LANからインターネットに出て行くまでの、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバの仕事を芽衣子と勉強しよう
今回学ぶこと
思いがけずこの数日でケーブルやIPアドレスなどインターネットの秘密にすっかり詳しくなってしまった芽衣子さんですが、詳しくなり過ぎたせいで逆にサイバー戦争に巻き込まれてしまうのではないかという不安でいっぱいで、会社の行き帰りもつい周りを気にしてしまうようになっています。もちろん家の戸締まりもばっちりです。
心配ですがお仕事ですので、そのへんはきっちりわきまえてしっかり家で復習してみたりしています。あのデブには負けたくないんですもの。好きなニコニコ動画を見るヒマもありませんが仕方ありません。
芽衣子 「これがIPアドレスね。うちのIPアドレスは192.168.0.2ね。サブネットマスクとかデフォルトゲートウェイってなによ。……、ああ、数字ばっかりでイライラするって!」
1人家で設定を確認していると、高校のときに数学の補習で1人教室に残されたことを思い出してブルーになってしまいます。
芽衣子 「知り過ぎるのも心配だし、知らないのも悔しいし、困ったものね」
正男さん
某国から情報収集にやって来ているのだけど甘いもののためにすっかりピザに。お父さんの病気のためそろそろ帰国するので引き継ぎ中だけど、ハズレをひいたのでなかなか帰れないので困ってます。特にサイバー戦争とかには興味がなく、どちらかというとマトリックスよりはディズニーの方が好き。
芽衣子さん工作員としてサイバー戦争に巻き込まれるのではないかと心配なR30世代。いろいろ大変な目に遭ってきたせいで疑り深いが、基本的に首突っ込みたがりなので少しだけサイバー戦闘員になることを期待している。
そしてまた会社では、一仕事終えた芽衣子さんのところに、ネットワーク担当の怪しいおっさんが近づいてきます。正男さんです。ネットに詳しいといってしまったばっかりに始まった特別講義の時間です。世間話をする間もなくすぐによく分からない話が始まっていきます。
正男 「さて、前回説明したIPアドレスですが、見方は覚えていますか?」
芽衣子 「ばっちりよ」
芽衣子さんは復習もばっちりで、ipconfig /allだってたたけます(※)が、何か?と、ちょっと誇らしげにコマンドを打ってみますが、管理者としてはいつも使っていますので全力でスルーされます。私は誉めて伸びる子なんだから誉めてよ! と怒鳴りたくなりましたが、いい大人なのでぐっとこらえることにします。
正男 「さて、前回の続きということで、IPアドレスの下から見ていきましょうか、サブネットマスクって説明してませんでしたね」
芽衣子 「なによ、これ、よく分からないけど、早く説明してくださる?」
興味なさそうにいっていますが、家で見ても意味が分からなくてイライラしていたのです。意外と知りたがりな芽衣子さんです。
正男 「サブネットマスクというのはサブネットワークを決めるマスクのことですよ」
芽衣子 「マスク? メロン?」
正男 「隠すっていう意味のマスクですよ。マスキングテープみたいなものです」
ちょっとでも和ませようと精いっぱいボケてみたものの、受け流されてしまいます。
正男 「隠すということで、マスクされているこの数字のところは見ないってことなんですよ」
芽衣子 「ん……、どういうこと? 意味分かんないんだけど」
正男 「192.168.1.13というのが芽衣子さんのIPアドレスですが……」
芽衣子 「それは知っているわ。さっきも確認したもの」
さえぎるように答えます。自分の知っていることは積極的にアピールする芽衣子さんです。
正男 「これに255.255.255.0というサブネットマスクをかぶせると、ネットワークの範囲は0?255となるんですよ」
芽衣子 「ん? どういうこと? 説明されてもまったく意味分かんないんだけど。しかも相変わらず255って中途半端な数字だし」
正男 「え、区切りいい数字じゃないですか!(※)」
芽衣子 「なんで?……まあ、いいわ」
255はとても中途半端な数字だと思うのですが、数字のうんちく話をされるのは困るので芽衣子さんはこれ以上突っ込まないことにします。
正男 「ということでこのサブネットマスク、255.255.255.0について細かく解説することにします。ここからはお待ちかねの2進数の話になりますがいいですか?」
芽衣子 「待ってないし、それ以外の説明はできないの?」
正男 「惜しくもわが国の強力な教育メソッドでも避けられないんですよ……」
正男さんはちょっと悲しそうなため息をつきましたが、芽衣子さんは聞き逃しません。
わが国って……、やはり私、その筋の教育されているの!?
