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» 2014年05月20日 18時00分 公開

ゲーム開発におけるクラウド活用の実例とAWS、SoftLayer、Azure〜第8回テックヒルズまとめリポート(3/3 ページ)

[吉村哲樹,@IT]
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Azureのビッグデータ活用はExcelを通じて

 続いて、ビデオリサーチ社におけるスマートフォンアプリ利用調査の事例紹介が行われた。この事例では、大量のスマートフォン利用ログデータを処理するバックエンドのデータベースやビッグデータ処理基盤には、Azure上のSQLデータベースやHDInsightといったクラウドサービスが使われているが、ユーザーが利用するフロント部分にはExcelのパワーピボット機能が採用されている。

BI シナリオ例:スマホ利用ログ分析(砂金氏の講演資料より引用)

 砂金氏は、実際にこのシステムのデモを披露しながら「データ分析の専門スキルを持つデータサイエンティストだけではなく、一般のマーケターやビジネスパーソンがビッグデータを多面的に分析できる世界を実現するのが、マイクロソフトの役目。そうした考えに基づいて、こうしたExcelを通じたユーザーフレンドリーなデータ分析機能を提供している」と述べ、AzureとMicrosoft Officeを組み合わせたビッグデータソリューションの強みをアピールした。

Azureを使ってソーシャルゲームを開発した事例

 続いて、株式会社GIRLANDEの廣瀬一海氏が登壇し、実際にAzureを使ってソーシャルゲームを開発した経験に基づくさまざまな開発Tipsを披露した。

 同氏が今回構築したゲーム用インフラでは、「ダウンタイムを可能な限り低減」「急増、急減するトラフィックに柔軟に対応」「高可用性を維持」という要件を満たす必要があった。同氏はこれを達成するために、Azure環境上において「Azure Storage BLOB」「Azure Storage Table/Queue」「Azure Load Balancer」「Azure Cloud Services」などを組み合わせたインフラを構築した。

Azureを使ったソーシャルゲームのインフラ構成例(廣瀬氏の講演資料より)

 また、これらのサービス間を結ぶネットワークには、Azure内部に構成する仮想L2ネットワーク「Virtual Network」を利用。いわば「クラウド内LAN」を構築して、IaaSとPaaSを同一サブネット内にまとめることで、それぞれの長所を併用したシステム構成を実現できたという。

実際にクラウドベースの世界配信ゲームを開発して感じた「理想と現実」

 最後に、本イベントの主催元であるクルーズの田沢知志氏が登壇し、同社の世界配信ゲーム開発におけるクラウド活用の実態を紹介した。

どのクラウドを使うかは、必ず自分でベンチマークを実施して判断するべき

 同社では、CentOSにApache、PHP、MySQLを組み合わせた、いわば典型的なLAMP環境でゲームを開発・運用している。クラウド導入に当たっては、まずはこれらの環境がクラウドプラットフォーム上でどれだけのパフォーマンスを発揮できるのか、ベンチマークを実施することが重要だが、田沢氏は特に「必ず自身でベンチマークテストを実施すること」を重要ポイントとして挙げる。

ベンチマークの考慮点(田沢氏の講演資料より引用)

 「クラウドサービスの性能は日進月歩で、また場合によっては曜日や時間帯、リージョンによって微妙に性能が異なることも多い。従って、巷に公開されているベンチマーク結果を“うのみ”にするのではなく、必ず自身で最新のベンチマーク結果を測定してほしい」(田沢氏)

スケーラビリティ、キャパシティ、ストレージI/Oにおけるクラウド特有の考慮点

 またシステム全体のスケーラビリティやキャパシティ、ストレージI/O性能を最適化する上でも、クラウドには特有の考慮点があるという。

 例えばスケーラビリティに関しては、Webサーバーは単純に水平にスケールアウトしていけばいいが、キャッシュサーバーやデータベースサーバーに関しては単純なスケールアウトは通用しないため、データベースが適正規模になるよう分割する、あるいはキャッシュサーバーのチューニングなどに工夫が必要だという。

一般的なIOPS(田沢氏の講演資料より引用)

クラウド導入の費用対効果

 また同社では、クラウド導入の費用対効果についても、きちんと指標に基づいて評価を行っているという。

 月々の予想トラフィックから、必要になるインスタンス数を割り出し、月額コストを算出する。その上で、そのコストが売り上げ額の何%を占めるかによって、適正なコスト評価を行っている。

世界規模でのサーバーの配置戦略

 またサーバーの配置も、サービスの成長に合わせて何段階かのステップを踏むよう計画しているという。

 例えば、まずは米国リージョンのみでサービスを提供した後、次のステップではアジアや欧州などに設けたエッジサーバーにコンテンツを展開し、アクセス遅延の緩和を図る。そして最終的には、全てのリージョンのエッジサーバーにコンテンツを配置し、互いに同期を取るような構成を目指すといった具合だ。

3rd Step 各リージョンにDBノード(田沢氏の講演資料より引用)

ゲーム開発におけるクラウドは、まだまだ探求の余地が多く残されている

クルーズ 田沢知志氏

 最後に田沢氏は、ゲーム開発におけるクラウドの可能性について次のように述べた。

 「今回のセッションは、あくまでも弊社におけるクラウドデザインパターンの紹介だったが、クラウドをどう構成して、どんなアーキテクチャを組めばユーザーに快適にゲームをプレイしていただけるか、まだまだ探求の余地が多く残されている。皆さんもぜひクラウドの世界に直に触れていただき、ゲーム開発者にとってのクラウドの可能性を探ってみてほしい」

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