ジュニパーネットワークスは3月26日、Software Defined Networking(SDN)への取り組みの一環として同社が推進している、ネットワーク機器と、その横でソフトウェアとして動かすネットワーク機能との緊密な連携に基づく役割分担について説明した。
ジュニパーネットワークスは3月26日、同社のSoftware Defined Networking(SDN)への取り組みについて国内で追加説明を実施。具体的な進展の例として、2月のWorld Mobile Congressで発表した移動体通信事業者向けの新製品「virtual Mobile Control Gateway」を紹介した。
ジュニパーがSDN関連で推進していることの1つは、ネットワーク機器と、その横でソフトウェアとして動かすネットワーク機能との緊密な連携に基づく役割分担。このために同社は「JunosV App Engine」と呼ぶ仮想化環境を提供している。
JunosV App Engineの実体はCentOSでKVMを動かし、その上で動作する仮想マシン上のソフトウェアが、ジュニパーのルータの機能をAPIで呼び出せるようにしたもの。従って、一般的なサーバでKVMを動かすのと、機能的には何ら変わるところはない。ただし、同社は「MX 3Dルータ」に装着するラインカード、およびJunosV App Engine専用ハードウェアアプライアンス「VSEシリーズ」を提供している。
ジュニパーは、同社のネットワーク機器で動かしている機能の一部を外出しし、仮想マシンとして動かせば、ネットワーク機器における負荷を軽減できるとともに、ニーズに応じて処理リソースを伸縮できるとしている。一方、通信事業者などが利用している各種の独立したネットワーク関連アプライアンス(トラフィック・モニタリング、DPI、キャリアグレードNAT、CDN、ファイアウォール、SSL VPNなど)を仮想マシンとして単一プラットフォーム上で動かし、きめ細かく相互連携できるようにすれば、管理負荷の軽減とサービスの高度化につなげられるとする。
ジュニパーが2月のWorld Mobile Congressで紹介し、今年中に提供する予定の「virtual Mobile Control Gateway(vMCG)」は、移動体通信事業者のシグナリング/制御機能(3GにおけるSGSN、LTEにおけるMME)を提供するもの。ジュニパーはSGSNとMMEの双方の機能を提供する物理アプライアンス、「Juniper Mobile Control Gateway」を提供してきた。vMCGでは、この機能をMX 3Dルータと、JunosV App Engine上で動く仮想アプライアンス(仮想マシン)の組み合わせで実現する。これにより、移動体通信事業者は導入および拡張の工数やコストを低減でき、ユーザーの急速な伸びにも対応しやすくなるという。
ジュニパーがJunosV App Engineを使って実現しようとしている、ルータ/スイッチとL4〜L7ネットワークサービス機能との連携は、単純なものであれば、OpenFlowその他を使った選択的なトラフィックのリダイレクションで対応できる。しかし、L4〜L7サービスの処理結果に応じてジュニパーのルータ/スイッチの機能を呼び出さなければならない場合は、これに適した標準プロトコルがない現状では、ジュニパーのAPIを通じた連携を図っていくということのようだ。
なお、改めて確認したが、同社がContrail Systemsの買収により獲得したSDNコントローラにOpenFlowプロトコルを実装する計画は、現在のところないという。
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