Maker Faire Tokyo 2012は、テクノロジーを自由な発想で楽しむ「Maker」のお祭りだ。約240組が出展し、大いに盛り上がったMaker Faireをレポートする。
オライリーの雑誌Make: Technology on Your Time(自分の時間にテクノロジを使おう!)の愛好家、ものづくりを楽しむMakerたちにとって待ちに待ったイベント、Maker Faire Tokyo 2012が12月1日から2日の土・日、お台場 科学未来館で開催された。前回のイベントから1年、全国のMakerにとって、待ちに待ったイベントとなった。
今回のMaker Faire Tokyo 2012(以下MFT2012)では、前回同様約240組の出展者と、多くの観客が科学未来館に集まった。MFT2012の様子をレポートする。
豊富な工作機械、全国の工業大学、高専、芸術学部などが輩出する人材、簡単に高性能なデバイスが手に入る各地の電気街。日本はものづくりの大国である。既存のコンテストに出たり、研究機関にも所属していないが、見れば衝撃を受ける「すごいもの」がMake会場には現れる。
研究と呼ばれるもの、ホビーと呼ばれるもの、アートと呼ばれるもの、さまざまな制作物がMaker Faireには集まってくる。
この12分の1サイズの勇者ロボは、リモートコントロールで車形(ビークル形態)に変形する。かつ、ビークル形態でもロボット形態でもリモコンで稼働し、まるで最初から車のラジコン、ロボットのラジコンであったように動き、二足歩行し、ロケットパンチを放つ。
「変形ロボ」と文章で書くのは簡単だし、テレビや映画で見慣れているかもしれないが、実現するのは非常に難易度が高い。映画でもまず、特撮やCGで表現されている。
人間が乗れるサイズの合体変形ロボを作り、自分が乗る。その途方もない「高い山」に1人で登り続けているのがBrave Roboticsだ。
Brave Roboticsのサイト、開発日誌にその努力がうかがえる。開発開始より10年(ロボット歴は12年とのこと)。
最初は変形のみで歩行もできない状態の1号機からスタートし、試作を繰り返す中でCNCフライス、3D-CAD、3Dプリンタなどを導入し、試行錯誤と再設計を繰り返してロボットを進化させてきた。
2010年に開発開始の7号機からはドライバーの登場スペースを確保し、展示中の筐体は7.2号機(マイナーチェンジを0.1というリビジョンにしているので、実際の開発数はさらに多い)とのこと。
ドライバーのスペースを確保している通り、最終目標は「自分が乗れるようになる」こと。これからはロボットのスケールを大きくしていき、左右合体機構の開発をスタートさせ、2030年には人が乗れ、自律動作する変形合体ロボットを実現するのが目標だという。
国家プロジェクトにふさわしいようなスケールのMakeに挑戦し、10年にわたって目標に近づいてきた@BRLab氏の作品を、ぜひ動画で見てほしい。
MTM06から出展している、Maker Faireの常連Vagabond Worksさんの多足ロボも出展されていた。「パパ、僕ロボット乗りたいよー」がきっかけに、子供のためのおもちゃとして開発された、テオ・ヤンセン機構のメカを持った多脚ロボ。
金属の脚と透明なプレートの外見、電気/制御回路をオリジナルで設計し、重心位置を判断してバランスを取る、iPhoneアプリでのリモコンも製作。
今年4月に行われたニコニコ学会βの4thセッション: 燃える男の未来の乗り物でも圧倒的な支持を受けた作品だ。
水道橋重工のクラタスも、Maker Faireに初お目見え。なんでも作るよ。の倉田光吾郎さんは時速200kmでフリーキックを蹴るマシーンカストロール1号でMake:に記事を書いているし、制御システムV-Sidoの吉崎さんは何度もMTMに出展している、Makeの常連である。
未来館のシンボル地球儀「ジオコスモス」の下に鎮座したクラタスは、圧倒的な存在感。
残念ながら動作デモは行われなかったが、Maker Faireのシンボルとして、周りから人だかりが絶えなかった。
クラタス開発の理由として倉田さんが語っている「自分が乗ってみたい」「自分が巨大ロボを作ることで、日本中から巨大ロボが続々生まれると思う」という姿勢も、Maker Faireのシンボルっぽい。
Maker Faireのシンボルともいえる、工房ヒゲキタの3Dプラネタリウムも科学未来館に登場。以前MTM07に出展した際にしばし口あんぐり、そして満場の拍手――「手作りプラネタリウム」を見に行こうとしてレポートしたが、こちらもファンが多いMake名物だ。
@higekita1氏は金沢を拠点に、このプラネタリウムを投影しに全国を回っている、手作りプラネタリウムのプロ(日本に2人しかいないとのこと)。
2010年にはアメリカのMaker Faireにも出展し、現地でも大人気だったとのこと。
鍋に5800個のピンホールを開けたプラネタリウム、懐中電灯を使った星座の投影機など、DIY感満載だが、全周を覆ったドームの、自分の頭の周りまで含めて投影される3D映像は大迫力。
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