「BlueMixはPaaS」と言うだけでは、IBMの提供する真の価値は見えない。レガシーなITシステムや、これからのインテリジェントな“ものづくり”に、継続的エンジニアリングを適用させるためのDevOpsのドライバーとして機能するサービス、というのがその実態のようだ。
2014年6月2日、米IBMは同社ソフトウェア部門の年次イベントである「Innovate」を開催、基調講演では、現在パブリックベータで展開している「BlueMix」が、2014年6月末にも正式公開となることが発表された。あくまでも米国での発表ではあるが、同サービスへは全世界からアクセスできる。
BlueMixは2014年2月に開催したイベント「Pulse」で発表したばかりの新しいPaaSだ。クラウド基盤には同社が推進するIaaS「SoftLayer」を、アプリケーション基盤としてはオープンソースの「Cloud Foundry」を採用している。
SoftLayerは、ベアメタルプロビジョニング機能を持っており、データセンター間の高速な通信環境も提供する点で、他のクラウドサービスとは異なる特徴を持っている。まだ日本のデータセンターはないものの、随時拠点拡大を進めており、直近ではアジア圏である香港でのサービスが始まったところだ。
一方のCloud FoundryはオープンなPaaS基盤を指向したもの。IBM、HPをはじめ、多くのソフトウェアベンダーがCloud Foundryを基盤としたサービスを発表している。直近では、アプリケーション開発者の注目を集めるコンテナ管理ツールであるDockerとの連携も注目されている(参考記事)。また、買収したCloudantの技術をベースにした分散型NoSQLデータベースを使ったDBaaS環境もBlueMix上で利用できる。
BlueMixはパブリックベータ運用中ながら、多様なサービスを展開しつつあり、今回のイベントでは、新たに4つのサービスが追加されることが明らかになった。具体的には「AppScan」「Embeddable Reporting」「Workflow」「Continuous Delivery Pipelines」の4つがそれだ。
「AppScan」は複数の環境でテストを素早く実行し、結果を共有できるもので、セキュアな実装を支援し、ソフトウェアの品質を高めるためのサービスだ。「Embeddable Reporting」は、アプリケーションの実行状況をモニタリングし、リアルタイムでのフィードバックを実現する。「Workflow」はクラウドサービスを統合し、それぞれの振る舞いを管理する環境。「Continuous Delivery Pipelines」は、複数のアプリケーションのリリースを協調し、統合管理するサービスだ。
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