国内の企業や組織で、職場外でも業務が行える環境はまだまだ整っていないようだ。日本企業の雇用のあり方が変わらないかぎり、変化は望めないのだろうか
国内の企業や組織におけるデスクトップ仮想化の導入意欲は非常に強いという。BYOD(個人所有端末の業務利用)も注目されている。しかしその一方で、職場外でも業務が行える環境はまだまだ整っていないようだ。
ヴィエムウェアがシンガポールのAcorn Marketing & Research Consultantsに委託して、アジア・太平洋地域の12の国・地域(日本、オーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、 マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、台湾)を対象に実施した調査(2012年12月〜2013年1月実施、従業員1000人以上の企業で働く個人を対象)によると、「業務上、ITのモバイル化は必要か」との問いに、日本では82%の人が必要だと答えている。他のほとんどの国・地域は90%を超えているものの、これは大きな違いだとはいえない。
しかし、実際に個人所有のモバイル端末(ノートパソコン、スマートフォン、 タブレット端末)を仕事で使用しているかとの問いに対しては、使用しているとの回答がほとんどの国・地域で80%を超えているのに対し、日本だけが22%と、はるかに低い結果となっている。
では個人所有の端末でなく、会社所有の端末の端末が職場外で活用されているか。これについては、会社所有の端末の社外持ち出しが禁止されているかとの日本限定の質問に、「禁止されている」と答えた人が70%を占めている。しかも、前年の同一の調査で、「禁止されている」との回答は71%だったといい、ほとんど変化がないことになる。
デスクトップ仮想化に限らずIT技術は、距離や時間を超えた共同作業に大きな効果を発揮するはずなのに、少なくとも日本では必要に応じて職場外でも業務ができるような状況になっていないことがうかがえる。
筆者などは、日本の企業・職種の多くが時間労働制であり、人事評価もそれに基づいて行われているかぎり、こうした状況が変わることはないのではと考えてしまう。しかし、テレワークのコンサルティングを行っているテレワークマネジメントの代表取締役、田澤由利氏は、雇用制度や人事評価制度を変えずとも、テレワークは導入できると話している。
そのためのカギは、テレワークが福利厚生だという発想を変えること、テレワークだからといって、1人でできる成果の分かりやすい仕事を与えなければならないという考え方を変えることだという。
在宅勤務を中心としたテレワークがなぜ日本で普及しないのかを、「日本で柔軟な働き方が広がらないのはなぜか」(PDF)にまとめていますので、ぜひご覧ください(本コンテンツのダウンロードには、TechTarget会員登録が必要です)。
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