EIGRPを実行しているルータは、フィージブルサクセサがない状態でサクセサがダウンした場合、各ネイバーに代替経路がないかクエリを送信することは前述しました。大規模なハブアンドスポークネットワークの場合を考えてみましょう。
以下の図2では、ハブルータがルータ1とルータ2、スポークルータがルータ3・ルータ4・ルータ5です。
ルータ2の先の、10.1.1.0/24ネットワークがダウンしました(【1】)。フィージブルサクセサが存在しないため、ルータ2はルーティングテーブルから10.1.1.0/24を削除し、トポロジテーブルの10.1.1.0/24へのルートをアクティブ状態にします。ルータ2は、全てのネイバーにクエリを送信して、10.1.1.0/24への代替経路がないか確認します(【2】)。
クエリを受信したルータ3・ルータ4・ルータ5は、10.1.1.0/24へのフィージブルサクセサを保持していないため、さらにネイバーにクエリを送信して、代替ルートがないか確認します(【3】)。ルータ3・ルータ4・ルータ5からのクエリを受信したルータは、さらにネイバーにクエリを送信します(【3´】)。
図2の動作では、不要なクエリを送信しあうことにより、コンバージェンスに時間がかかります。この解決策としてスタブの設定があります。
スタブは、スポーク側のルータに設定します。スタブを設定したルータは、自身がスタブであることをネイバーに通知します。すると、クエリはスタブルータには送信されなくなり、ネットワークが安定します。
また、スタブルータは送信するルートを制限できるため、メモリやCPUの使用率も減少します。
スタブの設定は、ハブアンドスポークトポロジのスポーク側で行います。
(config-router)#eigrp stub <オプション>
<オプション>の種類 | 役割 |
---|---|
received-only | スタブルータはルート情報を受信。スタブルータ自身からはルート情報を送信しない |
connected | スタブルータは直接接続しているルート情報を送信 |
static | スタブルータはスタティックルートを送信。その際にはルート再配送の設定が必要 |
summary | スタブルータは集約ルートを送信 |
デフォルトでは、connectedとsummaryが有効になっています。
スタブを使用する目的を、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。
a.クエリの範囲を拡張
b.スタブルータはルートを通知しない
c.スタブルータに対して、自動的にスタティックルートを通知
d.ネットワークが安定し、メモリやCPUの利用率が減少
d
正解は、dです。スタブを設定されたルータには、クエリが送信されなくなり、不要なクエリが送信されません。メモリやCPUリソースの利用率などを減少させ、ネットワークを安定化できます。選択肢aのクエリの範囲を拡張する、は誤りです。クエリの範囲を拡張するのではなく縮小します。
内藤佳弥子
IT業界でヘルプデスク、ユーザーサポートを経てトレーナーになる。現在は、Cisco認定トレーナーとして、CCNA、CCNPのコースなどのCisco認定トレーニングコース、ネットワーク系オリジナルコースを担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら。
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