フリーエンジニア座談会「ぶっちゃけた話、スマホ業界ってオイシイ?」エンジニアなう(1)(1/2 ページ)

現場を知るエンジニアならではの「ぶっちゃけトーク」レポートをお届けします。ポジティブ&ネガティブな本音が盛りだくさん!

» 2012年03月26日 00時00分 公開
[Engineer factory]
※本記事は、「Engineer factory」のコンテンツを一部@IT表記に統一した上で、許可を受けて転載するものです。

 あっちを向いてもスマホ、こっちを向いてもスマホ。スマホユーザー数が急激に伸びている中、スマホ業界では何が起こっているのか? 

 スマホ業界の中にいるエンジニア自身は、この業界をどう見ているのか――今回はフリーの立場で腕利きと評判の高い有志を募って、緊急座談会を開催した。

 最初は固かったメンツも、狭い業界でフリーで働く者同士。お酒の勢いも手伝って、打ち解けてきたころ合いを見計らって本題に入った。

 スマホ業界の中の人たちのぶっちゃけトークを、「適応能力編」「開発実践編」の2編でお届けする。

覆面座談会参加エンジニア経歴紹介
M畑氏(35歳) スマートフォン系ミドルウェア開発を手掛けるなど、幅広く活躍中。
T林氏(31歳) 元コンサルタントで開発に関して、業務系からアプリまで網羅。現在はスマートフォンプラットフォームの構築を手掛けている。
N岡氏(27歳) 今でもこれからもBtoC業界で生きてきたゲーム開発エンジニア。現在はフリーランスという立場でさまざまな現場でスマホアプリを制作中。
S野氏(29歳) 自衛隊からIT業界に突入した変わり種。現在はスマホアプリの企画〜開発まで担当。

経緯も目標もさまざま。でも、スマホ業界には夢がある!

――今回集まっていただいた皆さんは、フリーという立場でスマホ関連業務をやっているとのこと。どういった経緯で今の職に就いたのですか?

M畑氏 私はもともとフリーを目指していたわけではなく、所属会社の事業転換で仕方なくなったクチです。それまでサーバサイドの仕事に従事してたのが、会社の意向でITから急に商業に……無理です。で、仕方なくフリーエンジニアになりました。ちょうど自分のキャリアとポジション、それに報酬が見合うのがスマホ関連の案件だったんです。

T林氏 私は「好きなことをやりたかった」というのが一番の動機でしたね。会社にいるとどうしてもメインプロダクトをやらなきゃならない。自分はもっといろいろなものを作りたかったので、フリーを選びました。スマホ業界はその点、面白そうだった。好きなことをやって、お金をもらえるのが一番ですね。

N岡氏 私はコンシューマ向けのサービス会社で働いてました。会社の経営陣がもうけよりも好きな仕事に打ち込む人たちだったので経営が苦しくなったらしいのですが、明るい顔で「明日から来なくていいよ」と言われちゃったんです(笑)。その後、いろいろ職場を探したのですが、最終的に一番好きなサービス開発に打ち込みたかったので、フリーになりました。ちょうどスマホ向け案件が増えていたときだったので、必然的にこっちに来たというわけです。

S野氏 ほんの2年前までは会社で企画をやっていました。その時、案件の説明をする際に細かい仕様とかは技術を理解していたほうが早いと思って、エンジニアになりました。最近ではスマホ向け案件が増えていて、ぶっちゃけフリーでも仕事を請けられるというのが分かってきたんです。会社でわざわざ受注するメリットってなんだろう? と疑問に思ったんですが、その時はもうフリーになっていました。

――その時に感じた疑問とは?

S野氏 一番思ったのは「適応力」ですね。技術のスキームを覚えておくことが大切で、それだけ理解しておけば優位に立てるのですが、会社員だと与えられた範囲だけをやっていればいい。向上心のある人は自分の時間を削ってでも勉強しているんですが、実際にはなかなか難しいですよね。好きなことに対して妥協したくないと思えば、フリーも視野に入れておく必要はあると感じました。

――スマホ業界は変化が激しいから、適応力は特に必要ですよね。

T林氏 IT業界のトップ集団って、ひと月前の優位性を維持するのが難しいですよね。毎日、進んでないとすぐに抜かれちゃいますし。アンテナを常に立てておけるフリーの立場では、そういったことは当たり前にやれないと、仕事にならない。スマホ業界は特に、その傾向が強いと思います。

S野氏 業務をやるにしても、会社に属していると、エンジニアはこのレイヤ、管理はここのレイヤと決まっていて、それぞれの人は最後まで自分がどこにいるか見えなかったりする。けど、フリーでやっていると、スタートから終わりまで全部、自分で面倒を見なきゃいけない。でもこれって、問題点もすぐに見つかるし、実際の現場では的確な指示をしたりするのに役立つんですよ。

