ストレージサブシステムにはSSD、SAN、iSCSI、DASなどが挙げられます。ストレージも一時期に比べ大変安価なものが増えました。私が推奨したいのは、RAID1+0の構成です。
バランスド・システムでは、RAIDコントローラを複数用意し、HBA(ファイバーチャネル用ホスト・バス・アダプター)を複数搭載し、MPIO(マルチパス・I/O)構成にすることで、I/Oの負荷分散を行うことを推奨しています。トランザクションログ、データ領域、tempdb領域、インデックス領域はそれぞれ個別の独立した物理ディスク上のRAID領域を用意します。SSDも安価になりました。これはデータ領域のようなランダムアクセスには大変効果的ですが、tempdb領域やトランザクションログには効果が少ないでしょう。
この部分は作り替えがしづらいところです。そのため、将来を見越した設計が重要です。分けられるところはあらかじめ分け、いま手に入れられる最高の製品を取り入れましょう。
領域の分け方についても触れておきましょう。下記の表が、CATのリファレンスアーキテクチャの考え方の一例です。参考にしてみてください。
領域名 | RAID構成 | 構成 | 必要ドライブ数 (1ドライブあたり300GB) |
領域サイズ(GB) |
---|---|---|---|---|
ユーザーDBデータ領域 | RAID1+0 | 6+6 | 12 | 1800 |
ユーザーDBインデックス領域 | RAID1+0 | 3+3 | 6 | 900 |
小計 | 18 | 2700 | ||
ユーザーDBトランザクションログ領域 | RAID1+0 | 3+3 | 6 | 900 |
システム用tempdb領域 | RAID1+0 | 3+3 | 6 | 900 |
小計 | 12 | 1800 | ||
ユーザーDBトランザクションログ アーカイブ領域 |
RAID6 | 3+2 | 5 | 900 |
ユーザーDB(データ・インデックス) バックアップ領域 |
RAID6 | 5+2 | 7 | 1500 |
小計 | 12 | 2400 | ||
ユーザーDBレプリケーション領域 | RAID6 | 9+2 | 11 | 2700 |
表1 ストレージにおけるCATのリファレンスアーキテクチャの例 |
今回はCATが提唱する「バランスド・システム」の基本的な考え方について解説しました。このようなハードウェアを設計することが、システム構築、そしてチューニングの第1歩であることがお分かりいただけたでしょうか。いま抱えているボトルネックがどこにあるのかを分析することが、チューニングの極意の1つです。そのためにはまずハードウェアの特性も知っておいてほしいと思います。
次回以降、最新版である2008 R2の特徴を中心に、パフォーマンスチューニングをより深く語っていきたいと思います。
熊澤 幸生(くまざわ ゆきお)
技術フェロー特別役員
メインフレーム環境で20年近くデータベース関連のITプロジェクトを数多く経験。また1979年から1983年まで米国に駐在し、データ主導型システム設計を実プロジェクトで学ぶ。1994年、アスキー・ネットワーク・テクノロジー(現、CSK Winテクノロジ)設立に参加し、SQL Server Ver 4.2からSQL Server 2000までシステム構築、教育にかかわってきた。
マイクロソフトMVP Data & Storage SQL Server(2007年4月から)。
2008年7月より、兼務形式で、マイクロソフト?SQL Server 技術顧問に就任中。
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