新型Nexus 7 vs iPad mini タブレット十番勝負!ドリキンが斬る!(5)(3/3 ページ)

» 2013年08月30日 18時00分 公開
[ドリキン,サンフランシスコ在住ブロガー]
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8.アプリケーション

 ここは現状、Nexus 7と比較する上で、iPad miniの最大の強みだと思います。タブレットに最適化されたアプリケーション数では、iPad miniの方が優れてます。

 この点については、アップルとグーグルの方針の違いが大きく影響しています。アップルの場合、iPhoneアプリはiPad/iPad miniでも動きますが、何もしないとエミュレーションで動きます。

 iPad/iPad mini向けにアプリを最適化したいと思ったら、デベロッパがiPad/iPad mini用に最適化したバージョンを用意する必要があります。デベロッパの負担は大きいですが、そのおかげでユーザーは、iPad/iPad miniに最適化されたアプリを使うことができます。

 グーグルの場合は、基本的にAndroidアプリはスマホサイズでも、タブレットサイズでも、単一のアプリケーションが異なる解像度のデバイスでもうまく動作するようにシステム側で調整されます。もちろん、デベロッパも複数の解像度を意識する必要がありますが、ある程度システムが差異を吸収してくれるため、iPadほど作り込む必要はありません。デベロッパの負担は軽減されますが、ユーザーからすると、あまり最適化されていないアプリや、画面が大きくなるとUIが不自然になるアプリに遭遇する可能性があります。

 この差は想像以上に大きく、iPad miniに慣れていると、がっかりしてしまうかもしれません。

 ただ、Androidプラットフォームの場合、アプリの更新頻度も高いので、Nexus 7が普及してユーザーが増えれば、デベロッパも最適化したアプリを開発してくれると思います。現状でも、グーグル製のアプリやTwitter、Facebookなどのメジャーアプリでは、iPad版と比べても品質で見劣りしません。

 ということで、ここはiPad miniに1票です。

9.カメラ

Nexus 7で撮影した写真(クリックするとフルサイズで閲覧可)
iPad miniで撮影した写真(クリックするとフルサイズで閲覧可)

 カメラに関しては、結論からいうと、どっちもどっちで、おまけ程度と考えた方がよいでしょう。iPad 2が衝撃の低画質だったのに比べれば、最近のタブレットに搭載されるカメラはそこそこ頑張っています。ですが、スマホのカメラに比べ、優位なところは特になく、スマホのカメラがあるのに、わざわざタブレット取り出して撮影する、というメリットはありません。

 それでも、あるとないとでは雲泥の差で、ビデオチャットやいざという時のカメラ代わりと考えれば、損はありません。そういう意味では、Nexus 7が背面カメラを備えたのは評価できます。

 スペック的には、iPad miniが背面5M/前面1.2Mピクセル。新型Nexus 7も背面5M/前面1.2Mピクセルと全く同じです。実際に撮った写真を見ると、Nexus 7の方がシャープで画質は少しよく感じます。ただ、性能勝負という点では、ほぼ引き分けだと思います。

10.価格

 最後の勝負はやはり価格です。

 価格が一番安いWi-Fiの16GBモデルで比較すると、Nexus 7が2万7800円、iPad miniが3万2800円で、Nexus 7が5000円安いです。米国での価格で比較すると、Nexus 7が229ドル、iPad miniが329ドルで、100ドルの差が出ます。Nexus 7の方にお買い得感があります。

 Nexus 7の価格設定が、日本では少し割高なのが残念ですが、それでも価格勝負という点では明らかにNexus 7に1票です。

総合評価

 ということで、今回も長文になってしまいましたが、これまでの勝敗をまとめると次の通りです。

1.スクリーン Nexus 7
2.デザイン・携帯性 Nexus 7
3.パフォーマンス Nexus 7
4.クラウドサービス 引き分け
5.文字入力 Nexus 7
6.サウンド Nexus 7
7.バッテリ 引き分け
8.アプリケーション iPad mini
9.カメラ 引き分け
10.価格 Nexus 7

 この結果だけで見ると、Nexus 7の圧勝です。後発のNexus 7が、iPad miniをよく研究し、きちんと弱い点を強化しようと開発されたのがよく分かる結果になっています。

 ただ、Nexus 7を1カ月間使い込んでみて、最終的には「iPad miniを持ってるなら、わざわざ買い替えなくてもいいかな」という結論に至りました。

 比較してみれば、Nexus 7の優れている部分が確かに多いのですが、全体的にその差が大きいかといわれると、iPad miniが圧倒的に負けているというわけでもありません。最終的にできること、生産性という視点で考えると、アプリが充実しており、タブレットとしてUIの洗練されているiPad miniの方が使い勝手がよいです。

 実際、Nexus 7を手にした当初は「こりゃiPad miniが要らなくなるな」と思って喜んで使っていたのですが、Nexus 7を半月ぐらい使ったタイミングで、久々にiPad miniを使ってみると、意外にもiPad miniの4:3ディスプレイの方が、解像度が低くても見やすかったり、スペックが劣っていても、心地よさがあったり、「やっぱりiPadはよくできてるなぁ」と感じる部分が多々ありました。

 Nexus 7は米国発売から約1カ月遅れで、日本でもようやく発売されたばかりです。そして、新型iPad miniも近いうちに発表されるのではないかと憶測が飛び交うタイミングなので、少なくとも既存のiPad miniユーザーは、アップルの発表をどっしりと構えて待てば十分ですし、これからタブレットが欲しいという人も、まずはアップルの動きを見てからからでもよいのではないでしょうか。

 すぐにAndroidタブレットが欲しいと思っている人には、Nexus 7をお薦めします。同製品は、他社のAndroid製品と比べても、頭1つ2つ抜けていますし、グーグルの自社ブランドであるため、常に最新のシステムが提供される安心感もあります。値段もそれなりに手ごろなので、飛びついてしまっても後悔はないと思います。

 ともあれ、これだけの性能で、クオリティも高い端末がますます低価格で提供される世の中になり、ガジェット好きとしてはうれしい悲鳴を上げ続ける一方で、「このような状況で他のメーカーは付いていけるのだろうか」と心配になってしまいます。

 今回の製品比較は、あくまでも筆者の普段の使い方の中で気付いた違いを中心にレビューしたもので、内容的な偏りや触れてない部分も多々あるかと思います。「ここはどうなの?」といった質問などがあれば、@drikinにぜひお気軽にツイートで質問してください。

著者プロフィール ドリキン

サンフランシスコ在住 ガジェット、グルメ系ブロガー。ブログはDrift Diary XVにて。最近、自分が気になったニュース等をまとめたFlipboardマガジンDriftboardもお気に入り。本業はソフトウェアエンジニアでdrikin.comで自作アプリも公開中です。


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