モニタ機能の設定ができたところで、情報を検索してみましょう。検索には、ldapsearchコマンドを使います。まずは、モニタデータベースであるcn=Monitorサブツリーの中を検索します。
# cd /usr/local/openldap-2.4.23 |
実行すると、図1のような結果になります。図1を見ると、モニタデータベースのDIT(Directory Information Tree)のトップとなる「cn=Monitor」の1つ下のエントリが出てきています。それぞれのエントリは、表1のような情報を提供します。
オブジェクト | 提供する情報 |
---|---|
Backends | バックエンドとして利用可能なデータベース |
Connections | コネクションに関連する統計情報 |
Databases | 利用中のバックエンドデータベースの設定や運用状況の情報 |
Listener | OpenLDAPサーバがリスニングしているプロトコルやIPアドレス、ポート番号の情報 |
Log | ログレベル |
Operations | サーバ全体の、各操作の実行回数の統計 |
Overlays | 利用可能なオーバレイモジュール |
SASL | (未実装) |
Statistics | サーバ全体の送信データ量に関する統計 |
Threads | ワーカースレッドの動作状況に関する情報 |
Time | OpenLDAPが起動した時刻などの情報 |
TLS | (未実装) |
Waiters | 送信、受信処理の実行回数 |
表1 cn=Monitorが持っているエントリと、それぞれが保持している情報 |
ここからは、cn=Monitor以下のエントリがどのような情報を提供するのか詳しく紹介していきます。今回は特に、構成情報を保持するエントリ、特に「Backends」と「Databases」の中身に迫ります。
一般に、ディレクトリ情報を投入するバックエンドデータベースには、実績があるbdb(Berkeley DB)を選択することが多くなっています。しかし、OpenLDAPサーバで利用可能なバックエンドデータベースは、bdbの他にも多数存在し、目的によっては特殊なものを使うこともあります。
バックエンドで利用するデータベースは、OpenLDAPサーバをコンパイルする時点で、どれを使うのかを決める必要があります。ただし、「bdb」や、「monitor」のように、明示的な指定がなくても、初期設定で組み込まれるバックエンドデータベースもあります。
ディストリビューションに付属するOpenLDAPサーバを利用するときや、途中からOpenLDAPサーバの運用を引き継いだ管理者は、バックエンドデータベースに何が組み込まれているのか気になることでしょう。このように、自分でコンパイルしていないOpenLDAPサーバの構成情報を確認したくなる場面はあるものです。こういうときに活用できるのが、モニタ機能です。
では、実際に「cn=Backends,cn=Monitor」以下を、検索してみましょう。下の例のようにコマンドを入力して実行してください。図2のような結果になります。
# cd /usr/local/openldap-2.4.23 |
「cn=Backends,cn=Monitor」からは、OpenLDAPで利用可能なバックエンドデータベースの情報を取得できます。上記のコマンドを実行すると「Backends」の情報に加えて、そのサブエントリに当たる「Backend 0」〜「Backend n」(nは、使用可能なバックエンドデータベースの数)の情報を表示します。MonitorとBackends、そしてそれぞれのBackend nの関係は、図3のようにイメージすることができます。
それぞれのBackendの情報を見ると、バックエンドデータベースの詳細を把握できます。とりわけ役に立つ情報としては「monitoredInfo」が挙げられます。ここには、OpenLDAPをコンパイルするときに静的に組み込んだバックエンドデータベース、またはモジュール形式でコンパイルし実行時に読み込んだバックエンドデータベースの種類が現れます。
ほかには、「monitorRuntimeConfig」「supportedControl」「seeAlso」といった項目が存在します。monitorRuntimeConfigは、実行時に当該のバックエンドの構成変更が可能かどうかをTRUEかFALSEで表示しています。supportedControlは、当該のバックエンドで利用できるLDAPプロトコルの操作を表示しています。seeAlsoは、当該のバックエンドを利用して構成したバックエンドデータベースを参照するための情報を表示しています。
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