フェムトセルには数多くのメリットがあります。これらは、主に移動体通信事業者側のメリットと携帯電話ユーザーのメリットの2つに大別できます。
移動体通信事業者にとって、マクロセルの新設・増設、そして、それぞれの基地局とコアネットワーク間を接続する専用回線(バックホール回線)の運用には、非常にコストが掛かります。携帯電話の普及に伴い、通信料金の低価格化競争(定額制や一定期間の契約による大幅な割引など)が事業者間で加熱していますが、これはすなわちARPU(注3)の減少を意味します。そこで、自社の収益を確保しつつ顧客のニーズを満たすには、何らかの効率的な打開策が必要です。
フェムトセルは、各家庭に専用のパーソナル基地局として設置・運用され、宅内のブロードバンド回線と、その先にあるインターネットを介して移動体通信事業者に接続されます。そのため、上述した既存設備への投資や新規設備増設への投資を抑えることができ、収益を確保するための効率的なソリューションとなり得るのです。
携帯電話ユーザーにとっては、宅内に専用の基地局が置かれることによって、電波状況の改善というメリットが得られます。
マクロセルのみから電波を得る場合、無線、そして移動体通信に用いられる周波数帯の特性上、屋内にはどうしてもカバーしにくいエリアが生まれてしまうことがありました。フェムトセルの場合、そのような電波の穴を補完し、いつでもどこでも快適な携帯電話サービスを提供することが可能になります。
また、前述したデータオフロードによる通信品質の向上により、Wi-Fiに接続しなくとも、近年人気が高まっているストリーミングなどの広帯域のアプリケーションを快適に楽しむことが可能になります。
注3:加入者1人当たりの売上高
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