Calabash-Androidでテストシナリオを作成する方法スマホ向け無料システムテスト自動化ツール(5)(3/5 ページ)

» 2015年01月28日 18時00分 公開
[伊藤宏幸,テスト自動化研究会(STAR),楽天株式会社]

「ステップ定義」をスケルトンから作成する方法

 上記「ステップ定義」は、Calabash-Androidが提供するスケルトンから作成することも可能です。便利なので、併せて紹介します。

 基本的な流れは、以下の通りです。

  1. (変更なし)「{プロジェクトのルート}/features/PreviewCustomer.feature」に、当該のステップを定義する
  2. 「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行し、スケルトンを作成する
  3. 独自の「ステップ定義」ファイルを作成し、上記2で生成されたスケルトンをコピーする
  4. 再度「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行し、スケルトンが認識されたことを確認する
  5. 「ステップ定義」ファイルで、スケルトンを実装する
  6. 再度、「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行する
    1. 誤りがあった場合は、再度上記4〜6を繰り返す
    2. テストが成功すれば完成!

【1】(変更なし)「{プロジェクトのルート}/features/PreviewCustomer.feature」に、当該のステップを定義する

 特に上記『「ステップ定義」の基本的な作り方』との変更点はありません。

【2】「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行し、スケルトンを作成する

$ calabash-android run app/build/outputs/apk/app-calabash-release.apk
 
(中略)
 
Feature: Preview customer
 
(中略)
 
  Scenario: Add customer information and preview it by using WebView   # features\PreviewCustomer.feature:9
 
(中略)
 
    And go preview                                                     # features\PreviewCustomer.feature:16
 
1 scenario (1 undefined)
5 steps (1 undefined, 4 passed)
0m13.425s
 
You can implement step definitions for undefined steps with these snippets:
 
When(/^go preview$/) do
  pending # express the regexp above with the code you wish you had
end

 「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行すると、「And go preview」の部分が「ステップ定義」として未定義であること(「1 undefined」がこれを意味します)が分かります。

 また、当該の「ステップ定義」のスケルトンも併せて作成、表示してくれます。

【3】独自の「ステップ定義」ファイルを作成し、上記【2】で生成されたスケルトンをコピーする

 「{プロジェクトのルート}/features/step_definitions/PreviewCustomer_steps.rb」を作成し、上記スケルトンをコピー&ペーストします。

When(/^go preview$/) do
  pending # express the regexp above with the code you wish you had
end

 ちなみに「pending」は、実装未済であることを表します。

【4】再度「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行し、スケルトンが認識されたことを確認する

$ calabash-android run app/build/outputs/apk/app-calabash-release.apk
 
(中略)
 
Feature: Preview customer
 
(中略)
 
  Scenario: Add customer information and preview it by using WebView   # features\PreviewCustomer.feature:9
 
(中略)
 
    And go preview                                                     # features/step_definitions/PreviewCustomer_steps.rb:1
      TODO (Cucumber::Pending)
      ./features/step_definitions/PreviewCustomer_steps.rb:4:in `/^go preview$/'
      features\PreviewCustomer.feature:16:in `And go preview'
 
1 scenario (1 pending)
5 steps (1 pending, 4 passed)
0m11.357s

 上記【3】で追加した箇所の実行結果が「undefined」から「pending」に変わり、実装未済という扱いに変わります。従って、上記【3】で追加した「ステップ定義」とスケルトンとが、キチンとCalabash-Androidに認識されたことを確認できます。

【5】「ステップ定義」ファイルで、スケルトンを実装する

 「ステップ定義」ファイルで、スケルトンを実装します。上記『【2】「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行し、スケルトンを作成する』と同じ要領で、「{プロジェクトのルート}/features/step_definitions/PreviewCustomer_steps.rb」に下記のようにスケルトンを実装します。

When(/^go preview$/) do
  touch("ActionMenuItemView id:'button_preview'")
end

【6】再度、「calabash-android run {YOUR_APK_FILE}」コマンドを実行する

$ calabash-android run app/build/outputs/apk/app-calabash-release.apk
 
(中略)
 
Feature: Preview customer
 
(中略)
 
  Scenario: Add customer information and preview it by using WebView   # features\PreviewCustomer.feature:9
 
(中略)
 
    And go preview                                                     # features/step_definitions/PreviewCustomer_steps.rb:1
 
1 scenario (1 passed)
5 steps (5 passed)
0m11.134s

NumberPickerを操作するためのステップ定義

 前述しましたが、Calabash-Androidの「入力フィールドの操作方法(GitHub)」には、DatePickerおよびTimePickerを操作するステップは用意されているのですが、NumberPickerを操作するステップは現時点(バージョン0.5.2)では用意されていません。

 従って、NumberPickerを操作したい場合は、独自にステップを定義する必要があります。

 今回のサンプルプログラムの場合、Customer Detail画面のNumberPickerは、IDが「agePicker」です。このことは、後述の「console」の結果からも確認できます。

irb(main):011:0> query("NumberPicker id:'agePicker'")
[
    [0] {
                        "id" => "agePicker",
                   "enabled" => true,
        "contentDescription" => "age pickerview",
                     "class" => "android.widget.NumberPicker",
                      "rect" => {
            "center_y" => 321,
            "center_x" => 146,
              "height" => 180,
                   "y" => 231,
               "width" => 128,
                   "x" => 82
        },
                       "tag" => nil,
               "description" => "android.widget.NumberPicker{b20df0b0 V.ED.... ......I. 66,0-194,180 #7f09000d app:id/agePicker}"
    }
]

 「query」メソッドは下記のように、第2引数に「:{メソッド名}{操作}」の書式を指定することで、当該UIコンポーネントのメソッドを呼び出すことが可能です。

query("NumberPicker id:'agePicker'", :setValue=>14)

 この例では、NumberPickerの「setValue」メソッドを、引数「14」を指定して呼び出しています。

 しかし今回のサンプルでは、Customer Detail画面のNumberPickerでsetValueメソッドを呼び出しただけでは、CustomerPreviewActivity画面で年齢欄を更新できません

 これは、「{プロジェクトのルート}/app/src/main/java/com/nowsprinting/hellotesting/app/CustomerDetailFragment.java」の「onCreateView」メソッド内で、「onValueChange」イベントが呼ばれたときに、NumberPickerに設定したvalueが初めて年齢に反映される作りとなっているためです

 そのため今回は、setValueメソッド呼び出し後にNumberPickerを「pan」することでonValueChangeイベントを(無理やり)発動させて、setValueメソッドで設定した値を反映することとします。

pan("NumberPicker id:'agePicker'", :up)
pan("NumberPicker id:'agePicker'", :down)
# 設定中に画面が遷移しないよう、念のため1秒待機します。
sleep 1

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