EIGRPのクエリやスタブを学ぶCCNP対策講座 ROUTE編(2)(2/2 ページ)

» 2012年02月23日 00時00分 公開
[内藤佳弥子グローバル ナレッジ]
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EIGRPスタブ

 EIGRPを実行しているルータは、フィージブルサクセサがない状態でサクセサがダウンした場合、各ネイバーに代替経路がないかクエリを送信することは前述しました。大規模なハブアンドスポークネットワークの場合を考えてみましょう。

 以下の図2では、ハブルータがルータ1とルータ2、スポークルータがルータ3・ルータ4・ルータ5です。

図2 ハブアンドスポークトポロジでのEIGRPクエリ 図2 ハブアンドスポークトポロジでのEIGRPクエリ

 ルータ2の先の、10.1.1.0/24ネットワークがダウンしました(【1】)。フィージブルサクセサが存在しないため、ルータ2はルーティングテーブルから10.1.1.0/24を削除し、トポロジテーブルの10.1.1.0/24へのルートをアクティブ状態にします。ルータ2は、全てのネイバーにクエリを送信して、10.1.1.0/24への代替経路がないか確認します(【2】)。

 クエリを受信したルータ3・ルータ4・ルータ5は、10.1.1.0/24へのフィージブルサクセサを保持していないため、さらにネイバーにクエリを送信して、代替ルートがないか確認します(【3】)。ルータ3・ルータ4・ルータ5からのクエリを受信したルータは、さらにネイバーにクエリを送信します(【3´】)。

 図2の動作では、不要なクエリを送信しあうことにより、コンバージェンスに時間がかかります。この解決策としてスタブの設定があります。

 スタブは、スポーク側のルータに設定します。スタブを設定したルータは、自身がスタブであることをネイバーに通知します。すると、クエリはスタブルータには送信されなくなり、ネットワークが安定します。

 また、スタブルータは送信するルートを制限できるため、メモリやCPUの使用率も減少します。

EIGRPスタブの設定

 スタブの設定は、ハブアンドスポークトポロジのスポーク側で行います。

(config-router)#eigrp stub <オプション>
<オプション>の種類 役割
received-only スタブルータはルート情報を受信。スタブルータ自身からはルート情報を送信しない
connected スタブルータは直接接続しているルート情報を送信
static スタブルータはスタティックルートを送信。その際にはルート再配送の設定が必要
summary スタブルータは集約ルートを送信

 デフォルトでは、connectedとsummaryが有効になっています。

確認問題3

  • 問題

 スタブを使用する目的を、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。

a.クエリの範囲を拡張
b.スタブルータはルートを通知しない
c.スタブルータに対して、自動的にスタティックルートを通知
d.ネットワークが安定し、メモリやCPUの利用率が減少

  • 正解

 d

  • 解説

 正解は、dです。スタブを設定されたルータには、クエリが送信されなくなり、不要なクエリが送信されません。メモリやCPUリソースの利用率などを減少させ、ネットワークを安定化できます。選択肢aのクエリの範囲を拡張する、は誤りです。クエリの範囲を拡張するのではなく縮小します。

筆者紹介

グローバル ナレッジ ネットワーク

内藤佳弥子

IT業界でヘルプデスク、ユーザーサポートを経てトレーナーになる。現在は、Cisco認定トレーナーとして、CCNA、CCNPのコースなどのCisco認定トレーニングコース、ネットワーク系オリジナルコースを担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら



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