LINEゲームの躍進を支えるゲームプラットフォームの概要とEsper CEPの活用例LINE Developer Conferenceまとめリポート(中編)(1/2 ページ)

2014年4月17日の「LINE Developer Conference」では、LINEゲームを支えるプラットフォームの全体像と、オープンソースのリアルタイムモニタリング技術「Esper CEP (Complex Event Processing)」の活用例が紹介された。

» 2014年04月30日 18時00分 公開
[益田昇@IT]

 LINEは4月15日と17日の両日、世界初となる「LINE Developer Conference」を開催。LINEプラットフォームの全体像を明らかにした。

 前回の「世界制覇をもくろむLINE――ベールを脱いだプラットフォームの全体像とは」では、その中でもLINEプラットフォームを統べる「Channel Gateway」とは何か、「LINEビジネスコネクト」の仕組みとは、通信やインフラをどのように高速化しているのかなどについてお届けした。

世界中に広がる「LINEゲーム」わずか1年半で3億ダウンロードを突破

 急成長を遂げるLINEのビジネスを支える有力な柱の一つが「LINEゲーム」である。2012年11月に本格提供を開始して以来、わずか1年半でタイトル数は50を突破した。

「LINEゲーム」のラインアップ

 躍進するLINEゲームの裏舞台では、どのようなプラットフォームが構築され、どのような役割を担っているのだろうか。今回は、LINE 開発2センター LINEゲーム開発1室 堀上裕之氏が「ALL about LINEGame Platform 〜 Realtime Monitoring Esper CEP 〜」と題して行った講演の内容を紹介する。

 LINEゲームの利用者はどのようなペースで増加しているのか。ダウンロード数からその様子を見てみよう。LINEゲームがスタートした当初の2012年11月から提供を開始した「LINE POP」は、2014年1月に4000万ダウンロードに到達している。

 また、2014年1月に提供を開始した「LINEクッキーラン」は1カ月で1000万ダウンロードを達成、そのうち約70%は日本以外からのダウンロードである。同じく1月に提供を開始した「LINE:ディズニーツムツム」は公開から62日間で国内1000万ダウンロードを記録。ゲーム全体で見ると、2014年3月14日には3億ダウンロードに達している。

LINEゲームのダウンロード数

 LINEゲームの開発は、LINE社内だけではなく、外部も含めて多くの開発者が取り組んでいる。開発者が活動する国は現在、日本、韓国、中国、ロシア、フィンランドだが、今後その数はさらに増加していく見通しという。

LINEゲームプラットフォームの役割

 LINEゲームプラットフォームを提供するLINEのミッションとは何か。1つ目は、サードパーティまたは内製のアプリを「LINEゲーム」として提供できるプラットフォームを提供すること。2つ目は、安定/安心なサービスをユーザーに提供すること。そして3つ目は、開発者にとってつなげやすく開発しやすいプラットフォームを提供することである。

 具体的には、LINEゲームプラットフォームは開発者に対して、LINEゲームを開発するためのSDKおよびサーバーAPIを提供する。SDKには、アプリのクラッシュログを送信する「LOGGING」、メンテナンス情報やお知らせを通知する「NOTICE」、端末内の不正アプリやルーティングを検知する「SECURITY」などがある。また、プレゼントを贈る「PRESENT」、ランキング機能を提供する「RANKING」など、SDKをプラグイン形式で利用できるものもある。

 LINEゲームは、iOSやAndroidに対応する他、3DゲームエンジンのUnity3Dや2DゲームフレームワークのCocos2Dにも対応している。

LINEゲームの開発を支援するSDK

大幅に刷新されたバックエンドシステム

 LINEゲームプラットフォームのバックエンドシステムはどのような構成で構築されているのだろうか。実は、バックエンドのシステムは今年になって大幅に刷新されている。

 昨年までのシステムでは、共通のLINEゲームプラットフォーム上で幾つものゲームが稼働していた。しかし、この構成では、管理がしやすいというメリットがある一方で、利用ユーザーの急増に対応して、サーバーを柔軟にスケールアウトすることが難しい他、プラットフォームに何らかの問題が生じた場合に、全体のゲームに影響を与える危険性が高かった。

昨年までのゲームプラットフォームのアーキテクチャ

 そこで、今年になってゲームプラットフォームのバックエンドシステムを刷新し、ゲームごとにプラットフォームを提供できるように変更した。これにより、たとえ特定のゲームで利用ユーザーが急増して問題が生じたとしても、他のゲームに影響を与える心配はなくなった。ゲーム開発者は共通機能にランキング機能やPRESENT機能などをプラグイン形式で簡単に追加したり削除したりすることができる。

新しいゲームプラットフォームのアーキテクチャ

 またバックエンドシステムには、Apache、nginx、Tomcat、Spring、Java、Memcached、RabbitMQ、akka、fluentd、Cloudera Impala、elasticsearch、MongoDB、Hadoop、Hiveなどが使われているとのことだった。

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