米サン・マイクロシステムズが3月18日に発表したクラウド・コンピューティング戦略は、“オープンなAPIを広めることによって特定のクラウド事業者にユーザーが縛られないようにする”というのがセールスポイントだ。
サンのクラウド・コンピューティング担当シニア・バイス・ブレジデント、デイブ・ダグラス(Dave Douglas)氏は、3月18日に同社が開催したCommunityOne Eastで、「2、3の巨大(クラウド)ベンダの間の闘いになるという人がいるが、それはあり得ない」と話した。さまざまな地域、コミュニティ、アプリケーション、そして企業内に最適化された多数のクラウドが並立するようになる。するとオープン性と互換性が重要になってくる。「自分の開発したアプリケーションを多数のクラウドに展開でき、多くの人々の問題を解決できる。それでこそパワーとスケールを生かすことができる」(ダグラス氏)。
サンはクラウドの基盤として「Sun Open Cloud Platform」を発表した。ダグラス氏はこれについて、「Infrastructure as a Serviceレイヤにターゲットしており、中核的な技術、API、プロトコルとして、できるだけさまざまな手段により、できるだけ多数のクラウドに広めていきたい」と語った。
サンは同日、Sun Cloud APIをクリエイティブ・コモンズ・ライセンス下で公開開始した。
Sun Cloud APIはRESTfulなAPIで、http GET、POST、PUTなどを用いて仮想環境をコントロールできる。このAPIは完成されたものではなく、コミュニティとともに今後発展させていくことを目的としているという。
サンは併せて、今年夏には自社でクラウド・サービス「Sun Cloud」を提供開始することを発表した。提供するのは「Sun Cloud Storage Service」「Sun Cloud Compute Service」。これらのサービスの開発に用いた技術も公開していくという。
Sun Cloudにはグラフィカルなユーザーインターフェイスが用意されていて、ユーザーは自分の仮想データセンターを、squid、Apache、memcached、MySQLなどのアイコンを相互接続することで設計できる。
クラウド・サービスの活用例として、サンのCEO兼社長、ジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏は、自身のブログでOpenOffice.orgのクラウド対応版について語っている。
Fileメニューに「Save to Cloud」「Open from Cloud」が追加され、OpenOfficeのユーザーは、クラウドを自分のデータ保存場所として利用できるようになるという。また、デスクトップ仮想化技術のVirtualBoxでも、今年中にクラウド対応を行うという。VirtualBoxで走らせている仮想マシンをクラウドに保存したり、クラウド上で起動したりできるようになるとしている。
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