CMSを選ぶ際に明確にしておいた方がよいことを、下記リストにまとめてみました。
現在、世界にはかなりの数のオープンソースのCMSが存在します。例えば世界のCMSの情報を集めたサイト、「OpenSourceCMS」を見ると、PHPベースのものだけで200以上のCMSが存在しています。
十分な技術的知識があれば、これらのオープンソースのCMSを導入すれば、お金はほとんど掛けずに導入できそうです。ですから、オープンソースのCMSに注目が集まりがちです。
けれども、実際にはそれは導入コストの、ほんの一部でしかありません。それをセットアップする人件費や、サイトのデザインをする人件費も掛かります。サーバの購入費も必要です。
CMSは導入コストばかりに着目されて語られがちですが、サイトによっては導入コストが格安でも、運用コストがばかにならないことも多いのです。
また、オープンソースのCMSの場合、設置と導入は簡単だけれども、カスタマイズが難しいものがほとんどです。ブログエンジンのように、カスタマイズがほとんど必要ないCMSなら導入は容易ですが、カスタマイズが必要なサイトの構築・運用にはあまり向いていません。
カスタマイズ性を重視したオープンソースのCMSももちろんあります。ただし、カスタマイズするには専門の技術者やプログラマが必要になります。また、カスタマイズをしようとしたときに商用CMSの方が技術的なサポートを受けやすい、ということもあります。
社外向けのサービスを自社で管理しようとすると、ウイルスやハッカーからの攻撃があったり、人気が出てくると負荷が掛かってきたり、長く運用しているとハードウェアが故障したりして、これを維持するのにむしろ時間とお金が掛かります。
長期的に見れば、サイトは導入コストよりも運用コストの方をより多く払うことになります。無料で使えるオープンソースのCMSよりもASP/SaaS形式の商用CMSの方が、結果的にはコストを節約できるケースも少なくありません。
例えば、ダウンタイムの短さなどが要求されるケースです。一般の企業で24時間人間がサーバを監視するというのは非現実的ですが、商用のASP/SaaSサービスの場合、多数のサイトを管理しているので無人・有人を組み合わせた監視体制を敷いていたり、万一の際に使うバックアップサーバを用意している場合があります。
平均時給を1000円と考えても、24時間の有人監視には1カ月で72万円も掛かってしまいます。実際には1人で24時間365日監視するのは不可能ですから、三交代制などになって、管理コストはもっと増えます。
目安として、ユーザーが5000人以上のサイトであれば、無料CMSを運用するよりは商用CMSに切り替えた方が得かもしれません。5000人ものユーザーを抱えると、日々の問い合わせだけで相当な負担になります。
ダウンタイムが長くなると、せっかくのユーザーが離れていってしまいます。
商用のCMSといっても、実際に掛かる料金は数千円から数百万円までさまざまです。ですから選択肢としては、自分たちの人件費よりはるかに低コストで導入することもできるのです。
次回からは、オープンソースのCMSを中心に各種CMSの紹介・比較をしていきます。お楽しみに。
清水 亮(しみず・りょう)
株式会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役 兼 CEO
98年、電気通信大学在学中に米Microsoft corp.初のゲーム機向けオペレーションシステム WindowsCE for Dreamcast SDKの開発に携わる。99年同大学を中退し、株式会社ドワンゴに入社。同社研究開発部門の立ち上げに参加する。同社で初となる携帯電話コンテンツ「釣りバカ気分」を企画・開発し、その後同社アーキテクトとしてコンテンツ開発部隊を率いる。2002年3月にカリフォルニア州サンノゼで行われたゲーム開発者会議(GDC)をきっかけに海外市場に目覚め、同年7月より単身渡米。米DWANGO North America社のコンテント開発担当副社長として コンテンツ開発を行う。2002年末に帰国し、2003年より現職。2005年、IPAより天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される。
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