Amazon Web Servicesのバイスプレジデント兼ディスティングイッシュド・エンジニアとして、インフラ設計に深く関わるジェームズ・ハミルトン氏は、AWSが11月11〜14日に開催した「AWS re:Invent 2014」で、同社のクラウドサービス・インフラの規模や構成について講演した。この中で、ハミルトン氏はAWSのインフラの規模や成長率についてのヒントを与えている。
Amazon Web Services(AWS)のバイスプレジデント兼ディスティングイッシュド・エンジニアであり、インフラ設計を指揮しているジェームズ・ハミルトン(James Hamilton)氏は、AWSが11月11〜14日に開催した「AWS re:Invent 2014」で、同社のクラウドサービス・インフラの規模や構成について講演した。この中で、ハミルトン氏はAWSのインフラの規模や成長率についてのヒントを与えている。
ハミルトン氏は、講演のなかで、データセンター数、データセンター当たりのサーバー数などにつき、曖昧ながら言及した。
まず、AWSは世界に11のリージョンを持っている。各リージョンは最低2つのAvailability Zone(AZ)で構成されている。現時点でのAZの総数は28だという。各AZは1拠点あるいは複数拠点のデータセンターで構成されている。ハミルトン氏は、世界中に「28+のデータセンターがある。AZによっては、データセンターを6拠点持っている」と話した。また、各データセンターには「5万〜8万台」のサーバーがあるという。
では、AWSはいったいどれくらいのサーバーを動かしているのか。これについては、上記の発言から推測するしかない。
ハミルトン氏の発言における、データセンター数が「28+」という表現は、28カ所以上ということしか意味しない。一方、「AZによってはデータセンターを6拠点持っている」という表現からは、AZ当たりのデータセンターの最大数はおそらく6だということがうかがえる。すると、できるだけ正確を期すれば、データセンター数は33(27+6)拠点から168(28×6)拠点の間ということになる。仮にAZ当たりのデータセンター数平均を2だとすれば、データセンター数は56となる。
では、サーバー機の数はどうか。各データセンターが「5万〜8万台」のサーバー機を持つということから、平均を6万5000台と仮定し、データセンター数は上記の56を仮定すれば、AWSの運用するサーバー機の総数は364(6.5×56)万台と推定される。さらに仮想マシン(VM)数については、各サーバー上で仮想マシンが平均3台動いているとすれば、総仮想マシン数は1092万個、平均4台なら1456万個という計算になる(ここでの3、4という数字は単なる仮定であり、根拠はない)。
もっとも、いくらサーバー台数や仮想マシン数を推測してみたところで、数字はすぐに時代遅れになってしまいそうだ。ハミルトン氏は下記のグラフで、AWSの伸びがどれだけ急速なものかを強調した。図の左上に示されているのは、過去3年あまりの、ストレージサービスAmazon S3の利用量の推移。毎週の転送データ量が示されている。年平均132%の伸びが見られるという。左下はAmazon EC2の利用量の推移。毎週のインスタンス×時間を示している。過去3年あまりで、年平均99%の伸びだという。
また、ハミルトン氏は、「AWSは(現在)、Amazon.comが売り上げ70億ドル規模だったころの事業を支えるのに十分なだけのキャパシティを、毎日追加している」という言葉を掲げた。そして、文字通りカスタムメイドのサーバーやラックが、いずれかのデータセンターに運び込まれ、そのために電源やネットワークは事前に準備されていなければならない状況が毎日続いていると説明した。
ハミルトン氏は他に、同氏が「AZに恋した」理由、データセンター内のネットワークについてどう考え、どう運用しているかなどを話した。これらの詳細については、別記事「AWSのデータセンターの中身を、設計総責任者が話した」で紹介する。
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