スマートフォンアプリ広告の世界は、Web広告よりもユーザートラッキングが難しい世界。この領域のサービス展開を支える環境を現場技術者が解説する。
筆者らの所属するCyberZはスマートフォン広告代理店として、スマートフォン向けサービスのマーケティング支援、主に広告運用の代理事業を行っています。
広告運用では、弊社が開発したスマートフォン広告効果計測ツール「Force Operation X」(以下「F.O.X」)を使用して運用の効率化を図っています。この「F.O.X」にHadoop管理ツールであるCloudera Managerを導入しています。
今回の連載では、この「F.O.X」にHadoop、Cloudera Managerを導入、運用して得られたノウハウを全3回でお伝えしていく予定です。今回は、スマートフォン広告サービスを支える技術要件とCloudera Managerの導入を決めた背景を中心に紹介します。
スマートフォン広告サービスは、大きく「配信」「計測」「運用」の3つのフェーズに分けられます。露出させたい商品の広告を「配信」し、配信された広告の効果を「計測」し、計測された結果を基に「運用」しています。
まずは、それぞれのフェーズで重要になる技術要件を見ていきましょう。
「配信」は、ユーザーがメディア(媒体)を訪問した際に、広告主から入稿された広告を配信させるフェーズです。配信において最も重要なことは、どんな状況でも広告を表示させ続けることです。そのため技術的には、「ネットワーク分断耐性」および「可用性」が必要であり、障害が起きても配信に影響が出ないことが重要になってきます。
広告を配信後、ユーザーは各媒体の広告をクリックし、広告主の商品にたどり着きます。これを広告の世界では「効果(コンバージョン)が上がった」と表現します。
「計測」は配信された広告が、どのくらいクリックされ、どのくらいコンバージョンが出たかを計測するフェーズです。広告の効果を測定して、運用に生かすために必要になります。計測では、絶えず発生するリクエストに対して、遅延なくレスポンスを返しながらも、正確に計測をし続けなければなりません。そのためデータの「一貫性」および「可用性」が重要になってきます。
「運用」は、配信、計測によって出た広告の結果を見て、広告の運用を最適化するフェーズです。運用では、計測された膨大なデータを迅速に処理しなければならないため、大規模なデータを「分散処理」できるかが重要になってきます。
「F.O.X」では主に上記のうちの「計測」「運用」を担っています。「F.O.X」は導入数の増加に伴い、データ量が増大しHadoop、Cloudera Managerの導入に至りました。
ここからは「F.O.X」について紹介していきましょう。われわれが運用する「F.O.X」は、スマートフォン広告に特化した効果測定ツールです。
現在、1日当たりおよそ1000万を超えるユーザーからのアクションを収集しており、スマートフォン広告にまつわる、いわゆる「ビッグデータ」を蓄積しています*。国内外で170社を超えるスマートフォンメディアと連携していることを強みとしており、世界規模でのスマートフォン広告プロモーションであっても、一元的に効果測定できるという特徴を持っています。
*「F.O.X」では、広告主の承諾なしに広告効果測定により得られたデータを二次利用することはありません。
広告の運用担当者は、どのくらいのスマートフォンユーザーが、どの広告をクリックして、どのくらいアクション(クリック、コンバージョン数など)が上がったのかを、「F.O.X」の管理画面上で確認します。
広告の運用担当者は、「F.O.X」の管理画面を見て、広告の効果が高くなるように配信先媒体を選択・調整します。
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