BGPアトリビュートとはCCNP対策講座 ROUTE編(8)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。

» 2012年09月13日 00時00分 公開
[内藤佳弥子グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回はBGPアトリビュートを学習します。パスアトリビュートは最適経路を判断するための値で、IGPのメトリックに相当するものです。しかしBGPには、そのメトリックに相当するものがたくさんあります。特に重要なアトリビュートについて学習しましょう。

パスアトリビュートの分類

 パスアトリビュートは、最適ルートを判断するために経路情報に付けられる値です。状況に応じて追加、変更、削除が可能です。パスアトリビュートには、経路情報に必ず付けられているものと、そうでないものがあります。パスアトリビュートはカテゴリに分けられています。各アトリビュートの詳細は、後述します。

カテゴリ 説明 アトリビュートの例
well-known
mandatory
すべてのBGPルータが解釈し、アップデートに必ず付加しなくてはならない ORIGIN
AS_PATH
NEXT_HOP
well-known
discretionary
すべてのBGPルータが解釈するが、アップデートには必ず付加しなくてもよい LOCAL_PREFERENCE
optional
transitive
すべてのBGPルータが解釈できるとは限らないが、その場合でも他のBGPネイバーに伝搬 COMMUNITY
optional
nontransitive
すべてのBGPルータが解釈できるとは限らないが、その場合は他のBGPネイバーに伝搬しない。パスアトリビュートが解釈できない場合には削除される MED
表1 パスアトリビュートのカテゴリ

確認問題1

  • 問題

 well-known mandatoryに該当するアトリビュートを、次の選択肢の中から3つ選択しなさい。

a.MED
b.AS_PATH
c.ORIGIN
d.NEXT_HOP
e.COMMUNITY

  • 正解

 b、c、d

  • 解説

 正解はb、c、dです。選択肢aのMEDはoptional nontransitiveのカテゴリに該当し、選択肢eのCOMMUNITYはoptional transitiveのカテゴリに該当します。

アトリビュートの詳細

 アトリビュートの詳細について説明します。特に、AS_PATH、LOCAL_PREFERENCE、MEDを詳しく紹介します。

●ORIGIN

 BGPルートの生成方法を示します。

コード 生成元 意味
0 IGP(i) networkコマンドで生成したルート
1 EGP(e) EGPという古いプロトコルで生成したルート
2 IMCOMPLETE(?) IGPsからBGPに再配送したルート
表2 BGPルートの生成方法

 コードが小さい方が優先されます。「再配送したBGPルートはBGPテーブル上では?」と表示されます。しかし「?」のまま他のASにアドバタイズするのはマナーが良くないと言われているため、通常はroute-mapを用いて「i」に変更するのが一般的です。従って、ORIGINコードはほとんどiと考えて問題ありません。

●NEXT_HOP

 経路に対するネクストホップアドレスです。IGPsのネクストホップは宛先ネットワークへ到達するための次のルータのIPアドレスを表します。BGPはAS単位で考えているため、BGPのネクストホップはデフォルトでは、次のASのIPアドレスとなります。ネクストホップへの到達性がないと、ベストパスの選択が行われません。

●COMMUNITY

 コミュニティ値を付けてルートをグループ化します。コミュニティ値を付けるASと、コミュニティ値を基に処理するASの両方が必要です。あらかじめ、どのルートに対してどのような処理をさせたいのかAS間で協議しておきます。

●weight

 Cisco独自のアトリビュートです。設定されたルータ内だけで有効な値です。他のルータへのアップデートには含まれません。値が大きい方が優先されます。

●AS_PATH

 経由したASのリストです。経由したAS数が少ないほどベストな経路です。ループの防止にも使用されます。ASからEBGPネイバーへ経路が送信されるとき、自ASの番号がリストの左側に付加されます。

図1 AS_PATH 図1 AS_PATH

 AS200から10.0.0.0/8の経路情報が送信されます。AS100では、自分のAS番号をリストの左側に付加して送信します。AS300では、自分のAS番号をさらに左側に付加して送信します。それを受信したAS200は、ASパスリストの中に自分のAS番号が含まれているため、ループしていると判断し、このルート情報を破棄します。

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