Windowsストアに310個のアプリを公開した筆者が、実体験を交えながら日本マイクロソフト提供の「アプリのプロモーション〜 初めてガイド〜」を読み解いていく。iOS/Androidアプリ開発者もご参考に。
筆者は2014年2月5日で満64歳になった、現役のライター兼プログラマーだ。筆者は2012年9月にWindows 8が登場して以来、Windowsストアアプリに興味を持ち、現在Windowsストアに310個のアプリを公開している。自慢ではないが、日本で、いや世界で、1人の人間がこれだけのアプリを公開しているのは私だけではないだろうか、とひそかに自負している。まぁー、「世界で」というのには語弊があるかもしれないが、日本では間違いなく私が1番だろう……と思う。
余談だが310個ものWindowsストアアプリを認定させて、公開するにはいろいろと紆余曲折があった。1アカウントで一度に69個ものアプリを申請して、問題となり一括でリジェクトされたこともあった。その結果、問題児扱いされ、1カ月以上、筆者のアプリが審査されないという、お粗末な結果を招いたこともあった。今となっては、良い勉強になったと思っている。
では、これだけのアプリを公開していてダウンロード数はどのくらいあるのだろう、と思われるかもしれない。原稿執筆時点で総ダウンロード数は22万2392。1アプリのダウンロード数は平均717になる。中には、5点ほど有料アプリが含まれているので、これが1アプリのダウンロード数を若干下げている。
しかし、310個のアプリの公開国は「日本」だけに限定している。それで、このダウンロード数は、想像をはるかに超えるものだった。筆者としては満足している。
これほどのアプリを公開して、どのようにアプリのプロモーションをしているのだろうと思われるかもしれない。本稿では、日本マイクロソフトが提供する「アプリのプロモーション〜 初めてガイド〜」を読み解きながら筆者の実体験を交えて、アプリ開発者がビジネスで成果を得るための指針を示していきたい。
「アプリのプロモーション〜 初めてガイド〜」は、Windowsストアへの道 | MSDNのページ下部からダウンロードできる。
このガイドラインは大きく、以下の構成を取っている。
アプリを作るには2つの戦略があると筆者は考える。
まず、数は多くは作らないが、デザイン、質ともにこだわり、UI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)に優れ、俗にいう「Windowsストアのお作法」にのっとったアプリ。少数精鋭アプリとでも言ったらいいだろうか。
もう一つは、特別デザインにもこだわらず、かといって見栄えの悪いアプリではないが、「Windowsストアのお作法」にはのっとっていないアプリ。ある意味「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」式アプリとでも言ったらいいだろうか。
上記の2点のアプリ作成方法が存在する。筆者はどちらかというと、後者に当たる。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」ということでは決してないが、とにかく思いついたアイデアをすぐにアプリにして、ある程度、デザインにも気を払うが、特別こだわりを持つのではなく、とにかく「数をこなす」ことに重点を置く、と言うのが筆者が採った方法だ。だから1日に3個程のアプリを申請することもざらにあった。
なぜ、筆者がこのような方法を取ったのか。それは、必ずしも「Windowsストアのお作法」にのっとりUI/UXに優れたアプリが多くダウンロードされるとは限らないからだ。アプリの価値は、ユーザーのダウンロード数で決定される、と筆者は思っている。どんなに美しくUI/UXに優れたアプリを公開しても、ユーザーがダウンロードしてくれない限りは、そのアプリに存在価値はない。
逆にそんなにデザインにも凝ってはいないが、ダウンロード数の多いアプリというのも確実に存在する。そういったアプリはユーザーが求めていたアプリであって、多少見栄えや操作性に難があっても、存在価値のあるアプリということになる。
10万以上ものWindowsストアアプリが公開されている中で、いかに効率良く自分のアプリを目立たせ、ダウンロードにつなげるかは、目立つロゴ、目立つタイトル、分かりやすいスクリーンショットとキャプション、それとアプリの説明と、それに、意外とおざなりになりがちなのが、カテゴリとサブカテゴリの選択だ。
ガイドの「アプリを見つけやすくする」の章から、特に重要と思った点を紹介しよう。
ガイドラインには、以下のように記載がある。
自分の作ったWindowsストアアプリを見つけやすくするためには、「名前の付け方」も重要になってくる。名前は、だらだらと長い名前ではなく、簡潔でアプリの性質を表している名前が望ましい。
例えば「万華鏡」とか「脳トレ」とかいった名前のアプリでは、名前を見ただけで何をするアプリなのか容易に想像がつく。しかし、これも時と場合による。長い名前を付けたからといって、ダウンロード数が少なくなるというものでもない。「アプリの内容を的確に表している名前なら、多少長くても問題はない」と、筆者は自分の経験上思っている。
また、名前の独創性も求められるだろう。Windowsストアでは、有名なものに「エッシャーパターン」というアプリがある。名前を見ただけでは何をするアプリなのか想像がつかないが、何となく興味をそそるアプリ名だ。一度触ると、この名前は記憶に残る。興味のある方はWindowsストアの検索に「エッシャーパターン」と入力して探してみてほしい。
もちろん、著作権侵害になるロゴや名前を使うことは論外である。実は正直に言うと、筆者は名前で著作権侵害に引っかかった経験が一度だけある。Windowsストアから英文で警告のメールが来て、その後公開が停止される。このようなことが何度も続くとWindowsストアへの公開はできなくなるから、ぜひ注意してほしい。
また既に存在するアプリと同じ名前のアプリ名は使用できない。これは申請する際に、アプリ名を入力する時点でチェックされるので、同じアプリ名を使うことはまずできないと思っていい。
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