日本HPは、ミッションクリティカルサーバー「Superdome」シリーズの新製品、「HP Integrity Superdome X」を国内発表した。Itaniumに代えてx86を搭載するとともに、HP-UXに加えて汎用Linuxでもミッションクリティカルな運用ができるようにしている。
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2014年12月9日、「HP Integrity Superdome X」を国内で販売開始したと発表した。同社が「ミッションクリティカルシステム」と呼んできたSuperdomeシリーズの新製品。2011年11月に米HPが発表した「Project Odyssey」が、約3年を経て製品化された。
「ミッションクリティカルシステム製品へのニーズは縮小していくのではないか」という懸念を、HPは払拭(ふっしょく)しようとしている。経済活動や社会インフラにITがますます重要な役割を果たすようになるのに従って、性能や信頼性に対する新たなニーズが拡大していく、とする。「競合他社は製品ポートフォリオを変えようとしているが、HPはずっとここにいる(HP is here to stay)」と、米HPのエンタープライズサーバービジネス バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのリック・ルイス(Rick Lewis)氏は話した。
Project Odysseyは、「ミッションクリティカル=Itanium=HP-UX」という同社の図式からの転換を図ることが目的。今回の新製品では、CPUとしてIntel Xeon E7 v2ファミリーを採用、さらにHP-UXに加えて汎用Linuxでも、Superdome独特の、物理パーティション機能や、多くの信頼性機能が活用できるようにした。x86 CPUと汎用Linuxへの対応により、このプラットフォーム上で稼働できるアプリケーションやツールの幅が大きく広がることになる。
18UサイズのSuperdome Xシャーシは、クロスバー・ファブリックを備え、「セルブレード」と同社が呼ぶブレードを8枚まで挿せる。各ブレードは2 CPU/30コア、1.5TBのメモリを搭載可能。複数ブレードをあたかも単一のコンピュータであるかのように構成できるため、最大240コア、12TBのコンピューティング資源が実現できる。12TBといった巨大な単一のメモリプールを実現できることで、インメモリデータベースの利用を加速でき、例えばOLTPとOLAPのデータベースも統合できるとする。
Superdome Xにおけるカギは、独自開発のチップセット「XNC2」だという。各ブレードに搭載されるXNC2は、複数ブレードにまたがるCPU同士を直接結び付けることで、CPU間処理のオーバーヘッドを低減するという。また、Superdome Xは、Superdomeシリーズの大きな特徴であるRAS機能の大部分をファームウェアに実装、さらにCPUおよびOSとの連携で、一般的なx86サーバーには達成できない高可用性/信頼性機能を実現しているとする。
信頼性機能におけるCPUとの連携では、Intel Xeon E7 v2ファミリーに関して、インテルと共同開発を行ったという。例えば、Superdomeシリーズには、ハードウェアエラーの詳細なログを取得して、原因を自動的に特定、場合によっては自動的に修復を行う「HP Analysis Engine」という機能がある。これをx86ベースのSuperdome Xに移植するに当たって、Itaniumほどの詳細なログ情報が得られないという課題があった。そこでIntel Xeon E7 v2ファミリーについては、より多くの情報を取得できるよう、インテルにリクエストしたのだという。HPは、より新しいx86 CPUについて、さらに詳細なログ情報を得られるよう、今後もインテルと協業していくという。
また、汎用Linuxへの対応では、新製品で可用性、信頼性を確保するため、Linuxコミュニティに数多くのコードコントリビューションを行ったとしている。
IT投資効率は、どんな組織でもますます重要なテーマになっているが、ルイス氏は、x86および汎用Linuxへの対応で、1台のサーバーに多様なアプリケーション/サービスを大規模統合できるようになり、また、物理パーティション機能とソフトウェアベースの仮想化で、ハードウェアリソースを柔軟に切り分けられることのメリットを強調した。
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