M畑氏 プロジェクトに加わっていると、誤った指示をしてくる社員さんも多いですよね。プログラムが分からないのはいいとしても、業務を知らないのはいただけない。「本当にこれでいいんですか? こうしたほうがいいですよ」とお話しするけど、一度失敗してからじゃないとその意見は聞き入れてくれない。

S野氏 結局、それって「エンジニアかクリエイターか」の違いですよね。会社の中のエンジニアでいると、技術を磨いているだけのことが多い。フリーだとそうはいかないから、技術はできて当たり前で、どう効率よく作るか、マーケティングはどこにポジションするのかとか考えないといけない。生き残るには、周りが見えてないとできないんですよね。

――やっぱりフリーでは1つの案件をやるにしても、立場や考え方を変えなくてはいけないんですね。将来のことや、もう一度会社に入るなどは考えますか?

M畑氏 フリーでも、エンジニアと企画とデザイナーがいれば会社はやれますね。ただ、それだけだと資金が続かない。自分で調達するのも難しいので、組織に入った方が楽、という考え方もあるとは思います。いずれにしても、将来にわたってフリーというのは苦しいので、なるべくコンスタントにお金が入るようなビジネスモデルを持った方がいいでしょうね。

N岡氏 私の場合、まだフリーになってからそれほど時間がたってないので、何をやるにしても見聞を広げないとならない時期だと思ってます。今は技術力を高めたり、たくさんの人と知り合ったり、いろいろと興味のあることがたくさんあります。

T林氏 いろいろな会社の人と知り合いになるのはお勧めだな。

N岡氏 成功している会社、失敗した会社、それぞれどんな取り組みをどうやって続けていく中でそうなったのか。フリーという立場で見ていると本当の理由が分かるような気がしています。

――フリーでいると案件によっては他の組織と合同で開発することもあると思いますが、そういった場所でうまくやっていくには何かコツがありますか。

N岡氏 フリーではあまりないんですが、社員と派遣という立場だといろいろあるみたいです。ぼくが知っている中でもスーパープレイヤーみたいな派遣の人がいたんです。その人は自分のスキルもよく理解しているから「ここまではできる」「これはできない」ってはっきり言う。クライアントはアバウトに「やってよ」って言うんですけど、「キャパシティを超えるから納期には間に合わない」って言ったら切られちゃいました……。すごい人だったんですが、クライアントとは合わなかったってことなんでしょうね。

M畑氏 多分、正しいことを言う人は駄目なんでしょうね。先日の震災でも、某電力会社で最初に正しいことを言った人は更迭されちゃったみたいじゃないですか。

全員 むむむ、難しいですな……。

T林氏 私はコンサルの経験をしてきたから、ちょっと皆さんとは意見が違いますね。コンサルは提案してなんぼ。食らいつくのが普通だし、プレゼンがうまくないとやっていけない。要するに、コミュニケーション能力があって当然みたいなところがあるんです。案件によってはフリーも含めてその時のチームが一丸とならないと駄目な局面もあるわけで、そこから外れてしまうともう辞めてもらうしかないかもしれません。

袖山 それが嫌なら、自分からいやすい環境を作るしかない。

T林氏 それなんですよ。個人のキャラクターでそれが許せちゃうことも実際にはあるので、結局はコミュニケーション能力がないと……。自分で仕掛けて、自分の流れに巻きこんじゃうみたいな。

M畑氏 別に昼間の仕事がそこそこでも、夜のお付き合いがうまいとなんとかなっちゃうこともあるみたいですしね。仕事はそれほどできるわけじゃないのに飲み会には毎回誘われるフリーとか。

全員 (爆笑)

エンジニアとしてのキャラ立てが必要なのはスマホ業界でも一緒!

――フリーの立場でスマホ業界に居る人は技術を突き詰めたい人とプロデュースまでしたい人のどちらが多いですか?

M畑氏 私は技術系よりも人と話をするのが好きなタイプですね。クライアントの話を聞きながら、それにぴったり合う技術を引っ張ってこられることが大切だと思ってます。極端な話、自分でコーディングしなくてもいいぐらいだと考えてます。

S野氏 もっと細かいフェイズがあると思いますが、新しいものをどんどん覚えて吸収して、その生かし方も知っているのがベスト。プログラムは書ければ誰でもいいんです。1つの技術を突き詰めるのもいいですが、スマホ業界のエンジニアが増えて誰でもそこそこ書けるようになっちゃえば技術うんぬんで食べていけなくなる。

N岡氏 まだ漠然としてますが、今は技術を覚えたいですね。まずはそれを手に入れたいです。最終的に人の上に立てるときが来ても、技術を知らないよりは知っていたほうがいいと思います。

T林氏 どっちとかは考えてませんね。必要とされることをやる。コンサルが必要ならコンサルティング、エンジニアが必要ならエンジニアリングをやる。そういった幅広い能力がないと、フリーは厳しいと思います。

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