2024年12月に正式リリースとなった「Windows Admin Center 2410」ですが、リリース当初は日本語環境へのインストール時に文字化けを起こしていました。2025年2月末にリリースされたリリースビルドでは、この不具合が解消されています。今回は、Windows Admin Center 2410で利用可能なPowerShellコマンドレットを詳しく見ていきます。
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最新バージョンの「Windows Admin Center 2410」(WAC 2410)では、前バージョンの「Windows Admin Center 2311」(WAC 2311)から、利用可能なPowerShellコマンドレットの数が大幅に増えています。
そこで本連載では、複数回に分けてWAC 2410の主要なPowerShellコマンドレットを解説していきます。今回は、WAC 2410のインストールウィザードに関わるPowerShellコマンドレットを取り上げます。
PowerShellコマンドレットを解説する前に、「Custom Setup」のインストールパラメーターを列挙します。
画面番号 | ウィザード画面名(英語名/日本語名) | パラメーター(英語名/日本語名) |
---|---|---|
1 | Welcome to the Windows Admin Center setup Wizard(Windows Admin Centerセットアップウィザードへようこそ) | なし |
2 | License Terms and Privacy Statement(ライセンス条項とプライバシーに関する声明) | ・I accept these terms and understand the privacy statement(これらの条項に同意し、プライバシーに関する声明を理解します) ・I do not accept these terms(これらの条項に同意しません) |
3 | Select installation mode(インストールモードの選択) | ・Express setup(簡単セットアップ) ・Custom setup(カスタムセットアップ) |
4 | Network access(ネットワークアクセス) | ・Localhost access only(ローカルアクセスのみ) ・Remote access. Use the machine name of FQDN to access Windows Admin Center on other devices.(リモートアクセス。コンピュータ名またはFQDNを使用して、他のデバイスのWindows Admin Centerにアクセスします) |
5 | Login Authentication/Authorization Selection(ログイン認証/承認の選択) | ・HTML Form Login(HTMLフォームログイン) ・Windows Authentication(NTLM or Kerberos)(Windows認証 |
6 | Port Numbers(ポート番号) | External Port(外部ポート) |
7 | Select TLS certificate(TLS証明書の選択) | ・Use the pre-installed TLS certificate(プリインストールされたTLS証明書を使用する) ・Generate a self-signed certificate (expires in 60 days)(自己署名証明書を生成します<有効期限は60日です>) |
8 | TLS certificate thumbprint(TLS証明書の拇印) | (Use the pre-installed TLS certificateの選択時のみ) Select Thumbprint of TLS Certificate(TLS証明書の拇印の選択) |
9 | FQDN(完全修飾ドメイン名) | Full qualified domain name FQDN |
10 | Trusted Hosts(信頼されたホスト) | ・Allow access to any computer(任意のコンピュータへのアクセスを許可する) ・Allow access to only trusted domain computers(信頼できるドメインコンピュータのみへのアクセスを許可する) |
11 | WinRM over HTTPS | ・HTTP. Default communication mechanism.(HTTP。既定の通信メカニズム) ・WinRM over HTTPS |
12 | Automatic updates(自動更新) | ・Install updates automatically(recommended)/更新プログラムを自動的にインストールする(おすすめ) ・Notify me of available updates without downloading or install them/ダウンロードまたはインストールせずに利用可能な更新プログラムを通知する ・Disable automatic updates/自動更新を無効にする |
13 | Send diagnostic data to Microsoft(診断データをMicrosoftに送信する) | ・Required diagnostic data/必須診断データ ・Required and optional diagnostic data/必須診断データとオプションの診断データ |
