企業システムなどではプラットフォームのサポートも重要です。サポートが終了すると、セキュリティの不具合の修正などのメンテナンスが終わってしまいます。しかし運用中のシステムは、ほかのシステムやミドルウェアがバージョンアップすることによる影響もあり簡単にバージョンアップできません。
APIの仕様に変更があるとテストもしなければなりません。そこでJavaはJava SEのサポートに有償サービスである「Java SE for Business」というサービスを提供しています。下図のように従来の無償版と比べて最長15年延長できます。
ほかにも、JREのアップデートに対して分析やプランニングなど移行を支援するためのサービス「Java Migration Support Service」もあります。
.NET Frameworkのサポート状況は以下のようになっています。
表3 .NET Frameworkのサポート状況(「.NET Framework のサポート概要」「Microsoft .NET Framework のサポート ライフサイクル ポリシー」より引用) | |||||||||||||||||||||||
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.NETのサポートはJavaのような有償でサポートを延長するサービスはなく、サポート終了日までに新しいバージョンへの移行を推奨しています。また、ポリシーの重要点として.NET Framework 3.5 Service Pack 1(SP1)から、.NET Frameworkはコンポーネントとして定義されます。
最後に、コミュニティ活動の面から両者を見比べてみましょう。
Javaのコミュニティは、オープンソースであることも手伝って、非常に多く存在しています。その中でも代表的なものを紹介します。
ほかにも世界中に数多くのコミュニティが存在しており、オープンソースの成果とともにコミュニティは拡大しています。またJavaそのものもJCPを通じて成長しています。
.NETのコミュニティも非常に充実しています。.NETには、マイクロソフトが提供する「Microsoft Developer Network(MSDN)」というエンジニア向けのサポートサービスがあります。このMSDNの中でマイクロソフトの製品や技術ごとのコミュニティが紹介されており、マイクロソフトの社員による回答も得られます。
また日本における状況としては、どちらの技術も言語仕様、ドキュメント、コミュニティともに日本語のサポートはかなり充実しています。
日本でのコミュニティも数多くあります。その中でもJavaでは「日本Java ユーザーグループ(JJUG)」「java-ja」、.NETでは「Visual Studio User Group(VSUG)」、そして双方をカバーする「The Seasar Project」などが有名です。
本特集では、Javaから見た.NETというテーマについて3回に分けてさまざまな視点から紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
サン・マイクロシステムズがオラクルに買収されたことによって、Javaの勢いは少し弱まっていました。ライセンスの問題でJava 7がなかなか前に進まないこともJavaの進化が鈍くなっている原因かもしれません。しかしオープンソースであるJavaはGNU GPLの基でライセンス化されています。
Javaの利用は減少気味かもしれませんが、まだまだサーバサイドの分野ではJavaのシェアは非常に大きいです。さらに近年では、GroovyやScalaなどのJVM上で動作するスクリプト言語の登場によりJavaの資産であるJVMにスポットが当たっています。
ほかにも、Androidや前述のApp Enigneの登場により、Java言語は息を吹き返した感があります。つい先日、訴訟が起きてしまったばかりですが(参照:オラクル対グーグル訴訟、Androidへの影響は?〜グーグルは「根拠がない」と反論)、オラクルとグーグル、そして数多くのJavaのコミュニティが何とか協力する方向に向かえば、Javaの未来は明るくなるのではないでしょうか。
一方、.NETはアプリケーションの形式がC/SモデルからWebアプリケーション、そしてクラウドへと変わっていく中でさまざまなプラットフォームが登場しました。近年では、Windows 7、Silverlight、Windows Azureなどがあります。しかし、どの技術に関しても.NET FrameworkとVisual Studioによって開発できるのが大きな強みです。Visual Studio 2010が動的言語にも対応し.NET開発言語の幅も広がりました。
マイクロソフトは「ソフトウェア+サービス(S+S)」という既存のクライアントとサーバの資産とインターネット上のサービスの利点を組み合わせた環境を提供することを技術戦略としています。これにより、企業やコミュニティが求めるニーズに幅広く対応できるでしょう。今後もサポートやコミュニティからのフィードバックを反映したサービスに注目です。
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