フラッシュ(半導体メモリ)ストレージは、企業におけるデータベースの運用にどのような効果をもたらすだろうか。データベース高速化という目的では、どういう判断基準でどのようなフラッシュストレージ技術が選ばれるのだろうか。
フラッシュ(半導体メモリ)ストレージは、企業におけるデータベースの運用にどのような効果をもたらすだろうか。この用途では、さまざまなフラッシュストレージが、それぞれのメリットに基づいて選択され、実際に導入されつつある。
この動きを象徴する存在の1つに、日本マイクロソフトが2012年12月に発表した「SQL Server SSD Appliance」がある。パートナーと組んで、SQL Serverを、フラッシュストレージを採用したハードウェアと一体のアプライアンス製品として提供する取り組みだ。発表時には6社6モデルだったが、現在は9社9モデルに拡大。注文のバックログを抱えているパートナーも多いという。
SQL Server SSD Applianceの基本コンセプトは、ストレージI/Oのボトルネック解消により、パフォーマンスチューニングのための複雑な設計や運用の手間をかけずに、データベースの大幅な高速化を図るということだ。この共通コンセプトに基づいてはいるが、提供されている9モデルで採用されているフラッシュストレージは、PCIeフラッシュ、オールフラッシュストレージ、SSDを搭載した既存ストレージ装置と、バラエティに富んでいる。
すると自然に浮かんでくるのは、どういう判断基準でどのフラッシュストレージが選ばれているのかという疑問だ。もちろん、SQL Server SSD Applianceはアプライアンスなので、各モデルの価格はサーバ機やSQL Serverのライセンスを含んでいる。このため、ストレージだけが選択基準になるわけではない。しかし、この製品の価格のうち、大きな比率をフラッシュストレージが占めていることは容易に想像できる。従って、単純に価格の安さで特定のモデルが選ばれたとしても、間接的にはフラッシュストレージの価格を考慮した選択だといえるはずだ。
このプログラムを推進している、日本マイクロソフト サーバプラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャの北川剛氏によると、SQL Server SSD Applianceに興味を持つユーザー企業は、いずれの技術でも、これまでのハードディスクドライブを使ったストレージに比べれば桁違いに高速だということに着目している。このため、細かなパフォーマンスの違いを選択基準とするユーザー組織はあまり多くないという。
また、データ記憶容量については、どのフラッシュストレージ技術も、テラバイトレベルに達しているため、容量の限界が選択を左右することは以前ほど多くないという。このため、フラッシュストレージ技術にひもづく運用性と、アプライアンスとしての最終的な構成価格が、重要な選択基準になっていることも多いという。
データベースの高速化と各種フラッシュストレージ技術との関係について、北川氏への取材内容を交え、「データベースとフラッシュストレージの方程式(PCIeフラッシュ、普及への文脈 後編)」にまとめました。ぜひご覧ください(本コンテンツのダウンロードには、TechTarget会員登録が必要です)。
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