VMware FTを構成する際の要件は先に紹介した通りであるが、VMware FTが有効化された仮想マシンには、利用上の制限がいくつか存在する。以下の機能の利用を前提としている場合は注意が必要である。
VMwareの仮想マシンには「スナップショット」と呼ばれる、仮想マシンの静止点を取得する機能があるが、VMware FTが有効化された仮想マシンでは本機能を利用することはできない。また、スナップショットを持つ仮想マシンをVMware FTで保護する場合は、有効化の前にスナップショットの削除、もしくはコミット処理を行っておく必要がある。
VMware FTが有効化されている仮想マシンではStorage VMotionが利用できなくなる。なお、通常のVMotionはプライマリ仮想マシン、セカンダリ仮想マシンともに利用可能である。
VMware DRSが有効化されているクラスタ内でVMware FTを有効化すること自体はサポートされるが、VMware FTが有効化された仮想マシンはDRSによる動的再配置の対象から外される。なおこの処理はVMware FTの有効化の際に自動的に実施される。
一部のLinuxゲストに関してはVMIと呼ばれる準仮想化機能を提供しているが、VMware FTが有効化された仮想マシンでは、準仮想化ゲストを実行することはできない。完全仮想化のみをサポートする。
N_Port ID Virtualization(以下NPIVと略記)とは、仮想マシン単位でファブリックへのログイン/ログアウトを可能にする技術で、仮想マシンごとにファイバチャネルアドレスや、World Wide Nameを割り当てることが可能になる。ESX 3.5よりサポートされている機能である。VMware FTを有効化した仮想マシンではNPIVが利用できなくなる。
VMDirectPath I/O とは物理デバイスを仮想マシンに直接接続する機能である。VMware FTを有効化した仮想マシンではVMDirectPath I/O機能を利用することはできない。
動作要件の項でも解説したが、VMware FTではEagerZeroedThickと呼ばれるディスクフォーマットの利用が必須となる。このためVMDKディスクのシン・プロビジョニング機能と併用することはできない。
ESX 4.0では一部のゲストOSについてCPUやメモリのホット・プラグ機能をサポートしているが、VMware FTが有効化された仮想マシンでは、この機能は利用することができない。
仮想化環境におけるメモリページの参照処理をハードウェアでアシストする機能が Intel EPT、AMD RVIである。VMware FTが有効化された仮想マシンでは、本機能は利用できなくなる。
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