日本マイクロソフトは2012年10月2日、自動車メーカー大手トヨタ自動車がグローバルでの情報共有基盤にマイクロソフト製品群を採用、導入を進めていると発表した。北米、南米、南アなどを含む世界規模での導入となる。マイクロソフトでは、トヨタ自動車側のニーズに合わせ「Enterprise Agreement Subscription」というライセンス形態で製品を提供する。このライセンス契約はユーザーごとのライセンス供与を基に、各種を含んだ内容になっている。また、最新のマイクロソフト製品群の使用権も含まれている。
トヨタ自動車と米マイクロソフトは2011年4月、「次世代テレマティクス向けグローバルクラウドプラットフォーム」の構築に向けた戦略的提携に基本合意している。こちらは、次世代車載ICT機器と接続したサービス展開のためのプラットフォーム構築を目指したものだ。今回の発表はこれとは別のもので、トヨタ自動車の本社および各地域の事業体業務の情報基盤プラットフォームとしてマイクロソフト製品群が採用された。日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏は、「日本ではもちろん、世界でも有数の大企業であるトヨタ自動車への採用は日本マイクロソフトとしても過去最大の導入事例となる。このため、私はもちろんケビン・ターナーもプロジェクトのエグゼクティブスポンサーとしてコミットしている」とコメントした。
記者発表で登壇したトヨタ自動車 情報システム領域ITマネジメント部 部長 北沢宏明氏によると、2008年のいわゆる「リーマンショック」を契機に業務の情報共有基盤の見直しを進めていたという。
「これまでは、各地域の事業体や部門ごとに個別最適のIT製品選定を行っていた結果、グローバルでの業務情報共有基盤は決して先進的なものではなかった。この反省を生かし、グローバル共通の情報共有基盤を設ける必要があると考えた。今回のグローバル共通での情報共有基盤整備により、コミュニケーションや意思決定が迅速化し、各事業体の自律的な活動を促進できると考えている」(北沢氏)
今回の情報供給基盤刷新に際して、トヨタ自動車が掲げてるのが下記3つのポイントだ。
同社が今回採用する製品および用途は次の通り。
トヨタ自動車では、今回のマイクロソフト製品群の導入プロジェクトについて、2014年までに、日本国内ではトヨタ自動車本社およびOEM先のボディメーカー(約10万ユーザー)、海外では北米・欧州・豪亜・南米および南アフリカの各事業体(計約10万ユーザー)への展開を予定している。
2014年段階ではトヨタ自動車のグループ企業への展開はOEMメーカーまでであるが、「それ以降は他のグループ企業への展開も検討している」(北沢氏)という。
利用端末には、通常のPC端末のほか、スマートフォンやタブレットPCも想定している。
「マイクロソフトにはWindows Phoneだけでなく、マルチデバイスで利用できる環境を想定してもらっている」(北沢氏)
日本マイクロソフトでは、30〜40人態勢で導入プロジェクトを推進しており、日本国内および北米では既に数万人が利用している。
今回の導入では、Windows Azure環境とオンプレミス、プライベートクラウド環境を使い分ける形だ。北米トヨタでは、Microsoft Office 365を、米マイクロソフトが提供するパブリッククラウドサービス上で利用する。ただし、パブリッククラウドとはいえ、物理的にトヨタ自動車向けの占有領域を設定し、同社の要求に対応しているという。一方、日本国内では、既存資産の活用を念頭に置くため、オンプレミスおよびプライベートクラウド環境での運用を選択している。
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