物理マシンの起動ディスクに共有ストレージ装置上のLUNを用いる方法として Boot From SAN(SAN Boot)と呼ばれる方法がある。Boot From SANは通常ファイバチャネルSANを利用するか、もしくはiSCSIハードウェアイニシエータを用いて構成する。
一方で、iSCSIソフトウェアイニシエータ機能を用いてBoot From iSCSI SANを実現するテクノロジーも普及しつつある。iSCSIソフトウェアイニシエータは一般的なLANコントローラ(NIC)があれば利用可能であるため導入コストが低く、広く利用されている。近年市場に出荷されているLANコントローラはiSCSI Boot Firmware Table(以降iBFTと略記)と呼ばれるテクノロジーを実装しているものが多い。iBFTを用いると、iSCSIソフトウェアイニシエータを用いたBoot From iSCSI SANが利用可能になる。
ESXi 4.1ではiBFTを利用したBoot From Software iSCSI機能がサポートされた。ご注意頂きたいのは、本機能はESXiのみで利用可能であるという点である。サービスコンソールありの従来型ESXでは利用することができない。
iBFTに対応したLANコントローラはVMware Compatibility Guideより確認することができる。
iBFTをサポートするLANコントローラを搭載しているサーバでは、ファームウェア画面にてiSCSI BootのためのオプションROMの設定を行うことができる。こちらでiSCSIの利用に必要な初期設定を行い、ブート時のターゲットとして用いるLUNの設定を行う。ファームウェア側が適切に設定されていれば、ESXiのインストーラはターゲットとなるLUNを検出し、インストールを行うことができる。
vSphere環境ではさまざまな統計情報を取得することができる。ストレージ装置の性能情報についてもvSphere Clientのパフォーマンスチャートやesxtopコマンドを用いることで取得することができる。
ただし、過去のリリースにおいてはNFSデータストアの性能情報を「ストレージ性能」という観点から収集・分析することはできなかった。このため、あくまでもネットワークトラフィックの一部という形で利用状況を観察する必要があった。
vSphere 4.1ではこの部分が改善され、NFSデータストアに関しても、ファイバチャネルやiSCSIで接続されたデータストアと同様に性能情報を収集・出力することが可能になった。vSphere Clientのパフォーマンスチャート機能、esxtopのディスク性能監視機能両方がNFSデータストアの扱いに対応したため、より透過的な性能監視を行うことができるようになった。
今回はvSphere 4.1のストレージに関する新機能の第2回ということで、Storage I/O Control、Boot From Software iSCSI、そしてNFSデータストアの性能情報収集機能を紹介した。
次回はvSphere 4.1の新機能紹介の最終回ということで、これまでの連載ではカバーできなかったいくつかの新機能について紹介する予定である。
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