CMSと呼ばれるものは、どんな機能によって成り立っているのでしょうか。世の中には無数のCMSが存在するので、すべてのCMSが同じ機能を持っているわけではありませんが、多くのCMSが実現している代表的な機能9つをまとめてみました。
最も基本的な機能です。コンテントを文章や画像や動画、音楽といった形で入力します。メールから入力できる(モブログなど)機能や、ファイルを一括アップロードするなど、CMSによってさまざまな工夫が施されています。
これも基本的な機能です。多くのCMSはコンテントをWebページとして出力できます。入力されたコンテントをそのまま出力するシンプルなCMSもあれば、自動的に目次を作ったり、ケータイなら絵文字の変換をしたり、RSS形式やWeb APIとして使えるXML形式で出力できるなど、いろいろと加工して出力する機能を備えるのが一般的です。
複数の編集ユーザーで1つのサイトを管理できるようにする機能です。高級なCMSでは編集ユーザーごとに編集可能なコンテントや、投稿と編集だけができるのか、編集した後の記事の承認ができるのか、などの役割分担を細かく設定できます。
複数の人間でサイトを管理する際、管理者の承認がなければ投稿された記事が公開されないようにしたり、一度入力されたコンテントを差し戻したりといったことが可能なCMSもあります。ある程度サイトが頻繁に更新されたり、多人数でサイトを管理する場合には必須の機能です。
コンテントがどのように追加され、どのように更新されたかを管理する機能です。「What's New?」ページを自動的に生成するのはもちろん、誰がいつ、どのようにページを更新したかを正確に記録することで証拠として残せます。CMSによってはページやコンテント単位ですべての更新履歴を保存し、任意の時点まで時間を巻き戻す機能をもサポートする場合があります。
コミュニティ型のCMSの場合、ユーザー登録や削除、入会や退会といった一連の処理を行うものもあります。Eコマースやケータイサイトなど、販売のためのCMSでは必須機能です。
ユーザーからお金を徴収します。クレジットカードへの対応やショッピングカートの機能などを持っていることもあります。お金を扱うという性格上、課金機能を持つのは大抵、商用CMSが多いです。ケータイサイトのポイント制課金などもCMSの機能に含まれる場合があります。
高度なCMSでは、アクセス解析を内蔵していることもあります。Google Analyticsだけでは分からないより詳細なアクセス解析や、ユーザーごとの傾向の分析ができます。一部の商用CMSでは、入会時のアンケートなどとアクセス解析をミックスし、どんなプロフィール(性別や年齢、住まいなど)のユーザーがどういう行動パターンでアクセスしてきているか詳しく分析できるものもあります。
検索エンジン最適化(SEO)を支援する機能です。ブログなど一部のCMSでは、CMSを使うだけで自動的にSEO効果を持つ仕組みも少なくありません。
サイトが繁盛して人気サイトになってくると、サーバが1台ではとても足りなくなってしまいます。高度なCMSでは、このような場合に簡単にサーバを増やし、負荷を分散することでサイトが止まらないようにする負荷分散機能を有しています。
このように、CMSの提供する機能は実に膨大です。当然、このすべてを網羅しているCMSは非常に少なく、高価になります。ただし、最近はオープンソースのCMSをうまく組み合わせてできるだけ死角がないようなサイトを作ることもできます。
CMSを選ぶ場合、どのようなポイントに注意して選ぶべきでしょうか?
まず考えなくてはならないのは、サイトを立ち上げる目的です。社内向けなのか、社外向けなのか。次に、どういう人が編集ユーザーになるのか、どういう人が読者になるのか、大体何人くらいのユーザーが見込まれるか。対応するべき環境はどれか、例えば、PCで読むのか、ケータイで読むのか、iPhoneやAndroidのようなスマートフォンで読むのか。
また、読む環境と編集する環境が違う場合もあります。一般的なCMSでは読む環境がケータイに限定されていたとしても、編集する環境はWindows/Mac OS XのPCである場合がほとんどです。
それと、サイトのダウンタイム、つまり、万一の場合にサービスが停止したとき、復旧までにかかる時間の許容範囲です。サーバは機械である以上、いつか必ず壊れます。いつ壊れるのかは誰にも予想できません。壊れてしまうことは前提として、壊れたときにどういう対応を取るのか、あらかじめ決めておくのが一般的です。
さらに、目的を達成するために必要な機能は何かを明確化しておくと、CMSを実際に選ぶときにイメージが付きやすいと思います。
次ページでは、CMSを選ぶ際に明確にしておいた方がよいことをまとめ、最後にCMSの導入コストと運用コストについてお話しします。オープンソースと商用どちらがいいのかを総合的に考えましょう。
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