OpenStackとレゴタウンとの意外な関係世界で2回目のトレーニングが開催

10月10、11日に東京で実施されたOpenStack Upstream Trainingでは、レゴを使った街づくりのシミュレーションが。レゴはOpenStackプロジェクトとどう関係するのか。

» 2014年10月27日 13時26分 公開
[三木 泉,@IT]

 10月11日の土曜日、東京のIIJの会議室にはレゴに取り組む30人ほどの人々の姿があった。これは日本OpenStackユーザ会が開催した「OpenStack Upstream Training」と呼ばれるOpenStackのコントリビュータ養成トレーニングプログラムの一コマ。OpenStackコントリビュータトレーニングは2014年5月のOpenStack Summit Atlantaを契機に開始されたもので、今回は東京で世界2番目の開催となった。

自分たちがつくりたいもの、つくったものを、OpenStackコミュニティに受け入れてもらわなければならない

 レゴを使ったトレーニングは、「街をつくる」という想定で、OpenStackという巨大な活動に関わるさまざまな立場の人々に扮し、それぞれの役割にしたがってプロジェクトの成功に貢献することをテーマに行われた。

 その立場とは、理事会、技術委員会、活動のリーダーであるProject Technical Lead(PTL)、コアデベロッパー、企業のCEO、企業の製品オーナー、企業のスクラムマスター、企業のチームメンバー、予測できない動きをするフリーのソフトウェア開発者。受講者は主に企業の製品オーナー、スクラムマスター、チームメンバーとなり、街づくりに関わる。

 トレーニングでは、理事会、技術委員会、PTLが街づくりの構想や方針を示し、一方で企業のCEOが求めるもの(「自社の技術力を示す」など)に沿って製品オーナーが自分たちの活動(「駅をつくる」「公園をつくる」など)を決め、つくったものをプロジェクト運営側に説明して、採用してもらうという作業を行った。受講者はつくったものに対し「色が街にふさわしくない」「サイズがおかしい」などの指摘を受け、作り直していた。

 途中では、「大きなものをつくってしまってから一度に見せる(コントリビューションする)のではなく、PTLなどと協議しながら、少しずつ作っていくことが重要」「フリーの開発者などに働き掛け、自分たちの活動への賛同を得て、協力してもらうことを考えるべき」といったアドバイスも与えられた。 

 実際、OpenStackへのコントリビューションを行っている開発者たちも、大部分は企業に属している。企業は何らかの目的を達成するために、開発者のリソースを提供する。開発者は自らの属する企業の目的を果たすためにも、OpenStackコミュニティの構造を理解し、社外の人々と協力することを学ばなければならない、ということのようだ。

今回のUpstream Trainingの受講者、講師、運営担当者たち

日本人特有の気後れを克服しよう

 OpenStack Upstream Trainingの内容は、レゴタウンづくりだけではない。丸2日間にわたる座学では、OpenStackプロジェクトの構造に始まり、Git、Gerrit、IRCといったツールのOpenStackでの使われ方、OpenStackコミュニティへの参加の仕方、コントリビューションのプロセスなどが紹介された。OpenStack Summit Atlantaでのトレーニングにも参加した楽天の牧垣秀一朗氏は、日本人特有の気後れをどう克服するかについて、自らの経験を基に説明。「一度メールを送ってしまえば気が楽になる」「日本人の使う英語の正確な表現は自慢していい」「使われている言い回しを真似る」「メーリングリストで無視されることはよくある」「返事が欲しいものは4回くらいプッシュしてもいい」など、細かくアドバイスしていた。

 OpenStack Upstream Trainingでは、実際のOpenStackコードのバグを選び、座学の1週間くらい前からメンターとやり取りしつつ、バグフィックスを行い、座学後1週間を目途に、バグフィックスを採用してもらうことを目指すようになっている。

 このトレーニングは、半年に一度開催されるOpenStack Summitで、必ず実施されることになっている。2015年2月に開催の「OpenStack Days Tokyo 2015」でも行われる予定だ。

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