リンクは11月17日、サーバ仮想化技術を活用した“クラウドホスティング”サービス「at+linkパワーフレックス」(以下、パワーフレックス)を同日に提供開始したと発表した。同社がエーティーワークスと共同で提供している「AT-LINK 専用サーバ・サービス」のメニューとして提供する。
パワーフレックスはサーバ仮想化技術としてVirtual Ironを採用。仮想マシンをサーバリソースとしてユーザーに期間貸しする。この上で利用可能なOSは現在のところRed Hat Enterprise Linux(RHEL)ES4/5のみだが、2008年中にはWindows Serverも利用できるようにするという。
仮想化技術を使ったホスティング/サーバリソース提供サービスとしては、国内のいくつかの事業者が米Parallelsの「Virtuozzo」などOSパーティショニング技術を使った月額1万円前後のVPSサービスを提供中。一方でソフトバンクテレコムの「バーチャルホスティング Ultina On Demand Platform」や日立ソフトウェアエンジニアリングの「Secure Online統制IT基盤提供サービス」など、ハイパーバイザを用いた企業向けの本格的サーバリソースサービスがある。パワーフレックスは両者の中間の価格設定となっている。具体的には、CPUがXeon E5405 2.0GHz 1コア、メモリは1GB、ハードディスク容量40GBという仕様の仮想マシン1つで月額4万950円(共用回線の場合)あるいは5万6700円(帯域保証回線の場合)だ。これにはRHELやWindows ServerのOSライセンス料も含まれている。
パワーフレックスが“クラウドホスティング”と銘打っている理由は、契約の柔軟性にある。同サービスではユーザーが契約中の仮想マシンでリソースが不足するようになった場合、この仮想マシンのCPUコア数やメモリ、ハードディスク容量の追加をリクエストできる。リソース追加作業はユーザーの連絡を受けた管理担当者が短時間のうちに管理ツールによる設定変更として実施。この間、サービスはOSの再起動のために数分間中断するのみ。
リソース追加には別途料金が掛かるが、月の途中に実施した場合は日割りで請求がなされる。さらにリソース追加後72時間分は課金しないため、処理量の増大が1、2日間のみであれば追加費用は発生しない。
同サービスは、標準で24時間365日の監視が提供されることも特徴だとリンクでは強調する。オプションで、サーバをパワーフレックス管理者側で監視し、ユーザーに逐次確認することなく能動的にリソース追加あるいは復旧を行うサービスや、バックアップサービス、複数の仮想マシン間の負荷分散サービスなども用意している。
リンクは、一時的な利用や季節などの要因により処理量の予測がつきにくい場合にこのサービスが適しているとし、映画のキャンペーンサイトなどの用途ですでに引き合いがあるという。
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