アプリケーションの中には、アプリケーションを動作させるための実行環境(ランタイム)が必要なものあります。ここでは、代表的な仮想実行環境としてAdobe AIR、Java、.NET Frameworkを紹介します。
アドビ システムズが開発するアプリケーションの実行環境です。Adobe AIR(以下、AIR)で作成されたアプリケーションは、Windowsデスクトップ、(Mac)OS Xデスクトップ、iOS端末、Android端末向けのネイティブアプリケーションを生成できます。Flash、HTML、JavaScript、ActionScript、Flexなどアドビ システムズが提供する既存のWeb技術を利用してアプリケーションを開発できるのが特徴となっています。
AIR用に作成されたアプリケーションは、AIRのランタイムがインストールされていれば、*.airファイルをクリックすることによりインストールできます。AIRは、AndroidやiOSにも対応していますが、AndroidやiOSの場合は、airファイルではなく、直接各デバイス用のパッケージファイルを作成します。
なおLinuxについては、バージョン2.6を最後にAIRのランタイムの提供は終了しています。
Javaは、「Write Once Run Anywhere」をモットーに開発された言語・実行環境で、Java言語で作成したアプリケーションは、JRE(Java実行環境)が提供されるWindows、Mac、Linux上で動かせます。Webブラウザー上で動くJava Appletとデスクトップ上で動作するJavaアプリケーションがあります。
また、JavaFXは、JREを利用してデスクトップアプリケーションを作成するためのフレームワークです。アプリケーションの場合は、基本的には、jarファイルもしくは、Java Web Start(jnlpファイル)として提供されています。
jarファイルで提供されている場合、アプリケーションの起動は、アプリケーション起動用のバッチファイルやシェルが提供されていることが多いです。
Java Web Startは、WebからJavaアプリケーションをダウンロードして実行する仕組みで、実行時に新しいバージョンが存在するかどうかチェックして、新しいバージョンが存在すると自動的にアプリケーションをアップデートできます。
また、Javaアプリケーションによっては、exeファイルとして提供されているものもありますが、exeファイルとして提供された場合でもJREは必要となります。
.NET Frameworkは、マイクロソフトが開発したアプリケーション実行環境です。もともとはマイクロソフトがWindowsのために開発したものですが、.NET Frameworkの基盤となる共通言語基盤(CLI)はECMA、ISO、JISなどの標準化組織で標準化されており、マイクロソフト以外のベンダーも実装できます。実際、オープンソースとして開発された「Mono」を利用すれば、LinuxやMacでも.NET Frameworkのアプリケーションを動かせます。
.NET Frameworkのアプリケーションは、通常のWindowsアプリケーションと同様にexe形式で提供されています。また、インストーラーによって、インストールできるものもあります。
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