ThunderboltテクノロジーWindows Insider用語解説

Intelが開発した新しい高速インターフェイス規格「Thunderbolt」。すでにMacBookなどに採用されている。Thunderboltのメリットは? USB 3.0との違いは?

» 2011年08月29日 00時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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 Intelが開発したPC向けのデータ転送技術。

 開発コード名は「Light Peak(ライト・ピーク)」で、2009年9月に米国サンフランシスコで開催された「Intel Developer Forum Fall 2009(IDF Fall 2009)」で初披露された。その後、2011年2月24日にAppleが発表したノートPC「MacBook Pro」の新型で初めてThunderboltテクノロジーが採用されている。

 「Thunderbolt(サンダーボルト)」テクノロジーは、データ転送用にPCI Express、ディスプレイ用にDisplayPortの2つの通信技術ならびにプロトコルをベースとし、送信/受信でそれぞれ最大10Gbit/sという高いスループットを実現する高速シリアル・インターフェイス規格だ(Intelによれば、今後の10年で100Gbit/secを実現するとしている)。またUSBと同様、デバイスに対してPC側から電源供給も可能となっている。

Thunderboltテクノロジーの概念
Thunderboltテクノロジーは、データ転送用にPCI Express(PCIe)、ディスプレイ用にDisplayPortの2つの通信技術ならびにプロトコルを採用する。PC側とデバイス側のThunderboltコントローラ間で、PCI ExpressとDisplayPortのプロトコルをやり取りする。(出展:IntelのThunderbolt説明資料より)

 PCI Expressは汎用的なインターフェイスであることから、さまざまなデバイス接続に対応できるというメリットがある。例えば、RAIDアレイや外部ディスプレイ・コントローラ(GPU)、ファイバ・チャネルなどの接続にも利用可能だ。一方のDisplayPortは、ディスプレイ・デバイスの標準インターフェイスの1つであり、高い帯域幅を低レイテンシーで接続できるという特長がある。PCI ExpressとDisplayPortの2つの規格をサポートすることで、1本のThunderboltケーブルで外部ディスプレイとRAIDアレイをディジーチェーン(数珠つなぎ)で接続可能としている。

 Appleでは、このようなThunderboltテクノロジーの特徴を生かしたThunderboltディスプレイを発表している。Thunderboltディスプレイには、USBやイーサネットなどのインターフェイスをThunderboltに接続する形で内蔵している。これにより、Thunderbolt対応のMacBook(ノートPCのシリーズ)とThunderboltケーブル1本で接続することが可能になり、USBやイーサネットなどのケーブル接続をThunderboltディスプレイの方に集約できるようなっている。これによりノートPCを持ち運ぶ際に着脱しなければならないケーブル本数が減らせる(Thunderboltケーブル1本と電源ケーブルを抜けばすぐに持ち運べる)というメリットがある。

MacBook Airに採用されたThunderboltコネクタ
MacBook Pro/Airに採用されているThunderboltテクノロジーのコネクタは、Mini DisplayPortをベースにしている。
  (1)MacBook AirのThunderboltコネクタ。形状は、Mini DisplayPortと同じで、DisplayPortとThunderboltの排他利用となる。

 Appleが採用するThunderboltテクノロジーでは、コネクタにMini DisplayPortをベースにしたものを使い、ケーブルは銅線となっている。しかしIntelがLight Peakとして開発していた際の当初の規格では、USBをベースとしたコネクタに光ファイバー・ケーブルを組み合わせていた。実際、このオリジナル(?)規格と思われるものが、ソニーのノートPC「VAIO Z」と機能拡張ユニット「Power Media Dock」(店頭モデルは標準装備)との接続に採用されている。光ファイバー・ケーブルは、現時点では銅線などに比べて高価で、取り扱いも難しい(折り曲げなどに弱い)といったことから、銅線の規格が追加され、それがAppleに採用されたようだ。

Thunderboltテクノロジー搭載PCのシステム・ブロック図
Thunderboltコントローラは、Intelのチップセットに内蔵されておらず、専用チップの実装が必要になる。チップセット(PCH)とは、PCI Express(PCIe) x4で接続される。(Intelの「Thunderbolt Technology: The Transformational PC I/O」より)

 Promise TechnologyやWestern Digitalなどのストレージ・ベンダ、Aja(プロ向けのビデオコンバータ・ベンダ)やAvid(映像/音楽編集ソリューション・ベンダ)などのAVベンダなどが、Thunderboltテクノロジー対応製品を発表/開発しているということだ。ただThunderboltテクノロジーは、Intel 1社が規格化したもので、標準化団体で決められたものではない。そのため、今後、Intelや採用ベンダの意向によって規格が大きく変更・拡張されていく可能性も否定できない。このようなことから、まだ広く対応周辺機器が揃う状態ではないことは留意しておいた方がよい。

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