米サンディスクは11月5日、これまでSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の弱点とされていたランダム書き込みの速度を最大100倍程度に高速化する新技術「ExtremeFFS」を発表した。搭載製品は2009年中に出荷する。
SSDはハードディスクに比べて読み込み速度が高速なことが特徴だが、書き込み速度や、書き換え回数の上限の点でハードディスクに劣るとされてきた。サンディスクはExtremeFFSと名付けたファイル管理システムを開発。データの物理的な位置と論理的な位置を切り分けたことと、各NANDチャネルのブロッキングを防いで完全に並列に動作するようにしたことで、速度と耐性を向上したという。特定のセクターにデータが書かれた場合、ドライブ側が最も適した物理デバイス上の位置にデータを書き込むほか、各NANDチャネルが書き込み、読み込み、ガベージ・コレクションを並行して行うという。
また、ExtremeFFSでは、ベンチマークの性能には現れないが、実際のデータのアクセスパターンに応じてデータ配置を最適化することで耐久性を高めたという。
新技術の発表に合わせて、同社はSSD向けの標準的ベンチマーク指標も発表した。vRPM(バーチャルRPM)と名付けた指標は、ハードディスクの性能と比べやすいように、ハードディスクのスペックとして使われるRPM(Revolutions Per Minute)と比較可能な数値だ。SSDには回転する媒体はないが、もしクライアントPC上でハードディスクのように回転するとすれば、どの程度の回転速度かという問いに答えるものという。例えば同社は来年登場するSSD製品は現行の4倍の速度で、最新の2.5インチハードディスクの6倍になるとしている。
具体的なvRPMの計算方法は、まずクライアントPCの利用を想定して読み込みと書き込みの頻度を50:50とする。1回のI/O処理に必要な時間を「0.5/書き込みのIOPS」と「0.5/読み込みIOPS」の和とする。これの逆数を取ることで、読み書き両方の平均を考慮したIOPSが求まる。例えば、SSDは読み書きで2桁ほど性能が違うが、ランダム読み込みを1万IOPS、ランダム書き込みを100IOPSとした場合、クライアントPCとしてのIOPSは200程度となる。ここから係数としてあらかじめ設定されている50をかけてvRPMを算出すると1万vRPMとなり、サーバ用途の高速ハードディスクと同程度と分かる。2009年出荷予定のSSDでは、4万vRPMを実現するという。
vRPMとともに発表した「LDE」(Long-Term Data Endurance)は、クルマのタイヤに印字されている走行可能距離のように、分かりやすい単一の耐久性の指標になるという。同社は半導体業界の標準化団体JEDECにLDEのプロポーザルを提出したほか、今後は同社の製品すべてでLDEを表示していくとしている。
SSDはハードディスクと特性が異なる上、現在市場にある製品でも速度上のばらつきが大きかった。単一の分かりやすい指標がSSDベンダやPCベンダに認められて普及すれば、一般ユーザーへの普及に拍車がかかりそうだ。
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