本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。
今回はEIGRPのクエリやスタブを紹介します。EIGRPには、拡張性の高いネットワークに対応するために、クエリやスタブという機能があります。クエリやスタブを利用することで、大規模なネットワーク環境でも、ルータのCPUやメモリに掛かる負荷を抑え、コンバージェンス(収束)を高速に行えます。
大規模なEIGRPネットワークでは以下の問題点があります。
まずは、EIGRPのクエリについて整理します。
アクティブ状態とは、そのネットワークに対するクエリをネイバーに送信後、ネイバーからの応答を待っている状態です。そのネットワークへは到達不可能であることを表し、アクティブ状態のルートはルーティングテーブルには登録されません。パッシブ状態とは、そのネットワークに到達可能なことを表す状態です。
ルートの状態は、トポロジテーブルを表示するコマンド「show ip eigrp topology」で確認できます。トポロジテーブルの例です。
Router#show ip eigrp topology IP-EIGRP Topology Table for AS(100)/ID(192.168.12.81) Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply, r - reply Status, s - sia Status P 10.1.1.0/24, 1 successors, FD is 40514560 via 10.140.24.1 (40514560/28160), Serial0/0/0 P 10.212.212.0/24, 1 successors, FD is 40512000 via Connected, Serial0/0/1 〜以下略〜
ルート情報の先頭には、「P」や「A」などの記号がつきます。「P」がそのルートがパッシブ状態であること、「A」がアクティブ状態であることを表します。
以下のトポロジで各ルータでEIGRPを有効にしており、ルータ1ではネットワーク10.1.1.0/24への代替経路が存在しない場合を考えてみましょう。
ルータ1の先の10.1.1.0/24がダウンしました(【1】)。ルータ1は、10.1.1.0/24へのフィージブルサクセサが存在しないため、ルーティングテーブルから10.1.1.0/24のエントリを削除します(【2】)。
ルータ1はトポロジテーブルの10.1.1.0/24のルートをアクティブ状態にし、ルータ2に10.1.1.0/24の代替経路が存在するか確認するためにクエリを送信します(【3】)。ルータ2も同様に、ルーティングテーブルから10.1.1.0/24のエントリを削除し(【4】)、トポロジテーブルの10.1.1.0/24のルートをアクティブ状態にして、ルータ3にクエリを送信します(【5】)。ルータ3も同様に動作します(【6】【7】)。
このトポロジでは、10.1.1.0/24への使用可能な代替経路が存在していないため、このEIGRPクエリの伝搬プロセスは効率的ではありません。
クエリに対する応答が3分間なかった場合、そのルートはSIA(Stuck-In-Active)という状態になります。そして、ルータが応答しないネイバーとの関係をリセットします。
ルートがアクティブ状態であることを確認できる最も適切なコマンドを、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。
a.show ip route
b.show ip eigrp topology
c.show ip sia
d.show ip eigrp neighbor
b
正解は、bのshow ip eigrp topologyです。選択肢aはルーティングテーブルを表示するコマンドで、選択肢dはネイバーテーブルを表示するコマンドです。
クエリを送信し、応答を待っているネットワークの状態を、次の選択肢の中から1つ選択しなさい。
a.リスニング状態
b.ブロッキング状態
c.パッシブ状態
d.アクティブ状態
d
正解は、dのアクティブ状態です。アクティブ状態とは、そのネットワークに対するクエリをネイバーに送信後、ネイバーからの応答を待っている状態です。
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