BGPアトリビュートとはCCNP対策講座 ROUTE編(8)(2/2 ページ)

» 2012年09月13日 00時00分 公開
[内藤佳弥子グローバル ナレッジ ネットワーク]
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●LOCAL_PREFERENCE

 自ASから他ASにパケットをルーティングするとき、自ASのどの出口ポイントを使用するかを指定できます。LOCAL_PREFERENCEのLOCALとはAS内のことです。LOCAL_PREFERENCEはAS内のみで有効な値であるため、次のASにアドバタイズするときに値は削除されます。また、値が大きい方が優先されます。

図2 LOCAL_PREFERENCE 図2 LOCAL_PREFERENCE

 10.0.0.0/8のルートがR1とR2に届いたら、R1はLOCAL_PREFERENCEに200を付け、R2はLOCAL_PREFERENCEに100を付け、IBGPネイバーであるR3にアドバタイズします。R3はLOCAL_PREFERENCEの数値を比較し、値が大きい方の経路を優先します。よって、AS100から10.0.0.0/8へのパケットは、R1を経由して送信されます。

●MED

 ネイバーASに対して、自AS内のネットワークへルーティングする際の入り口を指定します。

図3 MED 図3 MED

 AS200には、「AS100から10.0.0.0/8宛てのパケットを送られるときには、R2の方向から入ってきてほしい」というポリシーがあるとします。よって、AS200から10.0.0.0/8の経路情報を送信する際にMEDを付けます。MEDは値が小さい方が優先されます。従ってAS100のR3は、10.0.0.0/8にパケットを送信する際には、R2の方向に向けて送信します。

●確認問題2

  • 問題

 アトリビュートについて正しい説明を、次の選択肢の中から2つ選択しなさい。

a.MEDはローカルAS内で有効なアトリビュートである
b.LOCAL_PREFERENCEは、値が小さい方が優先される
c.NEXT_HOPへの到達性がなくても、ベストパスになることがある
d.AS_PATHは、そのルートが通過したAS番号のリストを保持している

  • 正解

 d

  • 解説

 正解はdです。AS_PATHは、そのルートが通過したAS番号のリストを保持しており、ルート情報がループしていないかもチェックできます。

Ciscoルータにおける最適経路の選択

 最適経路の判断基準は、まず、その経路に付加されているネクストホップアドレスに到達できるかがチェックされます。また、AS_PATHリストをチェックし、ループを起こしていない経路かどうかもチェックされます。

 この2つの条件をクリアしたときにベストパス選択のふるいに掛けられます。以下は、CiscoルータにおけるBGP最適経路選択の順番です。優先度の高い順番にふるいに掛けられていきます。

 例えば、同じ宛先のルートを複数から受信した場合、weight値が大きい方が優先されます。weightでベストパスが判断できなかった場合にはLOCAL_PREFERENCEが最大の値のルートをベストパスにするというように最終的に1つのベストパスが決定されます。ベストパスが決定されると、次の選択条件以下は使用されません。

  1. weightアトリビュートが最大のパス(Cisco独自のアトリビュート)
  2. LOCAL_PREFERENCEアトリビュートが最大のパス
  3. ローカルルータが発生元であるパス
  4. AS_PATHアトリビュートが最短のパス
  5. ORIGINアトリビュートが最小のパス
  6. MEDアトリビュートが最小のパス
  7. IBGPパスよりEBGPパス
  8. 最も近いIGPピアを経由するパス(ネクストホップへ到達するためのIGPのメトリックが良いルート)
  9. EBGPパスとして最も古いパス
  10. ピアのルータIDが最小のパス
  11. ピアのルータのIPアドレスが最小のパス

確認問題3

  • 問題

 Ciscoルータにおける最適経路選択にかかわる正しい説明を、次の選択肢の中から2つ選択しなさい。

a.weightはCisco独自のアトリビュートである
b.LOCAL_PREFERENCEよりもMEDが優先される
c.EBGPパスよりもIBGPパスが優先される
d.最終的には、ピアのルータIDが最小のパスが優先される

  • 正解

 a

  • 解説

 正解はaです。weightはCisco独自のアトリビュートであり、ローカルルータに対してだけ適用される値であるためネイバーにはアドバタイズされません。weight値が大きい方が優先されます。

筆者紹介

内藤佳弥子(ないとうかやこ)

IT業界でヘルプデスク、ユーザーサポートを経てトレーナーになる。現在は、Cisco認定トレーナーとして、CCNA、CCNPのコースなどのCisco認定トレーニングコース、ネットワーク系オリジナルコースを担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら



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