米Fusion-io、PCIeフラッシュ新製品発表とともに戦略もシフトアプリケーション高速化に集中

米Fusion-ioは6月5日(米国時間)、最大6.4TBの容量を実現したPCIeフラッシュの新製品シリーズ「ioMemory Atomic Series」を発表、同時に新たな戦略を打ち出した。

» 2014年06月05日 18時15分 公開
[三木泉@IT]

 米Fusion-ioは6月5日(米国時間)、最大6.4TBの容量を実現したPCIeフラッシュの新製品シリーズ「ioMemory Atomic Series」を発表、同時に新たな戦略を打ち出した。

 Atomic Seriesは5年サポートの「PX600」と3年サポートの「SX300」という2シリーズで構成。PX600は容量1〜5.2TBの4モデル、SX300は容量1〜6.4TBの4モデルが提供される。すべてのモデルでMLCを採用、遅延は読み出しが92マイクロ秒、書き込みが15マイクロ秒となっている。

写真はAtomic Series PX 600

 Fusion-ioの新たな戦略とは、アプリケーション高速化技術/製品を提供するベンダとしての同社の再定義であり、これに関連する活動の強化だ。

 「フラッシュがどう高速化に貢献できるかという観点で、アプリケーションの製品ライフサイクルの早い段階からシステムレベル、アプリケーションレベルの統合を図る努力をし始めている」と、Fusion-io グローバルフィールドオペレーションズ担当エグゼクティブバイスプレジデントのイアン・ホワイティング(Ian Whiting)氏は筆者に話した。例えば各社のSAP HANAアプライアンスのためのデフォルトのフラッシュ製品としてFusion-ioが採用されていることは、大きな成果だという。

 「ユーザーにとってはアプリケーションが重要なのであり、当社の製品が重要なのではない」(ホワイティング氏)。スタートアップ企業としてのFusion-ioの最初の成長段階では、自社製品の新しさや優位性を主張することが重要だった。そしてFusion-ioのPCIeフラッシュは、技術を理解する人々に歓迎された。しかし、今後の事業拡大のためには、企業向け市場を本格的に開拓しなければならない。そのためには、技術自体ではなく、データベースを中心としたアプリケーションの運用者が喜ぶことを目指さなければならない。

 このことから、上記のソフトウェアベンダとの協業や、顧客との接点となるシステムインテグレータの支援強化といった、パートナーを前面に押し出す取り組みを進めていくという。

 ホワイティング氏に、「Fusion-ioはまだ、フラッシュはサーバ内に置くべきか、外部のストレージ装置に置くべきかの宗教論争を闘っているのか」と聞いてみたところ、同氏は次のように答えた。

 「当社は自らをストレージ企業とは考えていない。たしかに、オールフラッシュストレージの市場は存在するが、当社はアプリケーション高速化の市場にいると考えている。このため、できる限りアプリケーションに近いところにいるべきだと思う。サーバ内にいてこそ、インメモリデータベースなどに対応できる。当社の顧客となるのはストレージ管理者ではなく、データベース管理者だ」。

 そういうFusion-ioも、複数のioMemoryカードをサーバに搭載した「ION Accelerator」を販売している。これは外部接続のストレージアプライアンスだ。

 「だが、IONもアプリケーション高速化のための製品だ。ストレージというと、スナップショットとか重複排除といった機能の話になる。しかし、アプリケーション側で、そうした機能を果たすツールはたくさん提供されているし、データベース管理者はそれに親しんでいる。だから、改めてこうした機能を買う必要はない」。

 フラッシュは技術としては確立されたものの、市場における普及という点では、まだかなり初期の段階にある、とホワイティング氏はいう。「しかし、当社がずっと言ってきたように、必ずオールフラッシュデータセンターの時代は来る。いまや、こうした時代が来るかどうかではなく、いつ来るかがポイントになっている」。つまりフラッシュ市場は今後が勝負で、Fusion-ioはこのためにいま、新たな戦略を進めるのだという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。