本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。
現在標準で使われているIPのバージョンは4です。ですが、IPv4はあと少しで枯渇するといわれています。この問題を解決するために、次世代のIPのバージョンとして6が必要とされています。
今回はIPv6の特徴、必要性について解説します。
IPv6は現在標準で使われているIPv4の限界を克服するために開発された技術です。
IPv4のアドレス空間は32ビットで、約43億あります。ですが、あと少しでアドレスが枯渇するといわれています。広大なアドレス空間を必要とする理由としては、さまざまなデバイスからインターネットに接続することが可能になっていることや、インターネット人口が増加していることが挙げられます。このような状況から、IPv6が必要とされています。
また、IPv6は単にアドレス総数を増やすだけでなく、IPというプロトコル自体に、さまざまな機能を追加しています。
IPv6はIPv4を拡張したものです。主な拡張機能は以下のとおりです。
広大なアドレス空間 | IPv6のアドレス空間は128ビットです。広大なアドレス空間により、無限に近いアドレスが確保されます。これにより、アドレス枯渇問題で用意されていたNATが必要なくなります。 |
---|---|
集約 | アドレス構造が厳密に階層化されているため、インターネット上で効率的なルート集約を行うことができます。 |
簡潔なヘッダ | IPv4と比べてIPv6はヘッダがシンプルです。これにより、パケットを転送する際のルータの処理負荷が軽減されます。 |
自動設定機能 | オートコンフィグレーションにより、IPv6アドレスが自動設定されます。 |
モビリティとセキュリティ | プロトコル自体にMobile IPの機能が組み込まれ、透過的にネットワークのアクセスを提供することができます。また、IPv6ではIPSecの実装が必須になっています。 |
アドレスタイプ | IPv4でのブロードキャストに代わって、IPv6ではマルチキャストを使うことができます。IPv6から加わったアドレスにエニーキャストアドレス(1対最寄りのアドレス)があります。 |
表1 IPv6の拡張機能 |
IPv6の特徴として当てはまる項目を3つ選択してください。
a.128ビットのアドレス空間
b.オートコンフィグレーション
c.32ビットのアドレス空間
d.モビリティ
e.ブロードキャストアドレス
a、b、d
IPv6は128ビットのアドレス空間があります。オートコンフィグレーションによりアドレスが自動設定されます。IPv6はプロトコル自体にモビリティ機能が組み込まれており、透過的にネットワークのアクセスが可能です。従って選択肢a、b、dが正解です。選択肢c、eはIPv4の特徴です。
IPv6は128ビットもの長さがあるので、IPv4のように10進数で表現すると非常に長くなってしまいます。そこで、IPv6は16ビットずつ16進数に変換したものを1つのブロックとして表現します。ブロック間は「:」で区切ります。それでも長くなりますので、省略可能表記が用意されています。
2031:0000:140F:0000:0000:08C0:7752:130B
⇒ 2031:0:140F:0:0:8C0:7752:130B ○
⇒ 2031:0:140F::8C0:7752:130B ○
⇒ 2031::140F::8C0:7752:130B ×
(「::」を2度使用することはできないため、省略不可)
2001:5000:0ab0:0000:0000:1234:5978:0000と同じIPv6アドレスを1つ選択してください。
a.2001:5000:ab0::1234:5678:0
b.2001:5000:ab::1234:5678:0
c.2001:5000:ab0::1234:5678::
d.2001:5:ab0::1234:5678:0
e.2001:5000:ab::1234:5678::
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.