IBMのフラッシュストレージ、ハードウェア機能駆使して高速化1Uサイズで実効容量最大20TB

日本IBMが4月12日に発表したオールフラッシュストレージ「IBM FlashSystem」は、専用フラッシュメモリモジュールを使い、独自設計のFPGAフラッシュコントローラを搭載するなど、ハードウェアによる制御・転送によって高速化を推し進めた製品群だ。高い密度も特徴となっている。

» 2013年04月12日 19時38分 公開
[三木 泉@IT]

 日本IBMが4月12日に発表したオールフラッシュストレージ「IBM FlashSystem」は、専用フラッシュメモリモジュールを使い、独自設計のFPGAフラッシュコントローラを搭載するなど、ハードウェアによる制御・転送によって高速化を推し進めた製品群だ。高い容量密度も特徴。同社は他のフラッシュメモリベンダと同様、面倒なチューニングをせずにデータベースを高速化できること、そしてこれによりデータベース管理システムソフトウェアのコア単位のライセンスを低減できる可能性があることを強調している。

 FlashSystemは4モデルで構成されている。「エントリーモデル」の「IBM FlashSystem 710」「IBM FlashSystem 810」、そして「HAモデル」の「IBM FlashSystem 720」「IBM FlashSystem 820」だ。いずれも1Uサイズで、一番容量を稼げるFlashSystem 820の場合、最大物理容量は33TB(使用可能容量は約20TB)となっている。各モデルで利用しているフラッシュメモリのタイプは、表をご覧いただきたい。

モデルによってSLCとeMLCを使い分けている

 外部接続インターフェイスは8Gbpsファイバチャネル×4あるいは40Gbps QDR InfiniBand×4(つまりPCIe接続はない)。パフォーマンス面での最大の特徴は、コントローラの処理のオーバーヘッドを防ぐ工夫。フラッシュメモリモジュール上にFPGAのフラッシュコントローラを配置、20のフラッシュチップに対して1つのフラッシュコントローラを割り当て、エントリーモデルでは、データ経路に、このフラッシュコントローラ以外が介在しないようにして、処理ボトルネックの発生を防ぐ(HAモデルでは冗長構成のRAIDコントローラがデータ経路に介在するためスピードが多少落ち、遅延も大きくなっている)。カタログ上の最大IOPS(4Kリード)は、FlashSystem 710の57万IOPS。

フラッシュメモリモジュールにFPGAのフラッシュコントローラを配置

 パフォーマンス向上のためのもう1つの工夫としては、各メモリモジュールにキャパシタを備えた小容量のSDRAMを搭載。これを書き込みバッファとして使うことで、読み出しに比べて遅い書き込み速度の向上を図っている。

 Flash Systemでは、フラッシュメモリモジュール上で、フラッシュチップ単位のRAIDを組むことができる。これにより、フラッシュチップの障害に耐えられるようになっている。構成できるRAIDレベルは5のみだが、この仕組みが興味深い。例えば10個のフラッシュチップでRAIDを組んでおき、チップ1個に障害が発生したとすると、FlashSystemは障害が発生したチップをRAIDから切り離し、障害チップ上のデータは、パリティから他の同一RAIDグループのチップにリビルドする。従って、9個のフラッシュチップでのRAID構成に、自動的に移行したことになる。フラッシュチップ単位で交換できないという弱点に、こういう対処の仕方をしている。

 一方、HAモデルはRAIDコントローラを搭載しており、フラッシュモジュール単位でRAID(0あるいは5)を構成することで、さらに可用性を高められる。フラッシュモジュールは、現状ではホットスワップできない。

 エンタープライズ用途に向けた機能として、FlashSystemはデータのリアルタイム圧縮機能を備える。また、「IBM Storwise V7000」あるいは「IBM System Storage SAN Volume Controller」を併用することで、他のストレージ装置や、遠隔地のV7000/SVCへのコピーが行える。V7000あるいはSVCを使って、他のハードディスクベースのストレージとの組合せによる自動階層化も実現可能だが、その場合FlashSystemはV7000/SVCの下にぶら下がる形となるため、オーバーヘッドが発生する。

 FlashSystem 4モデルは4月12日に販売開始。最小構成価格は、最下位のFlashSystem 710で840万9600円。最上位のFlashSystem 820で、3041万2000円。

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