「Java News.jp(Javaに関する最新ニュース)」の安藤幸央氏が、CoolなプログラミングのためのノウハウやTIPS、筆者の経験などを「Rundown」(駆け足の要点説明)でお届けします(編集部)
「クラウド・コンピューティング」の概念や言葉がIT業界では一般化してきました。国内外のさまざまなIT企業がクラウド関連へ投資し始めているようです。あまりクラウドとは関係なさそうなものまでもが、「クラウド○○〜」と流行語的に使われています。
やり手のビジネスマンも、さまざまなクラウドサービスを活用しないと生き残れないようです。クラウドは一時のバズワード(流行語)のようにとらえられがちですが、クラウド・コンピューティングの波は確実に押し寄せてきています。そこで今回は、就活・婚活になぞらえて「雲活」を指南してみましょう。
クラウドの活用のしがいのあるサービスとして、以下のようなものがあります。
上記のようなサービスで使われる場合、クラウドの特徴が利点として働く場合と、欠点として働く場合があります。さまざまな系統のクラウドサービスがありますが、主に利点として取り挙げられるのは、以下の項目です。
その一方、既存のアプローチでは回避しづらい、クラウドならではの問題点もあります。
また、国内外でさまざまなクラウドプラットフォームを提供する企業があり、サービスが立ち上がってきていますが、誰もが成功への切符を手に入れているわけではありません。
クラウドプラットフォームそのものの提供者となるためには、以下のような条件が求められます。
すべてではありませんが、このうちいくつかの点が当てはまらないと、継続的なサービス提供は難しいでしょう。
書籍やCD/DVDなど、さまざまな商品のオンライン販売で知られ、クラウドプラットフォームを提供している「Amazon.com」は、Webページのレスポンスが0.1秒遅くなると、1%売り上げが減少するそうです。
1%といえば、わずかに思えるかもしれませんが、数百億ドルの販売額のうち1%と考えると、莫大な損失です。検索エンジンのGoogleも0.5秒遅くなると、検索数が20%減少するそうです。これは、結果的に広告収入が減ることを意味しています。
これを聞いて、さまざまなWebを活用したサービスを快適に提供する場合、サーバの性能やチューニングに目を向けがちです。
ところが、「遅い」という減少のほとんどは、ユーザーが使っているPC端末のWebブラウザが遅いことによるものです。サービスの種類にもよりますが、遅さの8割程度はWebブラウザ/クライアントアプリケーション側の遅さによるものといえます(HTMLやCSS、JavaScript、画像などの扱い方にもよる)。
クラウド側のサーバ環境を細かく調整することも重要ですが、Webブラウザ/クライアントアプリケーション側のチューニングを念入りにする方が、目で見える効果が得られることでしょう。Google Chromeなど、最近はWebブラウザ自体の高速化も追い風となっています。
1度、FirefoxのプラグインFirebug&YSlowや、Google Chrome、Safariなどの機能を使って計測してみることをお勧めします。これらについては、下記記事を参考にしてください。
WebデザイナのためのHTMLチューニング入門
Webサイトを見た人の印象を良くするのか悪くするのかには“速度”が大きくかかわってきます。FirefoxのプラグインYSlowで測る7つの計測ポイントから“速い” HTMLの書き方を学びましょう
「デザインハック」コーナー
Google Chromeの隠し機能を使いこなしていますか?
本音のWebサービスガイド(3) 「起動や読み込みがすごく速いらしい!」と評判のGoogle Chromeを使ってみました。便利なアプリのショートカットや隠し機能なども紹介
デザインハック < リッチクライアント 2008/10/21
Webアプリ開発環境としてのSafariを知ってますか?
安藤幸央のランダウン(40) Safariは単なるWebブラウザではなく、Webアプリケーション開発に役立つツールとしての側面を持っています。その機能をすべて紹介しましょう
「Java Solution」フォーラム 2008/5/12
また、単に「速い」ということだけではなく、「速く動いているように見える」ことも重要です。違和感やストレスを感じさせない作りのために、データの移動(転送)効率を考えましょう。
クラウド自身データやアプリケーションがどこに設置されているのか分からないものです。ユーザーは、実体がどこにあるか分からないものを操作することになります。そこで「安心感」を見せてあげることが大切です。それは、処理の流れが見えたり、具体的に把握できたりといった要素を追加するということです。
クラウドを活用する日々は、晴れの日もあれば、曇りの日も、雨の日もあるかもしれません。クラウドの特徴を最大限に把握したうえで、よいところをさらに伸ばし「雲活」していってください。
次回は、2010年3月初めごろに公開の予定です。内容は未定ですが、読者の皆さんの興味を引き、役立つ記事にする予定です。何か取り上げてほしい内容などリクエストがありましたら、編集部や@ITの掲示板までお知らせください。次回もどうぞよろしく。
編集部より:クラウドコンピューティングに興味を持った読者は下記特設コーナーをご確認ください。随時更新中で、クラウド・コンピューティングの最新情報も分かります。
安藤幸央(あんどう ゆきお)
1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元 CG ソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG の情報源となるWebページをまとめている。
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OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman)
主な著書
「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク)
「これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社)
「The Java3D API仕様」(監修、アスキー)
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