仮想化ソフトの新バージョン、vSphere 4の機能とは管理性を向上する多数の機能を搭載

» 2009年04月22日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 ヴイエムウェアが4月22日に発表した「VMware vSphere 4」は、拡張性を高めるとともに、管理性を向上する多数の機能を搭載した製品だ。

 各仮想マシンに構成できるCPU数は従来の4論理CPUから8論理CPU(インテルのハイパースレッディングを有効にした場合は4物理CPU、無効にした場合は8物理CPU)、メモリ量は従来の64GBから256GBに拡大する。IOPSは従来の10万から20万以上に向上する。例えばeBayのWebトラフィックを、サーバ当たりこれまでの3倍処理できるようになったという。

 vSphere 4.0の主な新機能は、VMware FT、Storage Thin Provisioning、VM DirectPath I/O、vNetwork Distributed Switch、vShield Zonesなどだ。

 VMware FTは仮想マシンレベルでノンストップ環境を実現する機能。稼働中の本番仮想マシンとリアルタイムで同期する待機仮想マシンを別の物理サーバ上に動かしておき、本番仮想マシンに障害が発生した場合には、待機仮想マシンにサービスを無停止で引き継ぐことができる。単一の物理サーバ上で動作する複数の仮想マシンをVMware FTの保護対象とすることができる。

vNetwork Distributed Switchの管理画面。複数のハイパーバイザにわたって仮想スイッチが構成される

 Storage Thin Provisioningは、ストレージに普及しつつあるシン・プロビジョニングの機能を仮想マシンレベルで実現するもの。ある仮想マシンの仮想ディスクを例えば100GBに設定しても、実際に消費するストレージ容量が10GBであれば、差分の90GBはほかの用途に利用できる。

 VM DirectPath I/Oは、各仮想マシンのI/Oを、それぞれ特定の物理I/Oポートに直接結び付ける機能。これにより安定的にI/Oを高速化できる。

 vNetwork Distributed Switchは、従来ハイパーバイザ単位で構成していた仮想スイッチを、複数ハイパーバイザにわたって単一の仮想スイッチとして構成できるという機能。設定や運用の集中化を実現する。シスコシステムズはこれと基本的に同様な機能を備え、さらにシスコのネットワーク製品との親和性を高めたソフトウェアスイッチ「Nexus 1000V」を販売予定だが、この製品はヴイエムウェアからも提供されるようだ。

 vShield Zonesは仮想マシン単位のファイアウォール機能。セキュリティポリシーを仮想マシングループに対して設定しておけば、このグループに属する仮想マシンがどこに移動したとしても、同一のセキュリティポリシーを適用し続けることができる。

 管理サーバvCenterも4.0にバージョンアップした。ヴイエムウェアはこれをベースにさまざまな管理製品を提供していく。vCenter関連の機能として今回提供される代表的なものは、vCenter Orchestrator、ホストプロファイル、vCenter Linked Modeなど。vCenter Linked Modeは複数のvCenterの情報を統合し、大規模環境の管理を容易にする機能だ。ヴイエムウェアが2009年中の提供を約束しているそのほかのvCenter関連製品、すなわちAppSpeed、Chargeback、 CapacityIQ などについては、今年半ば以降、段階的に発表する。

 vSphere 4の新機能は、合計6つのエディションに分けて提供される。上位のものからいえばEnterprise Plus、Enterprise、Advanced、Standard、そして中小企業向けのEssentials Plus、Essentials。それぞれのエディションに含まれる機能は図の通りだ。

Enterprise Plus、Enterprise、Advanced、Standardの価格と機能(価格は1CPU当たりの市場予想価格)
EssentialsとEssentials Plusの価格と機能

 EssentialsとEssentials PlusはESX/ESXiに加え、4way SMP、VC Agent、Update Managerが含まれる。Plusでは、さらにVMware HA、統合バックアップ機能のData Recoveryが含まれる。この2つのエディションは3物理サーバ(各サーバは最大2 CPU構成まで)に限定したパッケージとして提供される。これらのパッケージには、管理サーバのvCenter Serverも含まれていて、3サーバの運用に必要なソフトウェアはそろっているという。

 最大2CPUで3物理サーバまで使えるということは、クアッドコアCPU搭載のサーバなら、最大24コアまでこれらのパッケージでまかなえることになる。従って、既存のサーバ1台を1コアの仮想マシンに移行するとすれば、これらのパッケージで24台のサーバを集約できる。Essentialsの予想価格は12万4000円なので、1コア当たり約5000円、Essentials Plusでも1コア当たり約1万6000円の計算になる。

 VI3の既存ユーザーで、Support and Subscription(SnS)を購入している場合は、vSphere 4.0に無償アップグレードできる。

 現EnterpriseのSnSユーザーはvSphere 4のEnterpriseにアップグレード可。これによって既存の機能に加え、VMware FT、vShield Zones、Data Recoveryが追加利用できる。

 現StandardのSnSユーザーは、vSphere 4のStandardにアップグレードできる。これにより、既存の機能に加え、Thin Provisioningが使用可能となる。

 なお、ESX 3.5からESX 4.0へのアップグレードは段階的に実施することが可能。vCenter 4.0はESX.3xも管理できるため、vCenterを4.0に上げて、その後段階的にESX 3.xをESX4.0に上げられる。ただし、今回のバージョンアップでは、仮想マシンのバージョンアップが推奨されている。

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