Visual StudioはコンパイラもクラウドAPIで叩けるようにクラウド化、サービス化を加速するVisual Studio

TFS機能のオンライン化だけでなく、買収したInReleaseやサードパーティ製「Xamarin」の提供など、盛りだくさんな内容となっているVisual Studio 2013。クラウド/オンプレミスの垣根を越えた環境提供は次のバージョンでも継続する。

» 2013年11月20日 09時00分 公開
[原田美穂,@IT]

 日本マイクロソフトは2013年11月19日、The Microsoft Conference開催に合わせて来日したピージェイ ヒュー(PJ Hough)氏を囲むラウンドテーブルを開催、米国で発表したばかりの「Visual Studio Online」を含む、直近の開発者向け製品/サービスについての説明を行った。

 同氏は、米マイクロソフトで、開発部門 プログラムマネジメントのコーポレートバイスプレジデントを務める人物。Microsoft OfficeやShare Point Serviceの開発に関わった経験もある。現在はVisual Studioなどのマイクロソフトが提供する開発ツールの開発責任者である。

 先の記事で紹介したVisual Studio Onlineは、従来のTeam Foundation Serverの機能をWindows Azure上で実現したものだ。現段階では米国の一部の地域でのみ、プレビューで提供している。Team Foundation Serviceは、比較的大規模な開発案件での採用が多く、Visual Studio製品群の中でも比較的「ハイエンド」なライセンスにバンドルされていた。TFSは、プロジェクト進捗管理やリソース管理を一元的に行えるため、内部のプロジェクトメンバーだけでなく、開発委託先との連携、オフショア開発などの場面でも利用される。

 今回、この機能をAzure上で利用できるようにしたことで、小規模案件での利用や、VPN接続などの煩雑な作業なしに外部協力者らとの連携が可能な環境が提供できることになる。

 これらの他に、Visual Studio Onlineでの開発をサポートするWindows Azure「Webサイト」の構築と管理のための専用サービス「Monaco」(現在はプレビュー版)も提供しており、Visual Studio 2013、Visual Studio Onlineと合わせて多様なアプリケーション開発環境が整ったことになる。

 ヒュー氏は、これらは個別の目的を持って提供されていることを強調しながらも、「将来的にこれらのツールはより有機的に統合していく」との見解を示した。

「InRelease」がTFSに統合、iOS、Android向けツールの「特典」も

 一方、2013年6月5日に買収を発表していたALMツール「InRelease」は、新たに「Delpoyment Datacenter/Standard」として、2013年12月からライセンス販売を開始する。Team Foundation Serverと併せて利用することで継続的デプロイのプロセスを補完する位置付けになる。オンプレミス環境に特化した製品として提供する。

 また、Visual Studio上で開発したアプリケーションを、iOSやAndroidなどのターゲットデバイスにデプロイするサードパーティ製のVisual Studio用コンポーネント「Xamarin」を、MSDNサブスクライバ向けに特典として提供する。

Roslynは間もなく正式リリース?

 また、「Compiler As A Service」としてマイクロソフトが開発しているVB、C#コンパイラである「Roslyn」についての言及もあった。Roslynの面白いところは、コンパイルプロセスの各ステップをサービスとして利用できるよう、API公開をしている点だ。現在はCTP版をVisual Studio 2012向けに提供している(NuGetパッケージとして配布)。

 ヒュー氏によると「Visual Studio 2013の次のメジャーバージョンアップで、Visual Studio製品群の中に取り込まれる予定。もしかするとそれ以前のバージョンでも使えるようになる可能性がある」という。

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