正男 「まあ、2進数というから難しいんですが、じゃあ、2になったらけたの上がる世界の数字ということでどうでしょう」
芽衣子 「んー、それもよく分からないわね」
にっこり微笑む芽衣子さんの目の奥に潜む殺気を正男さんは感じてしまいます。
正男 「……じゃあ、しょうがないので、やめておきますか」
芽衣子 「そうしてちょうだい。頼むわ」
ちょっと勝手が違うなあと困惑した様子で正男さんは話を始めていきます。
「このようにIPアドレスとサブネットマスクがあります」
と紙に書いていきます。
サブネットマスク……255.255.255.0
IPアドレス……192.168.1. 13
正男 「さて、このサブネットマスクですが、ネットワークの大きさを決めているものです」
芽衣子 「どういうこと?」
正男 「ネットワークの範囲は0.0.0.0〜255.255.255.255ということは説明したと思いますが……」
芽衣子 「それは前に聞いた記憶があるわ。続けて」
正男 「サブネットマスクが掛かっている部分は見ないということになります」
芽衣子 「見ない?」
正男さんは255.255.255の部分を手で隠します。
正男 「なので、ここでは255.255.255.までのところは見ないということになります。だから、このアドレスは13ということになるんですよ」
芽衣子 「ずいぶんシンプルになったのね」
正男 「マンションの部屋番号みたいに省略したと思えばいいかと思います」
芽衣子 「マンション内のやりとりは住所いわなくてもいいもんね」
芽衣子さんは団地っ子なのでマンションに例えられると飲み込みが早いです。
芽衣子 「何となく分かったけど、でもなんのために?」
正男 「全員に聞くときとか大変じゃないですか」
芽衣子 「確かにそうね」
ビラを配るにしても世界の全員に配るのは大変ですし、印刷する枚数も全然違ってきます。
芽衣子さんはちょっと分かってきたので、続けざまに質問していきます。
芽衣子 「じゃあ、192.168.1って方はなんなの?」
正男 「こっちの方が自分の所属するネットワークのアドレスと考えてもらったらいいと思います(※)」
芽衣子 「じゃあ、マンションの住所みたいなものね」
正男 「そうですね、192.168.1ネットワークの13番が芽衣子さんのマシン、隣の真一さんのマシンは192.168.1ネットワークの14番と考えてもらえば分かりやすいと思います」
正男 「そして、この192.168.1というネットワークのことをサブネットワークというんですよ」
芽衣子 「サブってちっちゃそうで感じ悪いわね」
正男 「大きなネットワーク全体に対しての分割されたネットワークのことですから、まあ、我慢してくださいな」
芽衣子さんはいい大人なので、細かいことにこだわらず先に進めます。
芽衣子 「じゃあ、直接やりとりするには同じサブネットワークにいないといけないのね」
「そうです。同じサブネットワークにいるマシン同士は直接通信することができます。でも、違うサブネットワークにいると似たようなアドレスでも通信できないのです」
芽衣子 「この会社で考えると全員192.168.1.○○のIPアドレスにして、サブネットマスクを255.255.255.0に合わせると、そのメンバーはお互いに通信できるのね」
正男 「ええ」
芽衣子 「そして、192.168.0.11と192.168.1.12は通信できないのね(※)」
正男 「ええ。別のネットワークですから」
芽衣子 「何となく分かってきた気がするわ」
芽衣子さんは上機嫌です。
正男 「ただし、注意しなきゃいけないのはアドレスに0と255は指定しちゃダメなところです(※)」
芽衣子 「なぜ?」
正男 「ルールなんですよ」
芽衣子 「ややこしいけど、決まりじゃあ仕方ないわね」
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