした。「このままではいつまでたっても転職活動ができない」と考え、時間を確保するために退職をしたのです。

 退職して心機一転、本格的に転職活動を始めた福田さん。過去2回の転職はすんなりと決まっていたので、今回もすぐに決まるだろうと簡単に考えていたようです。しかし、実際には思っていたようには進みませんでした。

 福田さんの年齢を考慮すると、汎用系からオープン系へのキャリアチェンジは思っていた以上にハードルが高かったのです。また豊富な地方自治体向けの業務知識も、それほどニーズが高くはなかったのでした。ほとんどの企業は書類選考で落ち、たまに面接まで進んでもほかの候補者に負け、気付けば半年がたっていました。そのころになると、面接で「なぜブランクが半年も続いているのか?」「なぜ転職先が決まる前に辞めてしまったのか?」をしつこく質問されることが増え、福田さんは苦しい受け答えをせざるを得なくなっていました。

 福田さんは焦るばかりでした。こんなはずではなかったと考えながら、希望をかなえるというよりも、なんとか早く転職先が決まればそれでいいというくらいに精神的に追い込まれてしまったのでした。

 退職から7カ月後に、やっと転職先が決まりました。しかしキャリアチェンジの夢はかなわず、職種は汎用系システムの保守・運用。年収も前職よりも100万円近くダウンすることとなりました。福田さんは悔いを残したまま、転職していきました。

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