本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。
今回はOSPFにおける、さまざまな「エリア」を紹介します。標準エリア、バックボーンエリア以外のエリアを使用することで、リンクステートデータベースや、ルーティングテーブルのサイズを縮小して、ルータのCPUやメモリの負荷を低くすることができます。
OSPFには、「バックボーンエリア」「標準エリア」「スタブエリア」「トータリースタブエリア」「NSSA(Not-So-Stubbyエリア)」「トータリーNSSAエリア」という6種類のエリアがあります。図1では、例えばエリア1を、スタブエリア、トータリースタブエリア、NSSA、トータリーNSSAエリアなどに設定できます。
●バックボーンエリア
複数のエリアでOSPFを動かす場合、必ずバックボーンエリアが必要です。ほかのエリアはバックボーンエリアに物理的に接続している必要があります。エリア間のトラフィックは必ずバックボーンエリアを通過します。バックボーンエリアのエリア番号は0と決まっています。LSAタイプ1〜5が転送されます。
●標準エリア
バックボーンエリアではない通常のエリアです。LSAタイプ1〜5が転送されます。
●スタブエリア
標準エリアをスタブエリアとして構成できます。スタブエリアは、非OSPFドメインのネットワークアドレス情報を伝えるLSAタイプ5が転送されません。非OSPFドメインのネットワークアドレス情報はABRによりLSAタイプ3で、デフォルトルートが伝えられます。ASBRは配置することはできません。LSAタイプ1、2、3が転送されます。
●トータリースタブエリア
スタブエリアよりも、さらにエリア内に転送されるLSAを減少できます。LSAタイプ5が転送されないのに加えて、ほかのエリアのネットワークアドレス情報を伝えるLSAタイプ3は個別に転送されず、ABRによりデフォルトルートが伝えられます。デフォルトルートはLSAタイプ3で転送されます。ASBRは配置することはできません。LSAタイプ1〜3が転送されます。
●NSSA(Not-So-Stubbyエリア)
NSSAはASBRを配置できるスタブエリアです。非OSPFドメインのネットワークアドレス情報はABRによりLSAタイプ3で、デフォルトルートが伝えられます。
NSSA内のASBRは、非OSPFドメインのネットワークアドレス情報をタイプ7LSAでNSSA内にフラッディングします。タイプ7LSAはNSSA内だけにフラッディングされるので、NSSA内のABRは、タイプ7LSAをタイプ5LSAに変換して、バックボーンエリアに転送します。
ただし、デフォルトルートは自動的にアドバタイズされないので、明示的に設定する必要があります。LSAタイプ1〜3、7が転送されます。
●トータリーNSSA
ASBRを配置できるトータリースタブエリアです。ほかのエリアのネットワークアドレス情報は個別に伝えられず、ABRによりデフォルトルートが伝えられます。デフォルトルートは自動的にアドバタイズされます。
NSSAと同様、タイプ7LSAが転送されます。NSSA内のABRは、タイプ7LSAをタイプ5LSAに変換して、バックボーンエリアに転送します。LSAタイプ1〜3、7が転送されます。
インターフェイスが異なるエリアに所属するOSPFルータの種類を1つ選択しなさい。
a.タイプ1
b.タイプ2
c.タイプ3
d.タイプ4
e.タイプ5
a、b、c
正解はa、b、cのタイプ1〜3です。LSAタイプ4、5はABRでブロックされます。
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