米ジュニパーネットワークスはSDNのオープンソースプロジェクトであるOpenDaylightに参加しながら、自社のSDNコントローラContrailもオープンソース化した。なぜ2つのオープンソースSDNコントローラを推進するのか。同社プラットフォームサービス部門エグゼクティブ・バイスプレジデントのラミ・ラヒム氏に聞いた。
ジュニパーネットワークスはContrailというSDNコントローラ製品を持っていながら、コントローラを含むSDNのオープンソースプロジェクトであるOpenDaylightに参加している。Contrailについては、オープンソース版のOpen Contrailも提供開始した。つまり同社は、結果として2つのオープンソースSDNコントローラに関わっていることになる。それはなぜなのか。
米ジュニパーのSDN/NFV戦略に関する総責任者でもある、同社プラットフォームサービス部門エグゼクティブ・バイスプレジデントのラミ・ラヒム(Rami Rahim)氏に、「OpenDaylightをなぜ嫌いか」という表現で質問してみた(そのほかのジュニパーのSDN戦略に関するラヒム氏のコメントについては、「ジュニパーのSDN、責任者に疑問点を直球でぶつけてみた」をご覧ください)。
――OpenDaylightをなぜ嫌いなのか。Open Contrailを出したということは、ジュニパーがOpenDaylightを完全に受け入れていないことを示しているのではないか。
「OpenDaylightをなぜ嫌いか?」(笑)。ジュニパーはOpenDaylightにおいて、プラチナスポンサーとしての役割をすべて果たしている。では、なぜOpen Contrailを当社がリリースしたのかを説明したい。
OpenDaylightがそのベースとなるコントローラを決定しようとしていた当時、ジュニパーは高度な差別化をもたらすようなコントローラの開発に忙しかった。このためコントローラを提案できなかった。
Contrailが準備できたときに考えたのは、この技術がOpenStackやCloudStackのオープンソースコミュニティにとって大きな魅力を持つだろうということだった。このためオープンソース化しなければならないと考えた。業界全体のイノベーションを支援したかったからだ。その時点では、当社がこれを単独にオープンソースプロジェクトとしてやるしか選択肢がなかった。
OpenDaylightのサポートについて妥協することなく、こうした活動を進めていくことができる。OpenDaylightのサポートは続けていくが、商用製品、オープンソースの双方の形で提供することも重要だ。それくらいシンプルな話だ。
――それほどシンプルな話には感じられない。
いまの説明以上に何を深読みしたいのか分からない。われわれはOpenDaylightのプラチナスポンサーだし、OpenDaylightのコントローラをサポートしている。だからといって、別の選択肢となるようなソリューションを持ってはいけないことにはならない。
――では、オープンソースのSDNソリューションを求めている人には、OpenDaylightのコントローラの代わりにOpen Contrailを勧めるということなのか。
こういう風に答えよう。顧客におけるSDNのユースケースは多様だ。それぞれのユースケースに対し、どれが最も効果的なコントローラなのかを考えることが重要だ。OpenDaylightのコントローラのユースケースは、私にとってはまだ完全に明確ではない。いずれかの時点で明確になってくるだろう。明確になってきたら、われわれはどのユースケースにどのコントローラが適しているかについて、もっと論理的な判断ができるようになっていくだろう。
しかしそれまでは、当社のコントローラがいくつかのユースケースを、非常に効果的な形でサポートできると考えている。1つはクラウドサービスのための仮想化データセンターであり、もう1つはレイヤ4〜7のサービスチェイニングを提供するサービスプロバイダエッジだ。当社はContrailコントローラを少なくとも初期の段階ではこの2つのユースケースに対して最適化している。つまり、こうしたユースケースの顧客にはContrailを勧める。
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