警察庁は3月28日、2012年のサイバー犯罪の認知/検挙状況を公表した。同時に、4月1日付で「サイバー攻撃特別捜査隊」を13都道府県に設置することも発表した。
警察庁は3月28日、2012年のサイバー犯罪の認知/検挙状況を公表した。検挙件数は前年から27.7%増えて7334件。このうち、不正アクセス禁止法違反は前年の2倍以上となる543件、摘発者数は154人に達し、過去最多となった。
不正アクセス行為として認知された事件は1251件。半数を占めるのは、他人のIDやパスワードを使ってオンラインゲームやコミュニティサイトにログインし、不正に操作を行う「なりすまし」行為だが、中には、2012年5月1日から施行された改正不正アクセス禁止法で処罰対象となったフィッシングサイトの開設で検挙された事例もあった。
警察庁はこれを踏まえ、ユーザーには「安易に個人情報を入力しない」「推測が容易なパスワードを避ける」といった対策を講じるよう提示。一方、管理者には、ワンタイムパスワードなど、より強固な認証方法を採用するとともに、IDやパスワードを使い回すことの危険性を周知するよう勧めている。
警察庁はまた、サイバー攻撃対策の強化に向け、4月1日付で「サイバー攻撃特別捜査隊」を13都道府県に設置することも発表した。これまでサイバー攻撃対処に当たってきた技術部隊「サイバーフォース」とも連携しながら、サイバー攻撃に関する情報収集や犯罪予防、捜査に当たる。
捜査隊には、これまで犯罪捜査に従事してきた捜査員だけでなく、民間企業から中途採用した技術者や、サイバーテロ対策に関する教育を受けた人材など、専門知識を持った人材を登用する。また、海外のサイバー攻撃に関する情報収集体制を整えるため、英語のほか、中・韓・露などの語学能力を持つ捜査員も登用する。
サイバー攻撃特別捜査隊が設置されるのは、警視庁(東京)のほか、北海道、宮城、茨城、埼玉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、広島、香川、福岡の計13都道府県警。全国で約140人の専従捜査員がサイバー攻撃に関する捜査に当たるとともに、都道府県の垣根を越えたノウハウや情報の集約・共有を推進、広域サイバー攻撃に対応するとしている。
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