IPv4の枯渇に備えよ――IPv6の特徴と必要性ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(32)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。

» 2010年07月29日 00時00分 公開
[齋藤理恵グローバル ナレッジ ネットワーク]

 現在標準で使われているIPのバージョンは4です。ですが、IPv4はあと少しで枯渇するといわれています。この問題を解決するために、次世代のIPのバージョンとして6が必要とされています。

 今回はIPv6の特徴、必要性について解説します。

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IPv6の特徴

 IPv6は現在標準で使われているIPv4の限界を克服するために開発された技術です。

 IPv4のアドレス空間は32ビットで、約43億あります。ですが、あと少しでアドレスが枯渇するといわれています。広大なアドレス空間を必要とする理由としては、さまざまなデバイスからインターネットに接続することが可能になっていることや、インターネット人口が増加していることが挙げられます。このような状況から、IPv6が必要とされています。

 また、IPv6は単にアドレス総数を増やすだけでなく、IPというプロトコル自体に、さまざまな機能を追加しています。

 IPv6はIPv4を拡張したものです。主な拡張機能は以下のとおりです。

広大なアドレス空間 IPv6のアドレス空間は128ビットです。広大なアドレス空間により、無限に近いアドレスが確保されます。これにより、アドレス枯渇問題で用意されていたNATが必要なくなります。
集約 アドレス構造が厳密に階層化されているため、インターネット上で効率的なルート集約を行うことができます。
簡潔なヘッダ IPv4と比べてIPv6はヘッダがシンプルです。これにより、パケットを転送する際のルータの処理負荷が軽減されます。
自動設定機能 オートコンフィグレーションにより、IPv6アドレスが自動設定されます。
モビリティとセキュリティ プロトコル自体にMobile IPの機能が組み込まれ、透過的にネットワークのアクセスを提供することができます。また、IPv6ではIPSecの実装が必須になっています。
アドレスタイプ IPv4でのブロードキャストに代わって、IPv6ではマルチキャストを使うことができます。IPv6から加わったアドレスにエニーキャストアドレス(1対最寄りのアドレス)があります。
表1 IPv6の拡張機能

確認問題1

問題

 IPv6の特徴として当てはまる項目を3つ選択してください。

a.128ビットのアドレス空間

b.オートコンフィグレーション

c.32ビットのアドレス空間

d.モビリティ

e.ブロードキャストアドレス

正解

 a、b、d

解説

 IPv6は128ビットのアドレス空間があります。オートコンフィグレーションによりアドレスが自動設定されます。IPv6はプロトコル自体にモビリティ機能が組み込まれており、透過的にネットワークのアクセスが可能です。従って選択肢a、b、dが正解です。選択肢c、eはIPv4の特徴です。

IPv6アドレス表記

 IPv6は128ビットもの長さがあるので、IPv4のように10進数で表現すると非常に長くなってしまいます。そこで、IPv6は16ビットずつ16進数に変換したものを1つのブロックとして表現します。ブロック間は「:」で区切ります。それでも長くなりますので、省略可能表記が用意されています。

  • 07C0を7C0、0000を0、というように、各ブロックの先頭の0は省略可能です
  • 連続する0のフィールドは、1回に限り「::」を使って省略可能です
    (アドレスに「::」を使用して0を省略した場合、未省略部と合わせて128ビットになるまで0と判断します。ただし、「::」が2カ所以上あると、それぞれの桁数を判断できないので、一度だけ使用が可能です)(アドレスに「::」を使用して0を省略した場合、未省略部と合わせて128ビットになるまで0と判断します。ただし、「::」が2カ所以上あると、それぞれの桁数を判断できないので、一度だけ使用が可能です)
  • 未指定のアドレスは、「::」で表現できます

省略の例

2031:0000:140F:0000:0000:08C0:7752:130B

⇒ 2031:0:140F:0:0:8C0:7752:130B ○

⇒ 2031:0:140F::8C0:7752:130B ○

⇒ 2031::140F::8C0:7752:130B ×
(「::」を2度使用することはできないため、省略不可)

確認問題2

問題

 2001:5000:0ab0:0000:0000:1234:5978:0000と同じIPv6アドレスを1つ選択してください。

a.2001:5000:ab0::1234:5678:0

b.2001:5000:ab::1234:5678:0

c.2001:5000:ab0::1234:5678::

d.2001:5:ab0::1234:5678:0

e.2001:5000:ab::1234:5678::

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