WAC 2410インストールウィザードに関わるPowerShellコマンドレットは、「Microsoft.WindowsAdminCenter.Configuration」モジュールに含まれています。まずは、以下のコマンドレットを実行して、PowerShellモジュールを読み込みます。
- Import-Module 'C:\Program Files\WindowsAdminCenter\PowerShellModules\Microsoft.WindowsAdminCenter.Configuration\Microsoft.WindowsAdminCenter.Configuration.psm1’
PowerShellモジュールがインポートできました。以降で、インストールウィザードに関わるPowerShellコマンドレットを解説します。
「Express setup」(簡単セットアップ)か、「Custom setup」(カスタムセットアップ)かどうかを調べるのが「GetRegInstallionMode」コマンドレットです。
このインストールパラメーターに関しては、PowerShellコマンドレットが用意されていないようです。PowerShellコマンドレットの有無を調べた結果が以下の画面になります。
「Get-WACLoginMode」コマンドレットで、ログイン認証/承認の設定を確認できます。
「Set-WACLoginMode」コマンドレット、ログイン認証/承認の設定を変更できます。
「Get-WACHttpsPorts」コマンドレットで、ポートの設定を確認できます。
「Set-WACHttpsPorts」コマンドレットで、ポートの設定を変更できます。なお、通常は「WacPort」のみの設定変更でよいでしょう。
TLS(Transport Layer Security)証明書に関連するPowerShellコマンドレットは、複数あります。
「Get-WACSelfSignedCertificate」コマンドレットで、インストール時に生成した自己署名証明書を確認できます。
「Get-WACCertificateSubjectName」コマンドレットで、WACに関連付けたTLS証明書を確認できます。
HTTPS証明書(TLS証明書)の入れ替えは、検証の結果、「Set-WACCertificateSubjectName」コマンドレットと「Set-WACCertificateAcl」コマンドレットを実行する必要があります。Set-WACCertificateSubjectNameコマンドレットでは、WACに関連付けた証明書を変更できます。
「Set-WACCertificateAcl」コマンドレットは、オプションなし、かつ、サーバ当たり1回の実行でよいようです。実行のタイミングは、下記「Set-WACCertificateSubjectName」コマンドレットの前後どちらでもよいでしょう。
なお、WACのサービスを再起動しないと証明書を認識しない場合もあるので注意してください。
WAC 2410の証明書入れ替えに関し、下記の公式情報がリリースされています。
このリリースによると、Set-WACCertificateSubjectNameコマンドレット実行後に、Set-WACCertificateAclコマンドレットを実行します。加えて、Set-WACCertificateAclコマンドレットの実行時には、「SubjectName」オプションを付与しています。証明書入れ替えの最終ステップとして、WACのサービスを再起動するように記載されています。
「Get-WACEndpointFqdn」コマンドレットで、現在のFQDN(Fully Qualified Domain Name:完全修飾ドメイン名)を確認できます。
「Set-WACEndpointFqdn」コマンドレットで、EndpointFqdnに加えてServiceFqdnの設定を変更できます。
「Get-WACWinRmTrustedHosts」コマンドレットで、現在の信頼されたホストを確認できます。
「Set-WACWinRmTrustedHosts」コマンドレットで、信頼されたホストの設定を変更できます。ただし、「TrustAll」か「empty」の二択となります。
「Get-WACWinRmOverHttps」コマンドレットで、接続先との通信がWinRM over HTTPかWinRM over HTTPSかどうかを確認できます。「False」であればWinRM over HTTP、「True」であればWinRM over HTTPSです。
「Set-WACWinRmOverHttps」コマンドレットで、接続先との通信をWinRM over HTTPからWinRM over HTTPSに変更できます。
「Get-WACSoftwareUpdateMode」コマンドレットで、現在の自動更新状態を確認できます。
「Set-WACSoftwareUpdateMode」コマンドレットで、自動/通知/無効化(手動実行)に設定を変更できます。
「Get-WACTelemetryPrivacy」コマンドレットで、現在の「Send diagnostic data to Microsoft」(テレメトリー)を確認できます。
「Set-WACTelemetryPrivacy」コマンドレットで、「required」または「optional」(こちらのオプションはrequiredとoptionalの両方を指します)のいずれかで設定を変更できます。
以上が、WAC 2410のインストールパラメーターに関連するPowerShellコマンドレットです。今回紹介したインストールパラメーターに関連するPowerShellコマンドレット以外で、Microsoft.WindowsAdminCenter.Configurationモジュールに含まれるPowerShellコマンドレットは、また別の機会に紹介します。
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