日本国内で発売されたばかりの新型Nexus 7と、iPad miniについて「十番勝負」と題し、実際に1カ月間使い込んだ経験から、ドリキン視点で評価していきます。
本当は「World Wide Developers Conference 2013」(WWDC 2013)の最終回「iOS 7編」をレポートする予定だったのですが、時機を逃してしまったのと、iOS 7の正式リリースが近付いていると思われることもあり、iOS 7については正式版の提供開始後に取り上げます。今回は、米国で発売されて約1カ月、日本でも2013年8月28日、ついに発売された新型Nexus 7(以下、Nexus 7)と、iPad miniを比較します。
筆者は、米国での発売直後にNexus 7をフライングゲット気味に入手し、それから今日までの約1カ月間、同製品をメインのタブレットとして使っています。
それ以前は、iPadおよびiPad miniをメインに使っていました。自宅では最新型のフルサイズiPad、外出時にはLTE版iPad miniをいつも携帯していました。
そんなiPad miniのヘビーユーザーである筆者が、iPad miniをNexus 7に置き換えて生活した中で気付いたことを、ベンチマークではなく、実体験から感じたレポートとして紹介していきます。
早速、個人的に気になった点を「十番勝負」として、それぞれの感想を述べていきます。
画面に関しては、何といってもフルHDに対応した1920×1200ピクセルの解像度と、フルサイズiPadのRetinaディスプレイを超えるピクセル密度を持つNexus 7の美しさは、iPad miniを凌駕しています。明るさや発色など、スペックから見え難い点についても、iPad miniに引けを取りません。
特に1920×1200ピクセルという解像度は、Androidのソフトウェアメニューも考慮されており、16:9のフルHD動画をフルサイズで再生可能です。Nexus 7は動画閲覧に最適なタブレットだといえます。
ディスプレイ性能については、Nexus 7に軍配が上がるのは疑いありません。しかし、iPad miniには、OS X譲りの美しいレンダリングとフォントが性能差を補っており、見やすさという点ではiPad miniも引けを取りません。
また、故スティーブ・ジョブズがこだわったという4:3の画面比率は、フルHDの全画面再生こそできないものの、写真閲覧や電子書籍などに適しており、Nexus 7のディスプレイよりも万能性があります。
Nexus 7を手にした当初は、「こりゃiPad miniには戻れないな」と思ったのですが、実際には、iPad miniの方が心地よく見れる・読めるケースも多々あり、一概にスペックだけでは判断が難しいです。
動画閲覧やゲームといった用途がメインの人はNexus 7、Webや電子書籍、写真閲覧などの用途も考慮に入れるとiPad miniが好ましいという人もいるでしょう。とはいえ、スクリーン性能比較という観点では、Nexus 7に1票です。
デザインに関しては、正直なところ、好みの問題になるでしょう。
iPad miniはアップル得意のアルミ素材、Nexus 7はラバー素材なので、一見するとアルミ素材の方が高級感があってオシャレな感じがします。しかし、Nexus 7のラバー素材はかなり硬めに仕上がっており、質感も高く、安っぽさを感じることはありません。ラバー素材の手触り感や、傷などの耐久性の高さを評価する人もいるでしょう。
デザイン面では、明らかにどちらかが劣っているという点が見当たらないため、引き分けとします。個人的には、Nexus 7本体の質感と手触りの良さを気に入っています。
携帯性に関しては、筆者の場合、iPad miniをジーンズパンツの後ろポケットに入れて持ち歩くという荒業が可能なのですが、普通はポケットには入らないと思います(汗)。
一方で、Nexus 7は、iPad miniに比べても、かなりスリムなので、男性ならジーンズパンツの後ろポケットに入れられると思います。
重さに関しては、Nexus 7の方が若干軽いですが、誤差の範囲でしょう。
Nexus 7は、iPad miniのアルミ素材に比べると、断然傷に強く、価格帯と相まって、かなり気軽に扱えます。日常的に持ち歩くタブレットとしては、Nexus 7の方が扱いやすいです。
ただ、Nexus 7のラバー素材で気になる点があります。それは、かなり滑りやすいということです。
筆者は、タブレットや携帯電話を落とした経験があまりないのですが、Nexus 7に限っては、すでに2回落としてしまいました。2回とも同じパターンで、充電のためUSBケーブルにつなぎ、テーブルの上に置いておいたら、いつの間にか、ずり落ちてしまいました。特に不安定な場所に置いたわけではないのですが、ケーブルの張りに本体が耐えきれずに引っ張られて落ちたようです。
そのくらい、Nexus 7のラバー素材はスベスベしています。
もう1つNexus 7で気になったのは、端末を掴んでいる際に、本体の角部分の手のひらへの当たりが強いことです。角のエッジや本体の厚みなどのバランスがiPad miniの方がよいのか、Nexus 7を片手で掴んでいると、手のひらがちょっと痛いです。
しかしながら、携帯性という意味では、スリムなNexus 7に軍配が上がります。
パフォーマンス面でも、後発となるNexus 7がかなり有利です。
これまでAndroidは、パフォーマンスでどうしてもiOSに後れを取っており、Androidタブレットに良い印象がありませんでした。それが、クアッドコアのCPUと最新のAndroid OS 4.3を備えたNexus 7においては、iPad miniどころかフルサイズiPadにも劣らないくらい快適に動作します。
GPUもかなりスペックが高く、最新のAndroidゲームを高いパフォーマンスで楽しめます。
ただし、パフォーマンスと一言でいっても、ベンチマークにおける比較と、実際に使った時の使い心地や生産性という意味でのパフォーマンスは別物です。特に後者は、数値に現れない分、購入前の判断が難しいです。
iPad miniも、実用面でのパフォーマンスは十分で、生産性は引けを取りません。それに、アプリが充実してこなれている分、トータルで考えるとiPad miniのパフォーマンスも負けていません(むしろ勝っている?)。
あくまでも、ハードウェアのパフォーマンスという意味では、ここもNexus 7に1票です。
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