Hardening Oneでは、ECサイトのシステムを大幅に拡張しました。参加チームが操作することができるホストを、前回の5台から今回は12台に増やしています。サービス提供用のマシン10台とWebサイト確認用のマシン2台の、計12台です。
1チームの構成人数は6人のままですから、対象となるシステムが増えたことにより、参加チームがどのような行動をするかを見るのが狙いです。
前回は全てのシステムを、物理ホストに1台ずつOSをインストールして構成しましたが、今回はKVMを利用して構成しました。StarBEDのハイスペックな物理マシンに、1チームの仮想ホスト10台を載せています。
この構成で一番心配だったのはシステムの負荷だったのですが、目立った負荷の影響はなかったようです。システムを仮想マシンとして構築したことで、マスター環境を全チーム分コピーする作業は楽になりました。ただ、NIC関係で少しハマり、StarBED技術チームに対応してもらいました。次のような具合です。
「巨大なファイルを仮想マシンに転送するとコンソールの反応が劇遅になります」
「何でだろう」
「負荷がかかっているNIC経由の通信がすべて影響を受けていますね」
「KVMのNICをe1000からvirtioに変えましょう」
「お願いしますー」
「変更しました」
「再現しませんね。効果が出ている」
外部に迷惑を書けないために、StarBEDの閉鎖環境にシステムを構築していること、そして環境を拡大したことで、今回の準備作業も困難を極めました。その会話の様子を少しご紹介します。
「あああ、telnetコマンド入ってない」
「gccも入っていない。入れてもらわないと」
「入れておきました」
「あれ、このホストは直接SSHできない」
「ルーティング問題を直しておきました」
「うにゃーー、ふくざつーーwww」
「自滅しました」
「きっと参加者も唖然とする……」
「ネットワースペシャリスト試験だよーこれーw」
「一度通信が通ってしまえば大したことはないと思いますが、障害が発生したら大変ですねwww」
……深夜0時……
「なぜかショップのインストールが終わらない」
「インストール中に500エラーが出ちゃう」
「なんでだー」
「あ、タイムアウト値のチューニングが必要だ」
「きびしー」
「俺たちのHardeningはもう始まっている」
……未明3時……
「まだ起きています?」
「起きてます〜」
「あと、10分後にクローラのテストをしてほしいんですが」
「OK」
「できました〜」
「と思ったら、500エラー出てる」
「システム壊したかも」
「終わった。本番に間に合わねーー」
……さらに2時間後……
「何とか復旧できました」
「これ以上触りたくないなあ」
「俺たちのHardeningはもう始まっている」
環境構築でトラブルが発生するたびに「俺たちのHardeningはもう始まっている」というセリフが何度もつぶやかれました。Hardening ZeroとHardening Oneの間の時間こそが、我々にとって最大の「Hardening Time」だったかもしれません。
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